海外に行ったことだってキャリアになる
26年間、これでやってきたんだから、このままでいいじゃない。友達の姿を見て不安になったって言うけど、他人は関係ないでしょ。まずは自分を見なさいよ。
オーディションでも、中学生で眉毛を抜いてる女の子に尋ねると「学校でみんながやってるから」って言うんだよね。そこに自分の意志はないんだ。あなただってそうだよ。周りの人たちとすべて同じコトしてどうするの? 自分は自分。二人といないんだから、自信を持たなくちゃ。
海外へ行ったら、多少の外国語は身につけただろうし、文化も肌で感じて来たでしょう。それだってキャリアって言うんじゃない? もちろん、企業はただ海外に行ったことだけじゃ評価してくれないよ。何のために、どういう手段や方法で行ったのか。ラクして行ったのか、覚悟を持って行ったのか。その部分が大事なんだよ。
うちのオーディションに受かった女の子に、アルバイトしてお金を貯めて、目的を持って海外に行った経験のある子もいる。そういう子はとても根性があるよ。留学経験があるマネージャーも、いきなり外国の人と英会話ができたりね(笑)。素晴らしいことだと思うよ。
海外に飛び出していくことができたのに、日本で先に進めないなんておかしいよ。体面や世間体を考える暇があったら、行動してみなよ。動けば必ず何かが起こるし、波風も立つしさ。犬だって柱にぶつかるじゃないか。
引き出しから経験を取り出せる柔軟さを
僕は若い頃、俳優を目指して田舎から上京したんだよ。ところが、アルバイトをきっかけに、高級ディスコの副支配人になって、「自分でも店をやってみたい」と思って努力するようになった。でも、他に面白そうなことが見つかって、転職もしたよ。それが芸能界だったから、この道を来たけれど、いつもいろんな不安はつきまとっていた。それをうち消すために、ひたすら走り続けてきたんだよね。
振り返ってみると、そもそも何で店を立ち上げたんだろう、俳優になりたかったんだろう。そんなところまでさかのぼっちゃうけど、すべて後悔はしてないよ。その時は失敗してケガもしたけど、それも常に「今の一瞬」を大事にし続けてきた結果なんだよね。
イヤなことでも、結果はすべて楽しいと思えるように努力してきた。そうじゃなきゃつまらないでしょ。そして、大勢の人と出会って話すことだね。身内や友達、同業と連んでたって役には立たない。しょせん「井の中の蛙」。僕は若い頃からずっと、自分の仕事とはジャンルが違う人たちにたくさん会ってヒントをもらっていたよ。
日本から飛び出し、海外で経験してきたことは、日本ですぐには役に立たないだろうね。でも、どこかで必ず役に立つんだ。ゆくゆく当てはまる場面に遭遇する時がくる。だから、他の人にない引き出しを、自分はたくさん持っているんだと自信を持つことだよ。
後は、行動すること。ダメだったら、また海外に行こうと思うかもしれないし、それはやってみないとわからない。1年後、3年後を考えるんじゃないよ。明日のことだって誰にもわからないんだから。今を大事にしっかり生きなさいよ。過去のことは引き出しの中にちゃんと入ってるんだから、この部分を使えるぞという時、すぐに引き出せるよう、頭を柔軟にしておけばいいんだよ。