周りに理解してもらうのはあきらめましょう
周囲の人たちに理解してもらおうとするのは、あきらめることだね。世の中の人たちは、毎日同じ会社に通勤して、毎月きちんとお給料をもらう会社員でいれば、安心だと思っているからね。それは日本だけじゃなく、世界的に見ても、安心材料の原点になってると思うよ。そこから外れていると、親兄弟、親戚、同級生と、あなたの身近な人ほど心配するものなんだ。
音楽一家で育った僕でさえ、若いころ、いろんな人たちからさんざん非難されたよ。60年代、僕らがやっていたのは、髪を伸ばしてロックをやるような音楽の創世記だったから、「そんな音楽やってて、メシを食えるはずがない」って目で見られてた。だけど、それが社会での常識であり、世間の親心だったんだね。当時は、「ああ、心配してくれてるんだね、ありがとう。でも、勝手にやるから」って、耳を貸さなかった。理解してもらおうなんて思わなかったよ。
同窓会や親戚の集まりに顔を出そう
僕は、たまたま、いちばん好きなことを仕事にしていたら、フリーでやっていくしかなかった、という感じ。仕事の依頼がくればやるけど、こなければできない。あなたもそうだよね。明日の仕事は保証されていないようなものだからさ。そういう不安定な立場だと、身近な人ほど、同窓会とか親戚の集まりなんかに呼んでは、「まだ定職に就いてないのか」と、お説教したがるんだ。でもね、そういう集まりがあれば、どんどん顔を出してみるといいよ。
そして、嘘でもいいから、彼らを安心させるストーリーをつくって話すの。詐欺師みたいなことを言っちゃダメだけど、「心配しないでよ、僕にはフリーでやっていく胸算用がある」とか、「これから伸びる仕事をやってるんだ」とか、「こうやって働くことがトレンドになる」みたいにさ。みんなを「なるほど、それならまあ、大丈夫そうか」と、安心させるための物語をある程度仕立てて、ちゃんと語ってあげるんだ。僕もかつては、そうやってかわしたよ。
あなたは、フリーでやっていくことに迷いはなくて、腹をくくってると思うんだ。だから、それくらいのことはできるよね。なかには、腹をくくれず不安になって、素の自分とは違う仮面をかぶって就職してしまう人もいるんだよ。でも、その仮面をかぶり続けていられるのか、ってことだよね。もちろん、仮面をかぶるほうが楽だという人もいる。僕のアドバイスは反社会的かもしれないけど(笑)、あなたはフリーで生きてくことを決めたのだから、周りの人たちを安心させた上で、フリーランスライフを全うしましょう。