失敗や間違いを恐れないで
緊張するというのは僕の仕事も同じです。ステージに立つ緊張は、きっと何年歌手を続けていても感じるものだと思ってます。だから、うまくこの緊張を使えたらベストなんですね。大勢の人が見ていると、歌う前に「うまく歌えるのかな」という不安と緊張でいっぱいになるけど、僕の気持ちとしては、精一杯歌いたいし、歌のイメージも伝えたい。だから、不安や緊張を「歌いたいんだ、聴いてもらいたいんだ」という気持ちに切り替えて、歌のイメージの中に入っていくんです。
あなたもきっと、初対面の人たちにきちんと説明しなくてはと、自分の仕事に責任を感じて緊張してしまうんだと思います。でも、相手は知りたい情報を聞こうとしているのだから、あなたはその情報を伝えてあげたい、助けてあげたいという気持ちに切り替えていけたらいいんじゃないでしょうか。緊張している自分の気持ちにばかり集中してしまうと、失敗してしまいます。
でも、失敗や間違いをすることを恐れることはないです。失敗した経験が糧になりますから。僕はまだデビューして数カ月だし、ステージでも間違えることがよくあるんですが、完璧な人間っていないのだし、「前回はこういう間違いをしたから、今度はしないように」という意識を持つだけで、だんだんと成長していくものだと思うんです。ちゃんと練習をしていれば、1年も続けて同じ失敗をすることはありません。
「とりあえず伝わればいいや」の気持ちで
もし、あなたが間違いも失敗もしないで、すべて完璧に伝えようとしているのだったら、とりあえずわかってもらえればいいや、くらい楽な気持ちでいた方がいいですよ。それで十分なのだし、僕も自分の日本語で完璧に伝えたいことをわかってもらうことは無理だとわかってるので、文法や単語が正しくなくても、ジェスチャーなんかを使ってとりあえず伝えたいことの主旨が伝わればいいって考えでいます。それがコミュニケーションというものだから。
僕がやっている、緊張しないでリラックスできる方法がひとつあります。それは、頭の中を真っ黒にするんです。緊張すると真っ白になってわからなくなると言いますけど、先に自分の頭の中を黒色に塗りつぶしておいて、ゆっくり深呼吸。そうすると落ち着きます。ステージで歌うときは、真っ黒な頭の中に、すーっと曲だけ入ってきて歌のイメージに集中できます。
頭の中を真っ黒にしておくと、周りにたくさんの人がいても、誰もいない世界をつくって歌うことができるんですね。もちろん、お客さんの方を見て、お客さんのために歌ってるんですけど、自分の中では歌の世界に入っている状態で、それをお客さんに見ていただいているという感じです。あなたも「完璧じゃなくても伝わればいいんだから」とリラックスして、一度、頭の中を真っ黒にすることを試してみませんか?