際立って優秀な人なら許される
私も以前勤めていたシンクタンクが夜型の会社で、毎晩遅くまで仕事をしていたものです。私の担当は文章ものを作成したり、顧客と交渉する営業。そしてもうひとり、一緒に組んでシステム周りを担当する相棒がいたんですよ。ところが、彼はいつも早々に退社して、あちこち夜遊びに行っちゃう(笑)。
最初は、その相棒のことを「この野郎」なんて思ってたんだけど、電話で助けを求めれば、何時でも一目散に飛んでくるし、ちゃんと私の様子を見ていて、危なそうな時はずっと会社にいるか、出ても必ず戻ってくる。まあまあ大丈夫かなって時は、退社はするものの、まめに電話をかけてくる。しかも、顧客の希望に沿った結果が出るように計算をさせると、まるで超能力のように素早くはじき出しちゃう。つまり、めちゃくちゃ仕事がデキる相棒だったので、問題なかったわけです。
あなたは自分のことを省みてどうでしょう?周囲の人たちと違う勤務時間にしようとする行為は、ずば抜けて仕事ができることが前提条件になるんですよ。そうでなければ、周囲だって納得しないし、非難されておしまい、でしょ。社内の状況はおかまいなしに自分だけルールを変えて「お先に」と退社できるほど、世の中は甘いものではありません。
これは有給休暇を取る場合も同じ。本当に優秀な人は上手いタイミングで休暇を入れるので、休みを取ったかどうかを周囲に気づかせないんですね。ところが能力のない人は、同じ日数の休暇を取っても「あいつ、休んでばかりいるんじゃないの」なんて言われてしまう。優秀な人というのは、仕事のどこで自分が必要なのか、引き際を見極める力もあるわけです。
弱っている時に手助けして可愛がられよ
じゃあ、まだ若いあなたの場合はどうすれば良いかというと、みんなの仕事のパターンをよく観察して、いつ、どんな締め切りが入って、どこに仕事のピークが来るのかを見極め、それをすくい取って手助けすることから始めればいいと思いますよ。すると、周囲があなたに対して文句を言えなくなるんです。病気の時は口説かれやすくなるのと同じ心理。相手が弱ってる時に助けることが効果的です。そうやって弱みを握り、みんなにコネと貸しをつくってから、繁閑時を見抜いて、大丈夫そうな日にさっと帰ることだと思います。
後はね、「こいつかわいいな」と思わせることができたら、周囲の人たちはあなたの味方になってくれます。人間、可愛がられる技術だって大事。私はけっこうそれで切り抜けてきましたよ。いちばん良くないのは自分の都合ばかり考えることです。何の配慮もなく早く帰り続けていたら、そのうち誰もあなたと仕事をしてくれなくなります。
基本的には、夜型の会社で自分だけ朝型にするのは、かなり困難だと覚悟すべきでしょう。なぜなら、突然のトラブルや人手が必要な時のため、一見無意味と思える「いつも会社にいる」ということに、実は価値があるからです。ましてや、定時に終わるようなお役所仕事でない業種はなおさら難しい。ただ、やると決めたら本気を出して、社内で必要とされる人となるべく、しっかり取り組んでください。