




現在、冠番組2本を含む
レギュラー7本を抱える、
お笑いコンビ「オアシズ」の大久保佳代子さん。
大ブレイクを呼び込んだ
「仕事のこだわり」を聞いた。

もらった仕事は全部「ありがとうございます」
仕事は、「尻軽」でいいと思ってるんです。与えられた役割は何でもこなす。番組のディレクターさんに自分の立ち位置を詳しく説明してもらうこともありますけど、慣れてくると、台本をみれば期待されていることはわかります。特に今はキャラクターが固まっていますからね。例えば、若い男の子がキャスティングされていたら「色っぽく食いつく」。横に可愛らしいグラビアアイドルが座っていたら「意地悪ばあさんみたいに食ってかかる」。ディレクターさんの「ここで行けたら言ってもらえます?」は、行ってくれということなんだな、とか(笑)。
昔は、仕事をもらって「何で私が?」と首をかしげるようなこともありました。でもやりました。変な被り物するのも面白ければ全然いいですし、身体を張るのも、MCに邪険に扱われるのもいい。それが辛いとか、苦しいとか思ったことはありません。もらった役割は「ありがとうございます!」といって全部やる。それでずっとやってきたんです。
今のキャラにしても、もらった役割を「尻軽」にこなしているうちに育ったもので、私が押し出したわけじゃないんです。MCや先輩芸人が「大久保は男好きで…」と振ってくれて、初めてその立ち位置で話ができる。
例えば、去年の「しゃべくり007」と、「アメトーーク!」の「下ネタ芸人」の回の私は、いい仕事したぞと思っています。あそこで自分も周りも「大久保は下ネタをメインとする芸人だ」と再確認をしたんじゃないかと。一度そのキャラクターが世間に浸透したら、仕事がずいぶんしやすくなりました。番組も視聴者もそのキャラを期待してくれて、みんな面白がってくれて、仕事も増えた。だから、キャラが認知されないうちは「尻軽」が大事なんです。
キャラを見つけるには、「不感症」のくらいで調度いい
もともと、これは嫌、あれはやりたくない、というのがない人間なんです。お笑いを始めるときも、学生時代に相方に誘われて「はい、やります」と2つ返事でした。自分や親に害が及ばない限り、あんまり頭を通さないまま判断しちゃうんですよね…言葉は悪いですけど、「不感症」?感情とか感覚が鈍いのかもしれない。
ただ若いころは、役割を与えてもらうことすらできませんでした。「オアシズ」でデビューした後、相方の光浦(靖子)さんはレギュラーをもらったのに、私はすぐに仕事がなくなった。キャラがはっきりしてなかったからだと思うんです。当時の私は、若くて地味でブスというだけ。使う側も困ったでしょうね。「何でもやる」といっても、彼らにしてみたら、もうひとつ何かないと、使い勝手が悪いわけです。
そこへいくと相方は、メガネをかけて面白い髪型で「キーッ!」っていうわかりやすいキャラ。頭がよくてボキャブラリーもすごい。相方が笑いをとっている隣で、私はどうしたらいいんだろうとよく考えていました。
でも今思えば、根拠のない自信はあったんです。取り立ててすごいところのない、冴えない地味な女の子だけど、何か光るものがあるんじゃないか。ちょっと頭がおかしいかもしれないけど、そう思っていて。テレビは無理でも表現する仕事はしたかった。それで、生活のために会社員として働きながら、週末に芝居をするようになりました。やっているのは素人に毛が生えたようなことでしたけど、どこかに私を見つけてくれる人はいないかしらと思っていました。
幸い、また「オアシズ」でライブをするようになったり、「めちゃイケ」に拾われたりして、テレビの仕事が増えていきました。でもやっぱり、私は与えられた役割をこなしただけなんです。ほかの人が嫌だと思う役柄でも、気にせずやった。なにしろ「不感症」でしたから(笑)。そうして幸いにも「大久保は面白い、使い勝手がいいヤツだ」と思ってもらえた。
そのうちに「下ネタ好き」のキャラもつきました。今「ブレイクした」と言ってもらえるのも、結局それだけじゃないかと自己分析してるんです。強いていうなら、辞めずに続けてきた、というのがよかったのかもしれません。全く根拠のない自信のもと、しがみつくようにして芸能の仕事を続けていた。そのうちに、少しずつ「あいつは面白い」と役割をふってくれる人が増えていったんです。



