生活の糧として働くことが大前提です
みんな妥協しているんですよ。そうしなければ生活できないから。何も恥じることも悩むこともありません。このままでいいんです。人生は道を求める歩みで、みんな求めているものが見つからないから、さらに求めようとする。それがたとえ見つからなくても、求めていることそのものに意味がある。だから君の生き方は決して間違っていないと思います。これが男性遍歴じゃなくてよかったでしょう(笑)。「これだ」という出会いが仕事なのか、もしかすると男性かもしれないけど、それはそれでいいと思う。
「これだ」と思えるような仕事と出合うというのは、よほど才能を必要とする特殊な仕事であって、世の中、特殊な能力ばかり求められているわけではありませんよね。僕の教え子に、大手企業に就職できる優秀さを持ちながら、小さなベンチャー企業のことが気に入って入社した子がいました。その会社が後にとても大きく成長して、その子も研究部長に昇進しましたけどね。そうやって好きなことで伸びる人もいるけれど、全ての人に当てはまるとは限らない。
しかも、本来働くということは、生きていく糧を得るために必要なこと。人間の三大義務「勤労、納税、教育」のひとつです。まずはそれを受け入れるしかない。その中にできれば創造的なものや、自分を評価してもらえるものだとか、楽しい環境とかがあってほしいと願うけれど、まずは生きていく糧であることが原点。それを踏まえないうちに「もっとこうだったらいいのに」みたいなことを考えるのは違いますよね。たとえイヤな仕事をしていたとしても、自分の家族を食べさせている、あるいは自分の生活を営めているのなら、国民として自立した立派な人間だということ。堂々と胸を張ればいいんです。
「仕事探し」ではなく「人探し」をしてみよう
だから、生きるための糧を得ることと踏まえた上で、もっと広い視野で仕事を見つけてみればいい。何も僕は業界、職種といった仕事探しばかりではないと思います。君はまだ大事なこと、この人のもとで働きたい、学びたい、一緒に働きたいという「人」が見つかっていないのです。だから、君にあえて言うなら「人を探しなさい」ということです。どんなイヤな仕事でも、学ぶことができる人が同じ職場にいれば生きていける。だから、仕事探しではなくて人探しをすれば、もっと簡単に次の道が見つかるかもしれない。
仲間や上司の人間関係で仕事を選ぶという目線があってもいいと思うんです。君は向上心が非常に強いから、同僚と仲良くやることではなく、仕事ができて頭のキレる上司との出会いが必要でしょうね。そんな上司と出会ったら目の色が変わるかもしれない。もしかすると「この人には負けたくない」ってライバル心になるかもしれないしね。そうやって、たった1人でも合う人が職場にいるだけで、いろんな問題解決ができることだってある。どうですか、そうやって今のままで、人を探してみようよ。