夫の反対理由をよく聞いてから対策を
私は結婚後、子供を2人育てながら仕事を続けてきましたが、息抜きが必要だという意味でも、ひとつのポジションにいる専業主婦は大変だと理解しています。家庭以外にも自己実現の場を複数持つようにすると、生き甲斐も増えるし、リスク分散もできますよね。加えて、私は女性がもっと仕事と家庭を両立できる世の中に変えていきたいという気持ちも強く持っています。
とは言うものの、最終的に夫の理解がないと、あなたの仕事はうまくいかないでしょうね。「やりたい」「やるな」の押し問答をしてもしょうがないので、理解を得るための努力はしないとなりません。日本は妻が家にいるものだという意識を持った男性はいまだに多いですから、そうであると対抗していくのはしんどいと思いますが、まずは夫が反対する理由をよく聞いてみることだと思いますよ。
私が就職した当時、まだ男女雇用機会均等法の始まる2年前。たくさんのラッキーな条件が連続して揃ってくれないと、女性は子育てしながらキャリアを積むことができない時代でした。私の場合、女性に理解ある職場で、子供も家族も健康。夫が働くことを理解してくれたのもラッキーのひとつ。それでも、夫婦はお互いを好みに染めたい気持ちがあるもので、夫とのせめぎ合いは随分とありましたよ。
例えば、夫婦で同じ検事の仕事をしていたので、似たような事件を扱っていながら夫だけ遅くなると、「何を手間取ってるのよ」なんて言いたくなるわけです。お味噌汁の味付けひとつにしても譲れないとかね(笑)。でも、うまく折り合いをつけるようにならないと、夫婦に限らず人間関係はうまくいきません。私たちもお互いの意思を尊重するようになって、夫婦として安定してきましたよ。今は、夫はいちばんの相談相手になっています。
社会的訓練をしながら背中を押してもらおう
もうひとつやっておくといいのは、仕事の情報収集も含め、地域活動など、外に出て社会的訓練をしておくことだと思います。女性センターのような施設でも、再就職を目指す主婦を支援するサービスがありますから、そういった所を利用して、やりたいことを相談したり、そのために必要な研修を受けてみてはどうでしょう。そうやって実績を積んでいけば、社会人である夫もだんだん認めてくれるかもしれません。夫から背中を押してくれるようになった方が、本当はいいと思うんですね。
あとは家事との折り合いの問題。あなたが頑張っている姿を見て、「いきいきとしていいなあ」と夫に思わせたらしめたもの(笑)。そのうちあなたが経済的に力をつけてきたら、夫婦でリスクも分散できていいじゃないかという、ハッピールートにいくわけです。私は、夫婦でお互いの仕事を素直に褒め称える姿を子供に見せるようにしていました。褒められてイヤな気持ちになる人はいませんよね。夫の理解を得るためにも、仕事に向けて準備をしながら、あなたが率先して夫を褒めてみてはどうですか。