雑用こそ仕事の基礎になるもの
雑用は一番下の立場の子がするものだと思ってる?でも、雑用って仕事の基礎になるものじゃないかしら。それを「たかが雑用」と、きちんとやらないままでいると、砂上の楼閣のように、いくら立派な仕事を上に積み重ねようとしてもできないと思うんです。例えば、お茶の出し方ひとつにしても、きちんとできなければ、大人として恥ずかしいでしょ。
あなたの言う雑用がどういう仕事かはわからないけれど、自分で「これは雑用」って決めつけちゃうのもどうかな。会社の人は「まだできていないから、もうちょっと頑張りなさい」って気持ちで見守りながら、基本となる仕事を反復練習させてくれてるのかもしれません。「何度やれば覚えるんだ」なんて文句も言われず、大事にされているうちが花なんですよ(笑)。
私も若いころは「もっとできるのに、なんでこんな仕事しなきゃならないの?」って、不満に思うことがありました。でもね、それは若気の至りだった。仕事がこなくなってから気づいたんです。努力が足りなかったんですね。私の仕事は、求められていることを言動に表すサービス業だと思ってるんですけど、たとえどんな仕事でも、自分に求められている役割を察することってすごく大切。1つのことを聞いたら3つのことを感じ取れる、というようにね。
仕事ができる人は、役割を察して工夫できる
自分の役割を察したら、例えば会議のファイルひとつ頼まれても、雑用とは思わず、気が利いた作り方だってできます。会議の準備をするにも、こっちの使いやすいペンにしようとか、右利きと左利きの人にはペン置く位置を変えるとか、いくらでも工夫できるでしょ。結局、仕事ができる人って、そういうことができる人なのだと思うんです。
だから、スキルアップしたいなんて上ばかり見ていないで、足元をしっかり見つめ直さないと、いつか踏み外して転んじゃいますよ。まずは、今やっている仕事のプロになってみたらどうかしら。お茶を習っておいしいお茶を入れてみるとか。そうしたら、仕事もきっと楽しくなってくるはずよ。
もし、今のまま違う会社に転職したとしても、高卒で18歳とか、短大卒の20歳くらいの子たちと一緒に、振り出しに戻って最初からやり直す覚悟はありますか?社長や私にこうやって相談するってことは、まだ迷いがあるんじゃないかしら。人って、本当にやろうと心に決めたら、相談しないで行動しちゃうものだと思うんです。会社の辞め方を考える前に、もう一度、今やっている仕事を見つめ直して考えてみてね。