叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「長期休暇後も出社拒否の症状に悩んでいます…」

苦手な取引先との対応が苦痛で、会社に行くと腹痛に襲われるようになりました。上司に相談して長期休暇をもらい、リフレッシュしたつもりだったのですが、休暇後、また同じ症状が。精神的に弱い私にアドバイスをお願いします。(営業事務 30歳/女性)

専門家も視野に
今週の叱り役

精神科医
名越康文

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1960年、奈良県生まれ。近畿大学医学部卒業。97年、ラジオにDJとして出演したのを機に、精神科医のフィールドを飛び越えて活躍。映画や漫画の原作ブレーンをはじめ、テレビでは独自の鋭い心理分析で話題に。著書に『女はギャップ!』『危ない恋愛』『ハッピー8』『14歳の子を持つ親たちへ』ほか。

治療に向けて動くことが第一歩

もしもひどい腹痛であったら、「精神的に弱い」と決めつけるより、心身症である可能性も視野に入れて、科学的に検証してみるべきだと思うんです。休暇をとっても治らなかったのでしょう?それなら、例えば、精神科や心療内科の専門家を訪ね、治療に向けて積極的な動きをしてみることが、第一歩だと思うんです。

あなたの相談の文面から、会社に行きたくても行けなかった、そして、一所懸命頑張った末に休暇をもらった、ということがなんとなく伝わってくるんですね。その上でまた同じ症状が出ているのですから、ひとつの症状が固定化しているか、もしくは進んでいる可能性もないとは言えないんです。

今のあなたは、意識では出社しようとしながら、無意識では出社を拒絶しているという状態でしょう。人間って、自分で受け入れられる部分の記憶は、頭の中の引き出しにしまって、いつでも出せるように整理できるんです。ところが、思い出すことに大きな苦痛を伴う記憶は、無意識の中に隠ぺいすると考えられてるんですね。その無意識の方に封じ込められた記憶はいったいどうなるか。簡単に言うと、体に出る、体に異変が起こることになるんですよ。

認識することで回復に向かえる

僕も27歳の研修医だったとき、普段は全くならないのに、猛烈な肩こりになったことがあるんです。そのうち夢の中で、当時の指導医に毒づいてる自分が出てきて、「ああ、こんなに僕はあの人に対して怒っていたのか」と気づいた。これは僕の例だけど、そうやっていつの間にか体の中に溜まってしまうことを理解して、体からの声に耳を傾けることも大事です。

ところが、無意識に閉じ込めたことに気づくのは、とても難しい。しかも、ちゃんとプライドを持っている人が、自分で認識するという行為は、逆に震えがくるほど怖いことだし、ものすごく痛いんですよ。手術には麻酔があるけど、サイコセラピーには麻酔がありませんからね。精神科の薬を服用して治療するにしても、精神的に弱いという烙印を押された気分になってしまうので、これも勇気がいるんです。

特に日本人は、欧米人に比べてよく働くし、有能な人ほど仕事の中で自己形成したり、喜びを得たり、「仕事イコール自分」になっていく。そんな中で「まさか、こんな症状が出るなんて」ということは、認められないんですね。でも、専門家に助言してもらいながらでも、「認識することは怖くない、認識するからこそ、回復に向かっていけるんだ」ということを、あなたにも知ってほしいと思います。

EDIT
マインドシェア
WRITING
羽塚順子
PHOTO
鈴木慶子

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