不安がっていないで、一歩前に踏み出せ
まず、刺青については、長袖を着て隠しとおせばいいこと。あえて他人に言う必要はありませんよね。刺青というのは、一生隠すことを覚悟して入れるのが当たり前。一生、長袖を着ること、一生、温泉に入れないことを覚悟の上で入れたはずですよね?
私も型にはまるのが嫌いですが、それは個性であって、欠点ではありません。例えば、企画職など、「型にはまらないこと」を活かせる仕事もあるでしょうし、バイトと旅行をしてきたのなら、その経験が役立つ仕事もあるでしょう。フリーで旅行関係の仕事をしながら、正社員に採用される方法を考えることもできるはずです。型にはまることが嫌いだということを、怠け者の言い訳にしないことです。
今のあなたに大切なのは、そうやって何もせずに不安がっていないで、一歩前に踏み出すことです。今までの生活に飽きたということは、また飽きる可能性がありますから、まず最初に、何をやりたいか、どういう仕事をしたいのか、自分自身とよく相談してみること。何をやるか決めずに手に職をつける勉強をしても、定職に就いても、またしばらくしたら、嫌になって逃げたくなると思います。
過去に自信を持って新しい仕事に臨め
自分とよく相談して、もし、正社員になろうと決めたなら、かなり頑張らないといけません。面接で、この相談のような言い方をしてはダメです。型にはまるのが嫌でこうしてたとか、飽きたからどうのなんて、絶対言わないように。自分の糧にするため旅行を重ねていたとか、自分の過去に関しては、自信を持って人と違うことをしてきたのだと、そういう気持ちで面接にも新しい仕事にも臨んでください。誰でも、慣れるのに3年はかかりますから、とりあえずは続けてみることです。
私はかつて、女優になりたくて、生活の手段のために、いろんなバイトや仕事をしてました。自分が出演する映画宣伝のために、売り込んだ先の雑誌で「記事を書いてごらん」と言われ、その後、別の週刊誌の編集部に拾われ、ネタをひたすら集めて500字程度にまとめ、毎週同じ曜日の同じ時間、担当編集者に渡すという取材記者の仕事をしていました。ところが、自費で取材するので、お金がどんどんなくなっていく。「もうダメだ、辞めよう」と転職先を決めた矢先、編集長から「50人の記者を集めて始めた連載だったけど、2年間、約束通り必ず原稿を持って来たのは2人だけ。君がその1人。だから連載の仕事をあげよう」と言われたんです。
担当編集者がすごく厳しかったので、2年間試されてると気づかなかったんですが、結局は育ててもらっていたんですね。そのとき、頑張って続けてみるものだと教えられたんです。そこで連載を書かせていただくようになって、読者から反響をいただき、編集長から「またやろうね」と言われ、次に1年8カ月かけて取材したのが「極道の妻たち」です。どんな仕事をしても、必ず嫌なことはあります。そこから逃げずに、続けるということを勉強してください。その先には、必ず何か見えてきますよ。