知ったかぶりは嘘の領域
知ったかぶりというのは、僕に言わせたら嘘の領域に入る。身長が170センチなのに180センチと言ってる詐称と同じ類だよね。
とはいう僕もかつて、知ったかぶりを一度したことがある。ある銀行のプロジェクトチームの人たちと話していた時に、「最近アレがすごいですよね、何倍にもなっちゃって」と言われ、僕は何のことかわからなかった。相手に聞いて教えてもらえるはずもないので、話してるうちにわかると思い、「本当にスゴイですよね」と相づちを打った。ところが、会話の最後まで何のことかわからずじまい。後にその銀行は無くなって、今だに何のことだったかは不明(笑)。でも、そんな笑い話は非常に稀有なこと。基本的に知ったかぶりはいいことじゃない。
あなたが知ったかぶりをしている内容が、「嘘」とまで言えるかは定かでないけれど、ちなみに僕の会社では、嘘をついたらクビ。仕事ができないとか、遅いとか、ミスをしたとか、そのことではまったくクビというカテゴリーに入らない。でも、たとえどんなに仕事ができる人であっても、嘘をついたことがわかった瞬間にクビなんです。そのくらい重いことなのだと、あなたも受け止めるべきでしょう。
自分自身を基準に考える
僕からアドバイスできることのひとつは、「そのまま直さなくていいんじゃない」ってこと。だって、知ったかぶりなんて続けていたら、必ずや痛い目に遭うからね。そして、もうひとつは、あなたが期待されているのは、自分を自分以上に見せることじゃない。自分は自分以上でも以下でもないのだと知ることです。
つまり、皆それぞれ、でこぼこと形が違うもので、そういう個性ある人たちが同じ結果を出す必要はないし、そもそも不可能。大切なのは、他人ではなく自分という形や大きさを基準として、どれだけ伸びるか、どれだけ会社に貢献できるかってことでしょう。知ったかぶりをするあなたには、そんな視点が欠落してる。潜在意識の中で、あなたとは違う「こう知ってるべし」という人物像にマッチさせようとしてるんじゃないだろうか。
上司や会社、社会から期待されているのは、一定水準以上の知識を持っていたり仕事ができることじゃないんです。その人として、何%の力を出して先に進もうとしているかということなんだよ。80%なのか、120%なのか。歩みを早めて走るってことだね。あくまでも自分自身として走るのだから、それは異なる自分になろうとするのではない。知らないのに知ってる自分になろうとすることとは違うでしょ。
あなたはまだ24歳だからね。十分やり直しができる。むしろ何でも「わからない」と言える若さの特権を持っているんです。できることなら、僕もそんな年齢に戻りたいよ(笑)。よく考えてごらん。いつまでも知ったかぶりを続けていたら、いつか大変なことになる。でも反対に、すべてに知らないふりをしたら、今まで自分が知ってると思っていた以上に教えてもらえるから、勉強になるはず。そのほうが得だとは思いませんか。