叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「将来の独立を考えています…」

将来、一緒に起業したいと考える仲間がいます。若くて能力のある人間が志を同じくして集まっているとは思うのですが、さて、独立したら何を売る会社になるのか。具体的なプランがなかなか出てきません。起業して成功された方々が、このビジネスをやっていこう!と進むべき道を選んだきっかけって、何でしょうか? (プログラマー・29歳)

いまやるすぐやるとりあえずやる
今週の叱り役

経済アナリスト
森永卓郎

1957年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局などを経て、91年から三和総合研究所(現 UFJ総合研究所)主席研究員に。 専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。難しい経済を解りやすく明快に語る。著書多数。

好きなことへの好循環で能力を活かす

私の知る限り、自分の好きなことで起業して成功する人たちが多いですよ。好きなことなら自ずと能力も磨かれるし、能力がつけばますます仕事が好きになるという好循環が生まれる。しかも、立ち上げ時は売り上げが伸びずにつらい時期もありますが、好きなことなら儲からなくてもいいと思えるし、踏ん張りがきく。つまり、簡単に商売をやめるようなことにはならないんです。

サービスや商材、製品をどうすればいいかわからないというのなら、大物でもそういうケースはありますよ。たとえばソニーの創業者の井深さん。彼らは電気技術を活かせないかと、いちばん最初は、おひつにニクロム線を回して付けた電気釜をつくったんですからね。あなたたちも若くて能力のある人間が集まってるのなら、その能力を活かせることをすればいいじゃないですか。プログラマーとして培ってきた経験があるのだから、誰かのためにホームページをつくってみるとか、オンラインショッピングのシステムをつくってパッケージにするとか、名刺だって簡単に作成できるし、パソコンに強ければ何でもできるじゃありませんか。

これに乗っかれば自動的に儲かるなんておいしい話は、基本的にあり得ないんです。とりあえず、今の会社にいるうちに何かやってみる。たとえそれがビジネスとしてではなく、遊びの一環としてでもいいから、とにかく行動を起こしてみるんです。そうすると、「これはいけそうだ」とか「ダメそうだ」という土地勘がついてくるものですよ。

今はネット環境が発達しているので、たとえば自分からサイトを仕掛けても維持費はそれほどかからないし、オークションなどに商品を出品してもコストは小さいものですよね。会社員を続けながら収入を維持しつつ、いろいろと試行錯誤してみれば、その間は多少失敗しても大丈夫なんです。その中から最小限生活を維持できて、自分も没頭できるという分野を決め、同時に能力開発も進めていくことでしょう。

「いつかやってみよう」では絶対に進まない

こう言ってる私だって、将来の夢に向かって試行錯誤してるんですよ。「背水の陣」と「経験のない決意」はするべきでないというのが私のモットー(笑)。以前、どうしてもカメラマンがやりたくて、私の元に取材に来る編集者に向かって「カメラマンとしてつかってください」って言い続けて営業したこともあります。カメラマンを捕まえては、どうやってなったのかも聞きまくってね。ついに根性で大手ビジネス誌のフォトエッセイの連載の仕事を取ったものの、いざやってみると、これが実に大変。機材は肩に食い込んで、体力も忍耐もいるし、撮影に行って1枚もまともに写ってなかったという失敗もしました。でも、それもすべてやってみたからこそわかったこと。ただ「いつかやってみよう」と思ってるだけでは、絶対に前へ進みません。

だから、「今すぐやる」ことが大事なんですよ。そして、小さく生んで大きく育てるのが起業の基本。どうも、あなたの相談からは、社長になりたい気持ちが先行してるような気がします。いきなり最初から綺麗なビルにオフィスを借りて「自分は社長なんだ」とばかり大きな椅子を買ったりする人は、必ずと言っていいほど失敗しますからね。最初に「こういうことをやりたいんだ」という思いがないと、事業として苦しくなる。商品まで絞り込まなくてもいいけれど、自分たちのこの資産を使ってビジネスをやろうという部分は、きちんと特定しておくことが必要です。

ただし、仲間と一緒にやるなら、事業がある程度の大きさの規模になるまで、役割分担をきちんと決めておかないと、トラブルになる危険性もあります。事業を続けるというのは、良いことばかりじゃないと心しておきましょう。

EDIT
マインドシェア
WRITING
羽塚順子
PHOTO
刑部友康

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