何事も“芸”がないと人の意識はつかめない
あなただけでなく、たとえば学校の先生で言うなら、新学期に担任として紹介されると、生徒たちは「こいつ一体どんなヤツだ」という目で見るんだよね。まだ小学校の低学年ならいいよ。高学年から中学生くらいになると、アラも探すし「尊敬できなきゃついていかないぞ」って意識も出てくる。何か優れてるとか、人間としてスゴイと思わせなければ、先生としての権威がうんと低くなってしまう。高校生になると、もう担任に期待しなくなってくるから、中学あたりの時期がいちばん難しいわけだよ。
それと同じことだと思う。スゴイと思わせるための「つかみ」が大事なんだ。営業だってつかみが取れないと、いつまでも話を聞いてもらえない。あらゆる職業において、相手の意識をつかむための芸があるかが非常に大事なことになる。あなたには芸があるかな?もしもないのなら、どんな芸でもいいから磨くしかない。吉本興業に修行に行くのがいいんだけど(笑)。芸があるならそれを見せるんだ。歌がめちゃくちゃ上手いんだったら、無理にでもカラオケに連れてって聞かせるとか。まあ、感動してくれるのは1人か2人かもしれないけどね。でも、それでいいんだよ。
もし何も芸がないなら、誰よりも猛烈に働くことを勧めるよ。「お前らより一番働いている」というのも芸なんだもの。自分一人で掃除するのもいいと思う。嫌がらせでゴミを落としたり汚くしたりするヤツもいるかもしれないけど、これは闘いなんだから、全チェーン店の中で最も美しい店にするくらいの気持ちでやるといいと思うよ。
仕事でなくても、たとえば海外を自力で2年間一人旅をしたら尊敬されるよね。つまり、何を語って何を見せれば、人が自分に敬意を払ってくれるかってこと。僕はそれを「クレジットを上げる」と言ってるけど、クレジットの上げ方は人それぞれなんだ。だから、今の自分のままでは勝負できないと思ったら、自分を磨きに行くか、その場に留まって一番多く働くしかない。この二者択一なんだよ。
最悪と思うヤツに狙いを定めてハートを射止めろ
いきなり20人のアルバイト全員の心をつかむなんて無理な話。20人の中で仕切ってるヤツが必ずいるでしょ。最初は1人だけでいいから、「コイツさえいなければ」っていうくらい、最悪に思ってるヤツに狙いをつける。どうでもいいヤツを味方に付けてもしょうがないからさ。二度と一緒に仕事をやりたくない、みんなも引き下がっちゃうくらいのアクが強いヤツをつかむんだよ。
そいつが何を趣味として、どんな意識で働いているかを把握する。たとえば、バンドを組んでギター欲しさにアルバイトをしてるのだったら、密かに彼のコンサートに行って最前列に座るんだ。そいつがライブで客席を見れば「何でアンタがいるんだよ!」っていう驚きと感動を与えるでしょ。そうやって、まず1人の心をがっちりつかんでいくんだ。そうすれば、あなたの言うことを聞いて、他のアルバイターを仕切ってくれるようになる。そうやって味方をつくっていくんだよ。