叱ってちょーだい

毎回著名人にあなたの悩みをぶつけていただく、このコーナー。熱く、愛を持ってお答えします。
悩
「過剰にがんばって疲れています…」

試用期間の2カ月目が過ぎました。今のところ職場での私の評判は上々のようですが、実は失望されるのが怖くて、自分の許容範囲以上にがんばっている状態なんです。「間に合いません」と言えなくて、こっそり仕事を家に持ち帰ることもしょっちゅう…。毎日精一杯で、休みは丸一日寝ています。今後もずっとこんな生活のまま頑張らねばならないか悩んでいます。(経理・32歳)

病気を育てる どこかに影を抱えていなければ生きてはいけない
今週の叱り役

東京都杉並区立和田中学校校長
藤原和博

information
『公立校の逆襲 いい学校を作る!』(朝日新聞社)
真の教育を考え続け第一線のビジネスパーソンから校長に。自身も中学生の子供を持つ藤原さんが「いい学校に入れたい」という親の視点から行う学校教育。「PTA完全マニュアル」とも言える、学校の裏表のホンネがぎっしり。
藤原さんの活動がわかる『よのなかnet』はこちら。
http://www.yononaka.net/
1955年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任、96年、同社に新しい働き方を提案し「フェロー第一号」に。03年には東京都公立中学校初の民間人校長となる。シミュレーションなどのゲーム手法を大胆に取り入れた「よのなか」科を提唱。『世界でいちばん受けたい授業』など、著書多数。

日本では病気を抱えながら生きることも大切

あなたへのアドバイスは「病気になりましょう!」ってこと。僕も30歳くらいの時、激しいめまいや吐き気を繰り返して、仕事のやり過ぎとストレスからくるメニエル病と診断された。でも、病気にならずにそのまま突き進んでいたら、プッツンと死んじゃっていたかもしれない。だから病気になってよかったと思ってる。嫌なヤツと飲まなきゃならない時なんか、「ちょっとめまいが…」なんて、いまだにメニエル病のふりをして口実に使うしね(笑)。

農耕民族である日本人の感性って、騎馬民族のようにばりばりと頑張って成功してる人を素直に評価するより、ヒーローがあえて傷ついた馬に乗ってる、みたいな物語を好む。影を抱えていないと生きにくいお国柄なんだ。だから、社会に受け入れられ、自分も心地よく仕事をするためには、病気を持っていることが武器になる。ただの健康優良児は流行らないよ。これからは「どこかに病気を抱えて生きる」がカッコイイ。あなたは今、病気を育てるチャンスなんだよ。

病気になって休むために、こういう計画はどうだろう。まず、35歳までの3年間、とにかくこの会社でぶっちぎって働いてみる。試用期間の2カ月だけで、今すぐ入院しちゃうのもまずいからね。そして35歳で1カ月「検査入院」と称して休む。そのために今から宣言したらどうかな。上司と覚え書き交わすんだよ。「35歳の誕生日から1カ月間検査入院させてもらいます」って。そして休みが取れたら、病気療養の名目で遠くに出かけ、本を読むのもいい。僕も病気で休んだおかげで、読書がたくさんできた。ものを考えるなら、ハワイでリゾートなんてことよりパリに行くのがオススメだね。あそこは、考えざるを得ない何かがある街なんだ。昔から哲学者が大勢いたでしょ。

そのためには病名を考えなくちゃいけない。ここが肝心なんだよ。僕のメニエル病みたいのなんかちょうどいいんだよね。相手に病名を言うと、よくわからないけど「ああ、そうなんだ」と思ってあまり詳しくは詮索してこない、適度に難しくて知的な香りのする病名。現実的にすぐ入院が必要な病名は、シャレにも言っちゃあいけない。精神や神経を患った病名も仕事に負けたイメージになるから、それよりできるだけオシャレでインテリな印象の病気。必ずあるはずだから、よく調べて探しておくんだよ。

行けるところまでとことん突き進んでみる

そして、3年間は「無理な仕事も間に合わせる」という、あなたの売りをもう一度考えてみるといい。それってものすごいことなんだよ。だから、「自分には素晴らしい売りがある」と頭を切り換えて、行けるところまでとことん行く気でやれば、誰も真似できない領域に達するはずだよ。あのね、許容量以上に頑張ってるって言うけど、どんな職業の人でも、仕事を家に持ち帰るくらいは当たり前のことなんだよ。休みは丸一日寝てるっていうのもそう。僕は猛烈に働きまくった 20代の約3年間、休日は昼頃まで寝て、あとはぼーっとテレビ観て、頭の中をからっぽにしてるような状態だった。どこかに遊びに行くことなんてなかった。

32歳のあなたがそこまでやるのはつらいかもしれない。でも、期間限定ならできるよね。だから腹をくくって、どこまでやれるか勝負してみる気持ちで挑んでみる。万が一、本当に病気が出てしまったとしても、その後のあなたの人生は豊かになるよ。だって一大勝負をしたんだもの。

EDIT・WRITING
羽塚順子
DESIGN
ITコア
PHOTO
岡本寛

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