2004年から8年間、
ミス・ユニバース・ジャパンの
公式栄養コンサルタントとして活躍。
ベストセラーとなった
『世界一の美女になるダイエット』をはじめ、
数多くの本を執筆。
今では"美のカリスマ"と言われているが、
成功するまでには、10年の歳月を要したという
挫折や失敗は、自分を見つめ直すいいチャンスになる
私が日本で栄養コンサルタントの仕事を始めたのは、31歳のときです。今でこそ、この仕事を使命だと思っていますが、ここまでくるには大変な紆余曲折がありました。いろいろな仕事や経験を経て、やっとたどり着いた道なのです。
日本にきたきっかけは、高校の交換留学でした。フランス語を勉強していたので、フランス、スイス、カナダなどフランス語が活かせる国を希望していたのですが、指定された場所は日本の大分県。思いもよらない留学先だったのですが、今こうして日本で働いていることを考えると、素晴らしいご縁でした。人生にはたびたび意にそぐわないことと遭遇しますが、人生で起こることには必ず理由があるのだと、本当にそう思います。
1年間、大分県に滞在するうちに、人々の温かさと日本文化の奥深さに触れ、深い興味を覚えた私は、帰国後、大学で現代アジア文学を専攻。そして卒業後は、ゴールドコーストにある日本企業でリエゾンオフィサー(日本本社とのコーディネート役)として働き始めます。しかし、一見華やかそうでも、その仕事にはどうしても情熱を持つことができませんでした。一時はジャーナリストを目指そうと、働きながら大学の通信教育を受けたこともあります。そんな迷いの最中に舞い込んだのは日本本社への転勤の話でした。
大好きな日本で働いてみたいという思いもあり、日本に移り住んで再びリエゾンオフィサーの仕事に打ちこんでみたものの、やはり心からの満足は得られず、結局1年後に退職。その後、いろんな日本企業の採用試験を受けてみたのですが、なかなか採用には至らず、とても辛い思いをしました。苦しい経験でしたが、今考えると、このことがよかったのだと思います。自分を見つめ直す、いいきっかけになったのですから。苦しい時期に「自分が本当に情熱を注げるものは何なのか」必死で考え続けた結果、出した答えが栄養学でした。
思えばそれまでは、流されるままに目の前にある仕事を選んでいたんです。でも、それではいつまで経っても情熱を持って仕事をすることはできません。本当に自分が情熱を持てる仕事は何か、真剣に考える時期が必要なんですね。日本には「苦労は買ってでもしろ」ということわざがありますが、まさに苦しい時期こそ、情熱を持てる仕事が見つかるチャンスなんです。
最初からうまくいったわけではない。何度も挑戦し、つかんだチャンス
通信教育で栄養学を学び始めたのですが、もっと知識を深めたいと日本で知り合ったオーストリア人の夫とともにシドニーに移り住み、ネイチャーカレッジに入学。自然療法、栄養学、ホメオパシー(自然治癒力を引き出す同種療法)を学び、最終的にはオーストラリア工科大学で健康科学を専攻しました。学士をとるのはとても大変なことでしたが、やはり本当に好きなことだったからできたのだと思います。
その後は、クリニックに就職し、医師のもとで患者さんの栄養指導に従事しました。再び日本に帰ってきたのは31歳の時です。
しかし、最初からうまくいったわけではありません。本を出そうとしても、エージェントから断られる日々が続きました。何度もあきらめかけたのですが、自分で自分を励ましてチャレンジを続け、3年半かかってようやく英語の本の出版にこぎつくことができたんです。
その後は、35歳でミス・ユニバース・ジャパンの公式栄養コンサルタントになるチャンスにも恵まれました。ベストセラーとなった『世界一の美女になるダイエット』を出版できたのは40歳の時です。結局、成功するまで10年間かかりました。
最大限、自分の力を発揮するためには、
心から情熱をささげられる仕事に就くことが、
いちばん大事だという。
そんな仕事はどうしたら見つかるのだろうか。
仕事探しのヒントを聞いた。
才能というものは、心から情熱を傾けられるものをいう
自分の心に正直になることです。日本のビジネスパーソンは、忙し過ぎてなかなか時間が取れないと思いますが、自分を見つめ直す時間を意識して取ることが大切です。
