私の直属の上司である課長と部長、その上の事業部長までもが、部下に仕事を押し付け、楽をして手柄だけ取りたいタイプ。下を見れば、後輩も新人も「プライベート第一主義」で、忙しい時期に平然と定時に帰り、有給まで取り、結局、すべてのしわ寄せが私に回ってきます。こんなダメ上司と部下に囲まれた損な役回りを、なんとかできないでしょうか？（出版社　34歳　男性）

あなたの役回りこそ、一番大事

上からも下からも頼りにされる。それだけあなたは、仕事の能力があって、優秀な方なんでしょう。「あいつがいるから大丈夫」「あの人に任せておけば安心だ」と思われてるんだろうね。おそらく、あなたが我慢できずに今の会社を辞めたとしても、転職先で、同じように頼りにされてしまうんじゃないかな。

世の中には、いつの間にか人の手柄を取ったり、休んでいなくなったり、要領のいい人ってたくさんいて、その要領がいいことも、確かに実力のうちのひとつではあるかもしれない。でも、地道に働く真面目な人もたくさんいるんだよ。あなたは、そうやって真面目に人の分まで働くことを損だと感じているようだけど、私は、そういう役回りでもいいと思うんだ。

だって、ちゃんと支えてくれる二番手がいなければ、トップは成り立たないし、部下をフォローできる上の人間だっていなきゃ、組織は成り立たないものね。つまり、あなたは今、最も要となる立場にいる、一番大事な存在だってこと。それに、あなただって、いつかはもっと上の立場に立つようになるでしょ？そのとき、要領よく過ごしてきた人より、部下のつらさや大変さを理解できるし、尊敬される素晴らしい上司になれるはずだよ。

実力があるのは、人の分まで頑張ったあなたです

私もプロレスで下っ端だったころ、先輩に理不尽なことを言われ、悔しい思いをしたことがあったんだ。「私は絶対にああいう先輩にはならないぞ」と思ったし、上の立場になってからも、やはり自分がイヤだったことは後輩にしなかった。だから、おいしいところだけ取っている上司を見て、「上に立っても、自分は絶対にやらない」という勉強をしていると捉えてみたらどうかな。仕事はもちろん、人生の中で身に降りかかってくることって、すべてが勉強なんだよ。

結局は、要領のいい上司も部下も、それだけの人であって、いざというときに困るのは、その上司であり部下でしょ。人間、やるべきことをやらないで甘えていると、必ずしっぺ返しがくる。そして、本当に仕事の実力があるのは、真面目に人の分も頑張ってきたあなたなんだもの。その上司や部下たちより、ずっといい将来が待ってるはずだよ。

私も、あなたと同様、人が見ていないところでいつも頑張ってきたという自負だけはあるんだよね。要領は悪くても、それを続けていると、必ず誰かが見ていてくれるものだし、あるとき、チャンスが訪れる。私は、プロレスでも、結婚でも、出産でも、必ず暗から明への逆転があったんだ。「人生、捨てたもんじゃない、神様っているんだな」と、いつも思うよ。あなたも、必ずや今の経験が活きてくるし、報われる日が間違いなくきます。