周りの空気を感じ取れる才能はすごい
周りの空気を感じとれるという才能があるのはすごいことです。普通、余計なことを言うタイプの人は、余計なことを言ったから周りが引いたなんてわからないものですよ。それを感じ取れるだけに、直らないというのは不幸だなあ。感じ取れないままで過ごせたら、苦しい思いをしないですむのにね。ま、その場合は絶対に直らないけど。
あのね、僕の後輩の若手芸人に余計なひと言を言う子がいるんですよ。その子がしゃべるたびに空気が悪くなる。みんなに指摘されるから本人もわかってるはずなんだけど、延々と余計なひと言を発し続けてる。「そこまで空気がわからないやつの気持ちがわからないよ」って、いつもそいつに言ってるんだけどね。でも、彼は人気者なんですよ。それはなぜかというと、ものすごくいいバッターだから。趣味でやってる草野球の話なんだけどね。彼がいないと試合で勝てないんですよ。
つまり、あなたも余計なひと言を言っても関係ないくらい、仕事ができるようになればいいんです。余計なひと言がちゃらになるくらいの魅力があればいいんです。上司の機嫌を損ねたって会社に大きな利益をもたらしていれば昇進するだろうし、余計なひと言を言っちゃっても、それ以外のところがものすごく好きだったら、婚約者だって両親を捨ててでもあなたと結婚すると思うんです。
直らないことにこだわるより、ほかを伸ばそう
ただね、すごく気になるのは、あなたが自分のことを「サービス精神旺盛」って言ってることなんです。これは危険。あなたが周りの人たちによかれと思ってやっていることが、本当に喜ばれているかどうかはわかりませんよね。例えば、オナラをすると周りが喜ぶと思ってるサービス精神旺盛な人が「みんなが笑って喜ぶから」とばかり、より好かれようとオナラばかりするって感じ。一緒にいる周りの人はたまらないでしょ。
結局のところ、言葉だけの問題じゃない気がするんです。一度や二度ではなく、人生一貫して余計なことを言ってしまうというのは、いつも余計なことを考えてたりするんじゃないかな。あなたが思っている余計なひと言って、もしかしたら末梢的な問題かもしれない。恋人の両親に余計なことを言ったとき、「この人、余計なこと言うことがあるけど、根は悪い人じゃないの」と、恋人がそこを超えられなかったのかと。上司の機嫌をそこねたときも、誰もとりなしてくれる人がいなかったのかと。僕はそこにひっかかるんですよ。
でも、ある程度の年齢になると根本的な性格は直らないと思うんです。僕が自分に対してそう言ってなぐさめてる部分もありますけど、もう発展途上の年齢じゃないんで。そうなると、今まで直そうとして直らなかったことを思い悩むよりは、ほかの部分を伸ばす方がいいわけですよね。余計なひと言を言ってもびくともしないくらいのスキルを身につける。これでいきましょうよ。