日本には、一つの道を決めたら、ずっとその道を進むことが美徳だという考え方が根付いています。でも、実際にはやってみないとわからないことのほうが多い。一度その仕事に就いてみて、やはり違うと感じたら、別の仕事を模索したほうがいいでしょう。"世間様"や親のプレッシャーをはねのけて、自分に正直になることが何より大事です。
ちょっと違うな、のめりこめないなと思いつつ、仕事をするなんてすごくもったいないことだと私は思います。仕事は自分の生活の3分の1を占めるんですから。心から満足できる時間を過ごしましょうよ。人生は本当に短いのですから。
では、そんな仕事はどうやったら見つかるのかというと、「子どもの時に夢中だったものは、何か」「お給料をもらわなくてもやりたいものは、何か」「時間を忘れて取り組んでしまうことは、何か」、こういったことを真剣に自分に問いかけてみるといいと思います。よく自分の才能がわからないと言う人がいますが、心から情熱を傾けられるもの、それがその人の才能です。それは誰にでもあるものです。一人でじっくり考えてみれば、必ず見つかりますよ。
最初は誰でも不安。でも、その不安を乗り越えることが成長へのステップ
情熱を傾けられるものが見つかったら、今度は挑戦です。最初は誰でも不安です。私も会社を辞めるときはすごく不安でした。でも、不安は成長へのステップ。その不安を乗り越えることが成長につながるのです。
成功している多くの方がおっしゃいますが、一番学べるのは失敗したときです。すべてが成功していたら、何も学べません。
私の場合もそうです。実は私はひどくシャイな性格で、みんなの前で話すことが大の苦手。最初に講演をした時、マイクの故障もあって、途中で何を話しているのかわからなくなってしまい、できは最悪。もう二度とやりたくなかったのですが、次の講演が決まっていたために逃げることができず、泣く泣く登壇したんです。しかし、2回目は1回目より落ち着いてできました。それを何度か繰り返すうちに、どんどん上達していったんです。
あきらめるのは簡単。でも、あきらめたらそれでお終いです。ビジネスで成功する人は何度失敗してもあきらめない人なんです。一つのドアを叩いて開かなかったら、また別のドアを叩けばいい。そうやっていろんなドアを叩いているうちに、いつしか開くドアが見つかるんです。
「自信が持てない」という不安は、姿勢と食生活で改善される
どうしても自信を持てないときの特効薬をお教えしましょう。それは姿勢をよくすること。姿勢は、体内で放出されるホルモンに影響します。胸を張ると自信をみなぎらせるテストステロンが20%多く排出され、猫背になると気分を落ち込ませるコルチゾールが15%多く排出されます。面接など緊張する場面があったら、両腕を腰に当て胸を張る"スーパーマンのポーズ"を2分間してみるといいですよ。自然と自信がみなぎってきます。
そしてもうひとつ、大事なことは食生活です。集中力、生産性、クリエイティビティなど、メンタル面は食生活が大きく影響しているんです。一番避けたほうがいいのは、スナック菓子や菓子パンなどトランス脂肪酸を多く含む食品。小麦もなるべく避けるとよいでしょう。パンを食べる時には良質のたんぱく質やビタミン豊富な緑黄色野菜などをつけ加えて。ご飯を食べる時も、焼き魚や卵などたんぱく質を一緒に摂るようにしてください。たんぱく質を同時に摂取することで血糖値の上昇を防ぎ、脳内物質であるドーパミンを出やすくします。
自分に自信が持てない、ポジティブシンキングができないと感じたら、まずは姿勢と食生活を見直すことから始めてください。続けることで、きっと素晴らしい毎日と出会えますよ。
エリカ・アンギャル著
多くの美しい女性を世に輩出してきた栄養コンサルタントのエリカ・アンギャル氏が、栄養学からメンタル面を改善する方法を説く。「失恋、不採用、拒絶…それは人生のチャンス」「うまくいかない人間関係は、ふさわしい人に出会うためのレッスン」「人を感動させる人生ではなく、自分自身を感動させる人生を」「目覚めた瞬間の思考が一日を決める」など、栄養学だけでなく、自信の経験からにじみ出る人生訓は、非常に学ぶところが多い。女性だけでなく、男性にもお勧めの本だ。幻冬舎刊。定価1,300円+税。
- EDIT/WRITING
- 高嶋ちほ子
- DESIGN
- マグスター
- PHOTO
- 栗原克己
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