叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「のんびり働きたいという考え方はおかしいですか…」

新社長が就任してから、会社の雰囲気が一変しました。それまではアットホームな職場だったのに、新社長が打ち出した強烈な成果主義のせいか、どこかみんなギスギスしているようです。私はもともと、出世に無縁でものんびり自分のペースで働きたいという考え方なのですが、このままではリストラの対象になってしまいそうで不安です。のんびり働くなんて考え、いけないんでしょうか。(営業・38歳)

それはあなたの人生です。
今週の叱り役

作家
重松清

information
『最後の言葉 戦場に残された二十四万字の残された手紙』(講談社)
妻に、子供に、恋人に宛てた愛の手記。60年の時を越えて、日本軍将兵の膨大な言葉が発見された。NHKハイビジョンスペシャル『最後の言葉の作家・重松清が見つめた戦争』で話題を呼んだ、感動ドキュメンタリー。
1963年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部を卒業後、出版社を経てフリーライターとして独立。あらゆるジャンルの雑誌で膨大な数の原稿を執筆。91年より作家活動も始め、99年『ナイフ』で坪田穣治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。01年『ビタミンF』で直木賞を受賞し、作家の地位を不動のものに。ルポルタージュには『隣人』『ニッポンの課長』などがある。

本当の悩みをオブラートにくるんでない?

あのね、僕があなたの考えを「いけない」って否定したら、「すみません、改めます」ってことになるのかな?そうじゃないだろ。あなたの本音は、のんびり働くことの是非を問いたいんじゃなくて、「このままだとリストラに合いそうで不安なんです」ってところにあるんじゃないのかい。そうでしょ。

本当の悩みをオブラートに隠してるような気がするんだよ。人生相談ってみんなそうなんだ。「この問題を自分はどうすればいいのか」じゃなくて、直面している問題を自分から遠いところに置いて、一般論や観念論にすり替えるんだ。自分のような人たち全般の意見として聞こうとする。だから、相談された方も「こうしろ」とか「こうなれよ」じゃなくて、ワンクッション置いて答えるわけだよ。

でも38歳だったら、そろそろオブラートをはぎ取って、「で、俺はどうするんだ」と、二者択一をしなきゃならない時期でもあると思う。自分に向き合った経験のない中高生じゃないんだから、向き合い方はわかってるはず。ただ、それがおっかないだけなんだ。ここでしっかり向き合えよ。

決断って手術みたいなもので、しないですんだり、薬で治るものならその方がいい。だから、まずは一般論でない、自分自身の問題としてきちんと向かい合うことだよ。のんびり働くことがいいか悪いかじゃなく、「リストラの対象になること」が一番の問題なんだ。そこから必要だと感じたら決断をする。プレッシャーや責任、リスクも伴うけど、人生の中に一度や二度は、決断しなきゃならないことがあるものなんだ。

悩みの渦中にいると「決断」が大きく見えてしまう

現実問題として、成果主義になったのだから、のんびり働いていたらリストラになるだろうね。社長が代わってリスクが出てきたわけだから。後はあなたの価値観次第だよ。のんびりペースを守って働けるような会社を探すのか、自分には向かないけど会社に残るよう頑張るか、そのどちらかの選択肢なんだ。のんびりがいけないことはない。みんなそうでありたいと思ってるさ。でも、そうできない現状にあるわけでしょ。

営業職で38歳ってことを考えると、僕だったら残ることを優先するな。「のんびり働きたい人募集」なんて現実的にはないと思うもの。今まで営業でのんびりやってこれたこと自体、幸運だったんだよ。成果主義の新社長が来たってことは、相当なテコ入れなんだろうな。会社の業績が、かなりヤバかったんじゃないか?

と言いつつ、僕は会社を辞める時、1日で決めた。「こんな会社にいる必要ない!」って、会社の原稿用紙に辞表を書いた(笑)。かなり衝動的だったよ。でも、人からは大きな決断に見えても、当の本人にしてみてば我慢できなかっただけで、そんな意識を持ってなかった。振り返ってみると、「あの時の決断が俺を変えたんだな」とは思うけどね。

だから、端から見て「スゴイ決断」ってことでも、本人はそう感じてないんだと思うよ。それこそ「そこに山があるから登りました」みたいにね。悩んでる渦中にいると、「この決断はとっても大きいんだ」って頭でっかちになって、判断できなくなる。だから人に相談して逃げようとしちゃう。自分で向かい合って決断するより人に聞きたいんだよな。

でも、迷ったり悩んだりする時こそ自分と向き合えるわけで、それって大事なことだと思う。そして、人に相談するなら、「会社を辞める」って土台の部分は自分で決めて、「半年間、失業保険はあるけど、どうやっていこう」とかっていう「HOW TO」の部分を人に相談するんだよ。「辞めるか残るか」はあなた自身の問題なんだから。

「自分と向き合うのも怖いし、向き合わないと決断できないしどうしよう」なんて悩みは時間のムダ。そんなに時間は残されてないぞ。もし転職するのなら頑張らないと。

EDIT
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WRITING
羽塚順子
PHOTO
刑部友康

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