欲張りになったらツキはこない
まず、「人生は不条理なものだ」ということを受け止めることが大事だと思うんです。占いをやる僕が、こんなことを言ってはいけないんですが…。ただ、世の中や人生というのは相当複雑で、よくある願望実現の方法で、こうすればうまくいくとか、願いが叶うという単純なものではないんですね。複雑だからこそ面白いことだってある。わかりにくい複雑さを消去し、すべてシンプルにしようと、実現したいことのイメージを強く埋め込もうといったやり方って、僕は違うと思うんです。結局、それをやっても、実現しない確率のほうが高いんですから。
じゃあ、ツキを呼ぶにはどうするかと言うと、欲を出して「がっつかない」こと。自分が欲のかたまりになってしまうと、「類は友を呼ぶ」で、どうしても欲をかいた人同士が集まるようになってしまいます。そういう人たちとは、お互いを利用しようとする気持ちが先立って、基本的な信頼関係が築けないんですね。でも、欲張りになっているかどうかを自覚するのは、ちょっと難しい。一度、自分自身を俯瞰(ふかん)して、客観的に見つめる作業が必要になります。
運の90%は人間関係の築き方次第
たとえば、なぜ、応募した会社から落とされてばかりいるのか、彼女がずっとできないのか、という理由を、運やツキ以外のファクターで考えてみるんです。確かに、宝くじは運で片付けられるでしょうが、転職や恋愛については、人との関わりが大きい。今の日本では、戦争や天災でも起こらない限り、人生の善し悪しの90%は人間関係をどうやっていくかで決まる、といっても過言じゃありません。身に降りかかったことを、すべて運のせいと決めつけてしまうと、自分を客観視できず、いつまでも同じスパイラルから抜けられなくなってしまいます。
僕の場合、人にも仕事にもとても恵まれているんですね。恐らく、その理由のひとつに、僕が「自分には荷が重すぎるな」とか、「今の自分の能力ではできないな」と思った仕事を請けない、ということがあります。好きな仕事の中でも、自分の「射程距離」を把握することが大事だと考え、それを超えた仕事は、欲張ってやろうとしないようにしているんです。もし、ひとつひとつの仕事にも魂があるとすると、欲を出したら、仕事に対して失礼になるという気がして。だから、射程距離内の好きな仕事がきちんと回っていくし、僕と同じような価値観を持って、好きな仕事を大切にしているタイプの人たちと親しくなっているのだと思うんです。
もうひとつ、少しきつい作業かもしれませんが、人生がトントン拍子の親友とあなたのどこが違うのかも、客観的に比較してみることでしょう。占星学的にいうと、28、29歳という年齢は、土星が太陽の周りを一周して、自分が生まれた年の位置に戻ってくることから、「サターンリターン」と呼ばれ、多くの人が転機を迎える年なんですね。自分にできることとできないことがおおよそわかり、生き方の輪郭がはっきりしてくるので、現実と向かい合うことが大切な時期になります。ここで、親友と自分との違いを客観視することを、ぜひ、いい転機にしてみてください。