叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「弁護士の夢を追いたい」

学生のころは、弁護士を目指して頑張っていましたが、司法試験に2度失敗し、夢をあきらめて就職しました。が、30歳を目前に、やはり自分のやりたいことを仕事にしたい、という気持ちが日に日に強くなってきています。今の仕事は順調で、ここで夢を取るべきか現実を取るべきか悩んでいます。(不動産営業 28歳/男性)

中途半端な夢は不幸になる
今週の叱り役

アルピニスト
野口健

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●野口健公式サイト
野口さんの活動紹介、メッセージ、ブログ等はこちらから。
http://www.noguchi-ken.com
1973年、アメリカ・ボストン生まれ。高校時代に読んだ植村直己氏の本に感銘を受け、16歳から世界七大陸の最高峰登頂を目指し、25歳のとき、世界最年少でその夢を果たす。その後はエベレストの清掃登山、環境教育などに尽力。「富士山から日本を変える」をスローガンに精力的に活動中。

順調な現実を捨てて、腹をくくれますか?

夢を追うかどうかは、あなたの弁護士になりたい気持ちがどれだけのもので、それに向かって腹をくくれるかで決まると思います。今の順調な現実をすべて捨て、また落ちるかもしれない試験でもやるぞ、と覚悟できるか。登山の場合は「山で死ねるか」みたいな極論になっちゃうけど、弁護士を目指すのだったら、「試験に落ちて、そのあと仕事がなくてもいいのか」ってことでしょう。

僕の場合、エベレスト以外の選択肢をつくらなかったけど、あなたは一度就職をして、選択肢を持ってしまったわけですよね。僕は、最年少でエベレストを含む7大陸最高峰を制覇すると宣言してた。それが成功しなかったら、次に進めないと思ってましたからね。だから、2回失敗して、ぼろくそに非難されても、エベレストをあきらめるという選択肢を自分でつくらなかったんです。

でも、僕は「夢を最後まで追え」とは思わないんですよ。みんな夢を持つのはいいことだと言うけれど、夢で生きていくのは大変なことだし、決してきれいごとじゃない。中途半端な夢を持ってしまったがために、不幸な人もいますからね。登山家だって、それだけでメシを食える人なんてほとんどいない。それこそ山で遭難した人の遺体運びまでして稼ぐわけです。夢を持ってその世界で生きて行くというのは、みんなが抱いているイメージとは違います。

夢だけじゃなく、強い使命感が必要です

つまり、生きるってことは、現実に飯を食って生活していくってことなんだから、できない目標を掲げちゃいけないんですね。例えば「100メートルを世界記録で走る」とか、「アメリカの大統領になる」なんて言っても、どだい無理なわけだから、自分ができるのは何か、自分の限界もある程度わかっていて、能力のぎりぎりのところで最大限できることは何かって考えていく。

しかも、たとえ夢を持って成功したと言われる人たちでも、本当に幸せかどうかはわからないですよね。有名になりすぎて自由がなくなったり、アスリートだって、あらゆることを犠牲にしてプレッシャーと闘いながら、失うものも大きい。体を酷使してるから長生きもできないよね。だから、もう最後は夢とか幸せじゃなく、使命があるか、だと思うんです。

僕が一軍の野球カメラマンのADのアルバイトをしていた当時、ものすごい罵声やヤジを浴びるピッチャーがいました。彼はボールに向かってぼそぼそ何か言っては、一球一球を投げている。背中で必死にたえてるんですね。格好よかったけど幸せには見えなかった。彼は彼の使命を全うすることと戦っていたんですね。僕はあれを見て簡単に夢で生きるなんて思っちゃいけないと感じた。あなたも弁護士になって、絶対に人を救うんだっていう使命感が強くあるか。それなら本気で向かって行けるんじゃないかと思うんです。

EDIT・WRITING
羽塚順子
DESIGN
ITコア
PHOTO
岡本寛

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