ここは慎重に。社会も企業も変化しています
私も、あなたが今の会社を辞めてしまうのは、もったいないと思います。もちろん、女性を管理職に登用する意欲のない企業にいるというのは、実にしゃくに障るもので、その気持ちはよくわかります。ただ、知名度が高く、待遇もよいという職場を自ら蹴って、満足できるいい会社に入れるという保証は何もありません。そこは、慎重になる必要があるでしょう。
もし仮に、あなたが望むような、女性を次々と管理職に登用している企業がうまく見つかったとすれば、その社内には、女性が出世できるルートもあるでしょう。しかし、他社から女性を管理職として迎えるという企業の場合、気をつけないと、対外的に「うちは女性の管理職がいます」と見せるためだけの、お飾りポストである可能性も、往々にしてあるのが現実です。
そういった、お飾りポストのために転職するくらいなら、今の職場に勤めながら、いつか女性が管理職として登用される日に備え、自分の実力を磨いて価値を高めておく、という考え方もありますよね。これまでは古い体質だった企業も、今はひしひしと「女性を登用しなければ」といった社会の風潮を感じて、大きく変化しようとしていますから。
現に私も、ある生命保険会社の社外取締役をやっていますが、そういった企業を見ていても、中堅の女性が育っていないことに危機感を持って、会社に貢献してきた、有能な女性社員をもっと育てようという動きが活発になっています。あなたの会社も、このまま女性を出世させない状況が、長くは続かないのではないか、という気がするのです。
キャリアアップに力を注ぎましょう
ですから、ここは「会社の方針が変わるまで待とう、それまでに実力をつけよう」という気持ちで臨んでみてはどうでしょう。時間を有効に使い、金融関係の職場であれば、ファイナンシャルプランナー1級や簿記1級を目指すとか、MBA留学をしてみてもいいかもしれません。私も33歳のとき、休職を願い出て、1年間、留学したことがありましたよ。昔から憧れていたハーバード大学の客員研究員として声をかけていただいたので、当時は上の子どもも小さかったのですが、それはもう、母に世話を頼みこんで。そうでもしなければ、こんなチャンスは二度とないと、意を決したのです。
休職して留学するには、普段から真面目に働いていることはもちろんですが、本気で実現させる姿勢も必要になります。人事の担当者にいくら頼んでも、「退職してから行ってくれたまえ」と、あしらわれるのが関の山です。人事に対して力があり、話ができる上の人に頼んでみるなど、あらゆる手を尽くしてみることです。間違っても、勢いで辞めてしまってはいけませんし、今の時点で「女性を登用すべき」とか、「私を登用して」とアピールするのも愚の骨頂。あなたの評判が悪くなってしまうだけです。冷静に、キャリアアップできる実力養成を心がけましょう。