担当を替えてもらうか、トコトン付き合うか
この悩みへの対策には、3つの選択肢があります。
1つ目の選択肢は、取引先の担当者を替えてもらうこと。2つ目はこの方がその取引先の担当を外れること。この2つの選択肢を採るのであれば、とりあえず自分の上司と話し合いましょう。この担当者のおかげで、上司からあらぬ誤解を受けているわけですから、それを解く必要もあります。
そして3つ目はこの環境を人生の授業だととらえ、その担当者を自分のペースに引き込むまで、トコトン付き合うことです。こうした難物を攻略しようと試行錯誤するのは、いい研鑚の場になります。どうしたら相手に負けないか、自分の思うように相手を動かすにはどうしたらいいか、必死に考えてみましょう。理論武装するために商品や市場について勉強するのもいいかもしれませんし、あるいは、堂々と「あなたのおっしゃっていることは矛盾していると思います」と言い切るのもいい方法です。もしかしたら、相手にものすごく怒られて、一瞬はつらい思いをすることもあるでしょう。でも、その後に相手から一目置かれるかもしれない。そうすれば付き合いやすくなりますし、逆に嫌われて会社に「担当を替えてくれ」というクレームが入り、お付き合いしなくてすむという結果になる可能性だってあります。いずれにしても、ラクになるのは間違いありません。
人とぶつかることを恐れてはいけない
どんな方法を取るにしても、人とぶつかることを恐れてはいけません。何もせず、何も言わずにいるのがこの方のストレスの原因だと思います。
私たちの世代は、小さい頃から取っ組み合いのケンカをしたり、小さな争いをしたりする中で、人間関係の距離感をうまく取る術を身に付けてきました。私には、大人になってからも仕事関係の人と殴りあいになりそうなほどのケンカをし、結果的には飲みに行って意気投合した、なんて経験がたくさんあります。今の若い人たちは、子どもの頃、ケンカをしそうになると親が止めに入ったせいでしょうか。人とのぶつかり合いを極端に恐れます。それでは、いつまでたってもよそよそしいコミュニケーションしかできないはずです。
もちろん、自分に悪いところがないか見直す必要はあります。しかし、どうしても納得がいかないことがあるのなら、自信を持って自分の意見を主張し、それに対する相手の意見にも耳を傾けることから、良好な人間関係は始まると思います。