インデックスカードをお勧めします
私も子どものころからすごく人見知りで、アナウンサーの仕事をしていながら、未だに人前で話すのって苦手なんですよ。イベントや公開収録では、大勢の観客に圧倒されないよう、なるべく遠くを見るようにしています(笑)。誰でも人前に出ると緊張はするものですから、「緊張してもしょうがない」くらいに思って、「うまくやろう、スムーズに話さなきゃ」と、自分にプレッシャーをかけないほうがいいです。
私は小学校5年から高校2年までアメリカに住んでいたので、学校の授業で随分と鍛えられました。アメリカでは、子どものころから自分で研究したことをプレゼンさせられたり、スピーチのクラスが必須だったりするんです。そこで学んだことや使ったツールが、今でも役立ってますね。なかでも、「インデックスカードに話したいポイントを書く」というのはお勧めです。
ハガキよりひとまわり小さい「インデックスカード」って、ご存じですよね?例えば話したいポイントが5つあったら、5枚そのカードを準備して、それぞれにひとつずつポイントを書くんです。ポイントの下には、さらにそこで話すべき内容を箇条書きにする。優先順位の高いものから順に書いておけば、話の途中で時間が足りなくなった場合に優先順位の低い項目を省けばいいですよね。そのカードを持ってプレゼンに臨むと、安心感を持ってわかりやすく話そうという気持ちになれます。
聞き手が反応しやすい問いかけを
うまく話せるか心配で、話したいことを全部文章にしてしまうと、結局はその文章が書いてある紙をずっと見ながら、ただ読むだけになってしまいます。それでは、いくら話がスムーズでも聴いている人の心に響きませんよね。だから、手のひらサイズのインデックスカードに収めたポイントと内容項目をときどき見るだけにして、あとは少々間違えたりしても気にしない。完璧であるよりも、かえって人間味があっていいと私は思います。
ただ、もしできたら相手が反応しやすい話し方を心がけるといいですよ。例えば、「これって何々ですよね?」とか、「皆さん、こんなことで困ったことはありませんか?」のように問いかけると、聞き手の人たちとコミュニケーションできるので、自分の緊張もほぐれてきます。それに、一方的に話してしまうと、気づかないうちに相手が理解できない業界用語を使ってしまう可能性もあるんですよね。わかりやすい言葉を使うよう意識して、家で鏡を見ながら、もしくは家族や友人の前で練習をしてみるのもいいですね。
それから、最初の導入と最後の締めの部分だけは、原稿にしておくと安心できます。導入部分をきちんと話せると、本題に入るときの気持ちも楽になりますものね。いずれにしても、「緊張しないようにする」というのは難しいので、緊張しながらでも「どうしても、このことを伝えたい」という心意気で向かうことが大事だと思うんです。話の上手い下手、得意不得意を気にしなくても、伝えたい気持ちをしっかり持てば、きっと大丈夫です。