

壇蜜オフィシャルブログ「黒髪の白拍子。」http://ameblo.jp/sizuka-ryu/



2010年、29歳で
グラビアデビュー。
決して早くはないスタートだが、
3年間で“時の人”となった。
壇蜜さんの大躍進の秘訣とは?

3年で芽が出なかったら辞める、と決めて飛び込んだ芸能界
こんな風に注目を浴びるとは、全く予想していませんでした。ただ、デビューするとき、芸能界で仕事をする期限を決めていたんです。3年やって芽が出なかったら辞めようって。目安は、メジャー誌のグラビアに出ることでした。3年以内にそれができなかったら引退すると、親に約束していました。記念というか、一瞬の「にぎやかし」でよかったんです。
デビューのきっかけは、週刊誌のグラビア企画に応募したこと。それまではいろんな仕事を経験しました。大学を卒業して英語の教員の資格を取ったものの、その道には進まず、専門学校に通って調理師の免許を取って、和菓子工場や研究所の助手として働いていたこともあります。友達の死をきっかけに、葬儀の専門学校に通っていたことも。
その途中で、銀座のクラブでホステスのアルバイトをしたのですが、その世界が私に合っていた。学ぶことも多かったですしね。 その経験から男性の方を喜ばせる仕事がしたいと思った延長で、グラビアに応募しました。やってみると、写真を撮られたり、私の姿を見て喜んでくださる方がいることはすごく素敵なことだと感じて。それで、この仕事を続けていくことにしたんです。
「現場は現場。それ以上でも、それ以下でもない」。そう考えて楽になった
私は仕事に対して、やりがいは求めても楽しさは求めていません。ただ粛々(しゅくしゅく)と取り組むだけです。「淡々」ではなく、「粛々」。いつも「現場は現場。それ以上でも、それ以下でもない」と思っています。そう考えるようになって楽になりましたね。だから、「好きな仕事はありますか?」と聞かれても、あまり答えられないんです。どれも一つの仕事として受け入れて、自分の役目を全うしているだけですから。
自分のためではなく、誰かのために仕事をすることで喜びを得る。結局、それでいいんじゃないかしら。私だけじゃなくて、もともと日本人にはそんなところがあったような気がします。それがだんだん、仕事は自分が楽しむためのものになったり、自分が輝くためのものになってしまった。そのあたりからおかしくなったのではないかと。
仕事に期待し過ぎちゃうから、ストレスを感じたり、会社に行きたくなくなったりする。誰かが喜んでくれればそれでいい。それ以上は期待しないくらいが、ちょうどいいのかなと思います。
今はファンの方のために仕事をしています。私がちゃんとしていないとファンの方がバカにされる、そう思って仕事をすることがひとつひとつの現場を大切にするモチベーションにつながっています。芸能人なんて、ともすれば仕事をしていても遊んでいるように見られてしまいます。その世間の風潮に対して、一種の反骨精神のようなものがあるのだと思います。
役割を捉えて対応していれば、仕事が次の仕事を連れてくる
この仕事を続ける上で、いちばん大事にしてきたのは「人に迷惑をかけない」ということです。当たり前なんですけどね。でもいちばんというとそれかしら。
人に迷惑をかけないために、きちんと自分の役割を全うしたいと思っています。心がけているのは、仕事の「背景」を知ること。仕事を持ってきてくださる方が何を目的としているのか、です。例えば、女性誌のインタビューだったら、何のためにこの記事が作られるのか、どうして私を選んでくれたのか、どんな話をしてほしいのか、をきちんと把握してから、仕事に取りかかるようにしています。
だから、私は仕事に関しては博愛主義者です。求められる役割にはできる限りこたえます。長じゅばん一枚で雪山に放り出されたこともありましたよ。完全に芸人さんの立ち位置でした(笑)。
加えて、私に関わった方が「おみやげ」を持って帰れるような仕事ができたらいいなと。私の話を聞いた方が何かしら考えるようになることも、その一つですね。例えば、インタビューで何かお題があったとします。それに賛成か反対か、まず自分の立ち位置をはっきりさせ、そう思う理由まで「言語化」しておく。さらに、反対の意見を持っている方がどうしてそう思うのかも同時に考え、発言するようにしています。そうすると、聞いた方が深く考えられるような発言ができる気がするので。
そうは言っても、テレビに出始めのころは役割やルールが全くわからず、何にでも蜂蜜をかけて色っぽく食べたら喜ばれるぞ、という感じで…(笑)。そのスタイルから脱却しようとすれば、「今までやっていたくせに」と言われるし、やり過ぎると「下品だ」と言われる。自分が嫌だと思うことと、世間が求めている役割、その2つの折り合いをつけるのに1年かかりました。でも、役割を捉えてきちんと対応していれば、その仕事が次の仕事を連れてきます。芸能界は特に顕著ですね。それが体現できたときは、やりがいを感じます。



