日本では病気を抱えながら生きることも大切
あなたへのアドバイスは「病気になりましょう!」ってこと。僕も30歳くらいの時、激しいめまいや吐き気を繰り返して、仕事のやり過ぎとストレスからくるメニエル病と診断された。でも、病気にならずにそのまま突き進んでいたら、プッツンと死んじゃっていたかもしれない。だから病気になってよかったと思ってる。嫌なヤツと飲まなきゃならない時なんか、「ちょっとめまいが…」なんて、いまだにメニエル病のふりをして口実に使うしね(笑)。
農耕民族である日本人の感性って、騎馬民族のようにばりばりと頑張って成功してる人を素直に評価するより、ヒーローがあえて傷ついた馬に乗ってる、みたいな物語を好む。影を抱えていないと生きにくいお国柄なんだ。だから、社会に受け入れられ、自分も心地よく仕事をするためには、病気を持っていることが武器になる。ただの健康優良児は流行らないよ。これからは「どこかに病気を抱えて生きる」がカッコイイ。あなたは今、病気を育てるチャンスなんだよ。
病気になって休むために、こういう計画はどうだろう。まず、35歳までの3年間、とにかくこの会社でぶっちぎって働いてみる。試用期間の2カ月だけで、今すぐ入院しちゃうのもまずいからね。そして35歳で1カ月「検査入院」と称して休む。そのために今から宣言したらどうかな。上司と覚え書き交わすんだよ。「35歳の誕生日から1カ月間検査入院させてもらいます」って。そして休みが取れたら、病気療養の名目で遠くに出かけ、本を読むのもいい。僕も病気で休んだおかげで、読書がたくさんできた。ものを考えるなら、ハワイでリゾートなんてことよりパリに行くのがオススメだね。あそこは、考えざるを得ない何かがある街なんだ。昔から哲学者が大勢いたでしょ。
そのためには病名を考えなくちゃいけない。ここが肝心なんだよ。僕のメニエル病みたいのなんかちょうどいいんだよね。相手に病名を言うと、よくわからないけど「ああ、そうなんだ」と思ってあまり詳しくは詮索してこない、適度に難しくて知的な香りのする病名。現実的にすぐ入院が必要な病名は、シャレにも言っちゃあいけない。精神や神経を患った病名も仕事に負けたイメージになるから、それよりできるだけオシャレでインテリな印象の病気。必ずあるはずだから、よく調べて探しておくんだよ。
行けるところまでとことん突き進んでみる
そして、3年間は「無理な仕事も間に合わせる」という、あなたの売りをもう一度考えてみるといい。それってものすごいことなんだよ。だから、「自分には素晴らしい売りがある」と頭を切り換えて、行けるところまでとことん行く気でやれば、誰も真似できない領域に達するはずだよ。あのね、許容量以上に頑張ってるって言うけど、どんな職業の人でも、仕事を家に持ち帰るくらいは当たり前のことなんだよ。休みは丸一日寝てるっていうのもそう。僕は猛烈に働きまくった 20代の約3年間、休日は昼頃まで寝て、あとはぼーっとテレビ観て、頭の中をからっぽにしてるような状態だった。どこかに遊びに行くことなんてなかった。
32歳のあなたがそこまでやるのはつらいかもしれない。でも、期間限定ならできるよね。だから腹をくくって、どこまでやれるか勝負してみる気持ちで挑んでみる。万が一、本当に病気が出てしまったとしても、その後のあなたの人生は豊かになるよ。だって一大勝負をしたんだもの。