プライベートを任されるのは信頼の証拠
まずは携帯の電源を切りましょうよ。24時間対応しなければいいじゃないですか。通常のサラリーマンの勤務時間内だけではどうかと思いますが、たとえば夜の 10時以降はオフにするとか、常識的な時間帯で対応するようにすれば、少しは気持ちもラクになるでしょ。世の中には、相手の都合なんてお構いなしにかけてくる人がいますが、私は自分のペースでやっているので出ません。非常識な時間にかけてきたらなおさら。「かける時間帯を考えてほしい」と訴えてみてダメなら、そうやって出ないことです。「どうして出ないのか」を聞かれたら、「出たくなかったから」と答えればいい。プライベートのペースまで振り回されないようにすることです。
動けない状態というのは、まだ社長に転職したいことを言えてないのでしょうか。こうやって誰かに相談すること自体、あなたの気持ちが社長から離れているのだから、早くきちんと伝えた方がいい。でも、社長にしてみれば、プライベートをさらけ出しているということは、あなたのことをものすごく信頼しているんですよ。あなたが去ってしまったら、相当なショックを受けるでしょうね。まあ、そうやって社長って強くなっていくんですけど(笑)。
私の知り合いの経営者には、秘書に対して公私混同している人ってけっこういますよ。会社の経理と家の経理はもちろん、奥さんや愛人の連絡まですべてやらせていたり。愛人との連絡係なんてひどいなあと思うけど、当の秘書の女性は、社長にそこまで頼りにされて嬉しく思っているみたい。あなたは賃金が上がらないと嘆いてるけれど、その秘書は普通の会社員程度の年収で何でもこなしている上に、その収入でシングルマザーとしてお子さんも育てていますよ。恐らくその方のお子さんに何かあった時には、社長が惜しみなく援助するでしょう。数十億円の個人資産を秘書に預けていて、「裏切られたら僕は一文無しだよ」って笑ってるんだけど、それくらい強い信頼関係が築かれてるわけで、私から見るとすごく羨ましいです。
問題はどこまで社長や会社に惚れ込んでいるか
あなたも社長から心底信頼されているのだから、やろうと思えば、あなたが社長を操縦することだってできるんですよ。社長を育てるのも会社を育てるのも、結局は二番手の力って大きいと思うんです。あなたは経理の全てをやってるのだし、会社を動かそうとすれば動かせる立場にいるのに、今のままじゃちょっと受け身すぎるのではないかしら。要は、社長や会社に惚れて入れ込むことができるのか、それとも6年間一緒にやってきた社長を見捨てるのか、あなたの気持ち次第なんですよ。変わるのは自分。周りや誰かが変わってほしいとか、人に何とかしてもらおうなんて都合よくはいきませんよね。
ついていけるだけの価値がある経営者かどうかを見分けるには、私なりに一緒に仕事をしたい経営者の基準があります。厳しすぎて参考にならないでしょうけど(笑)。まず、社長自身が魅力的で尊敬できる人じゃないとイヤだし、修羅場をくぐって、その修羅場から這い上がって来た人じゃないとダメ。同志と思えないと仕事もやる気になりません。修羅場をくぐる体験をしてきた人って、それだけトラブルの対応にも慣れているし、人間的に成熟してますからね。
私の場合は、ほったて小屋のような店を仲間と手づくりで内装した焼肉屋からスタートして、12店舗まで飲食店を拡大した2001年、狂牛病事件が発生した。そのニュースを知った瞬間、焼き鳥店にすることを決め、わずか3日間で一気に業態変革したんです。その時は修羅場でしたよ。仕入先やいろんな人に頭を下げまくって、スタッフはごっそり辞めてしまったし。でも、会社のためスタッフのためを考え、意を決して行動したわけで、非難されても「すべて会社のためだしあなたたちのため」って言える。あなたも何故社長についてきたのか、社長とともに修羅場をくぐるだけの覚悟は持っていないのか、考えてみてはどうかしら。