粛々と求められた役割を
全うするだけ、という壇蜜さん。
しかし、彼女を
「仕事が絶えない人気者」にした、
ある“流儀”があった

自己肯定できなかった自分を正直に出したことが、時代に合っていた
大切にしているのは、心の動きを正直に話すこと。就職活動がうまくいかなかったり、社会の輪の中に入っていけなかった自分の過去を赤裸々に話したり、何でなじめなかったのかという心の動きを正直に話すことが、話を聞きに来てくださった方への誠意ある対応だと思っています。
最近、「輝きたい」と思う方がすごく多いですよね。特に女性はそういう傾向にある。誰かのお手本になりたいとか、誰かが見てキラキラしているようになりたいとか。みんな自己肯定感がすごく強い。でも、私は自己肯定できずにここまできてしまったんです。小さいころはアニメの魔法少女のようなヒロインになりたかったのに、結局なれなかった。でも、そんな厳しい現実を受け入れて、折り合いをつけながら生きている。そんな自己肯定できない部分を正直に出していたら、今の若い人たちとは異なる立ち位置になって。それがたまたま、時代に合っていたのかもしれません。
私は自分の欠点や、金庫にカギをかけてしまっておきたいようなお恥ずかしい部分もネタにしちゃいます。「眉毛が円形脱毛症になっちゃったんです。面白いでしょう?」「白髪があるんです、面白いでしょう?」って。
「自分の代わりはたくさんいる」から、いい意味で開き直れる
私はいつも、「自分の代わりはいくらでもいる」と思って仕事をしています。耳にタコができるくらい、「代わりはたくさんいる」といろんな方から言われましたから、まあ、そうなんでしょう。「第二の壇蜜」って検索すると、30人くらい出てきますから(笑)。
これは、厳しい面でもあるのですが、逆に「面白い」と思うと、いい開き直りができるんです。仕事をしていて、「これは変だな」と思ったら、はっきりそう言える。「代わりはたくさんいるんだから、私が間違っているならどうぞ別の方でやってください」って。何でも受け入れるとラクになるんです。
昨年はいろいろなお仕事をいただきましたが、その結果わかったことは、「ない袖は振れない」ということです。テレビは「今」を追うもの、私は古いタイプの人間なので、なかなかなじめない。それがここ2年くらいでわかってきました。私を支えてくれるグラビアのファンの方たちと、テレビを見ている方たちというのは、全然違うんだなと思います。それなのに、ずっとテレビにしがみつくということはどういうことなのか。自分でいろいろと考えてみたんです。そうしたら、誰からも相手にされない「さびしい自分」しか浮かんでこなくて。それからは「ファンだけのために、生きていこう」と思うようになりました。
グラビアを支えてくれるファンのために、できる限りこの仕事は続けたいと思っています。でも、寄る年波には勝てません。よく「壇蜜さんは、いつか、どこかに行っちゃうんじゃないですか」と手紙をもらうんですけど、知らない間にどこかに行っちゃうんじゃなくて、その時が来たら、まずはじめにファンの方に理由をお伝えして、お互いが納得できる形で去って、「(本名の)齋藤さん」に戻るんだと思います。
ここまで来たのにもったいないという気持ちはありません。曲がりなりにも自分の力で壇蜜という「イス」を作れたわけですから、それでいいじゃないと。自分で作ったイスだけど、代わりはたくさんいるわけだから、誰かが座ればいい。でも、そのイスに座るのってちょっと大変なんですけどね。そう簡単には座れない。むやみに座ったらストッキングが破れちゃうような荒削りなイスだと思います。バンジージャンプ2回とか、そういう仕事も待ってるんですから(笑)。


壇蜜著
「大学まで出してもらったのに、卑猥なかっこをして雑誌の“袋とじ”になることでしか、生きていくことができない――」。壇蜜さんが自己肯定できない過去や、社会で居場所を持てなかったこれまでの思いをつづった初のフォトエッセイ。3600枚の写真から厳選された珠玉のグラビア53点も収録。カバーデザインもタイトルも、壇蜜さんの発案だという。「カバーはシンプル、中身はヌーディー。電車のなかで開けるときはご注意ください」と壇蜜さん。ファンを喜ばせたい一心でとった濃密なカットが満載の一冊。仕事や人生に疲れたときに、ぜひ。撮影/ZIGEN
- EDIT/WRITING
- 高嶋ちほ子
- DESIGN
- マグスター
- PHOTO
- 川上尚見
- styling
- 乙坂知子
- Hair&Make-up
- カツヒロ


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