2010年に会社員を辞め、
タレント活動1本に絞った。
「役割をこなすことだけ考える」といっても、
失敗することも傷つくこともある。

若いうちのプライドは経験を積む邪魔になる
後輩の女芸人にもいるんです。与えられた役割に納得できない、ほんとは別のことしたいのにという子が。彼女に私がアドバイスするとしたら、「名前が知られてなくて、何のイメージもついていない今は、とりあえずなんでもやりなさい」。いわば今は、真っ白な状態なんです。これからそこに色をつけていかないといけない。私のように、いろんな人の力を借りながらです。
一番悪いのは、何もやらないことです。お笑い芸人だと、キャラ云々より「ネタをきっちり見せる」ことを大切にしたい子もいます。だけどバラエティ番組に呼ばれたらそんなことは言っていられません。ひどい下ネタをいってスベることもあるかもしれない。でも何もなく終わったときのほうがずっと辛いです。
それに、ハマればすごくウケるわけです。私が下ネタをいうより、まだイメージのついていない子がいったほうが、はるかにウケる。まだ真っ白な人たちほど、大きく伸びるチャンスがあるんです。これは、芸人に限らず若い人みんなに言えることだと思います。
若い人たちの話を聞いていると、大した経験もしないうちにちょっと考えすぎなんじゃないの、と思います。もっと「尻軽」になっていい。何か任されたらあんまり深く悩まずにやってみるということです。若いうちほどプライドは捨てたほうがいいですよ。プライドって、歳をとっていろんな経験を積んだからこそ生まれるもの。若いうちのプライドは、その経験をする邪魔になってしまう。だから、いまはプライドを捨てなくちゃ。
慣れない役割を任されて苦しい思いをするかもしれません。でも、そのうち余裕が出てきて、言われたことプラスアルファができるようになります。仕事って、そこから楽しくなるものだと思うんです。せっかく一度始めた仕事なら、その余裕ができるまでは頑張って続けてみるのがいいんじゃないかな。
いいじゃないですか、若いうちはいくら失敗したって。辛かったらそれを笑いにするといいですよ。傷ついたこと、失敗したことを面白く話せるテクニックを身につける。話を聞いてくれる友達、仲間を見つける。彼らと飲んで笑っていられたら、何にもこわいことはなくなります。私の場合、相手はいとうあさこさんかな。「今日もすっごいイライラしちゃって」とか「私もこんな失敗して…」なんて言い合って、しょっちゅう傷をなめ合っているんですよ(笑)


女性の本音や本性を描いたNHKの人気コメディ番組『祝女〜shukujo〜』の舞台化作品。表題の「祝女」は、「オンナに生まれたアタシを祝う」という意味の造語。恋愛や女性同士の友情、職場での複雑な人間関係など、女性の日常生活に起こるさまざまな人間模様を描く。
出演:友近/大久保佳代子/市川美和子/佐藤めぐみ/入山法子/早織/YOU/入江雅人/永岡佑/川久保祐司
東京公演:2014年2月5日(水)〜2月9日(日) 会場:天王洲銀河劇場
大阪公演:2014年2月11日(火・祝) 会場:サンケイホールブリーゼ
チケット:S席 7,800円|A席 6,500円(※全席指定・税込) 2013年11月10日(日)10:00より一般発売開始。
- WRITING
- 東雄介
- EDIT
- 高嶋ちほ子
- DESIGN
- マグスター
- PHOTO
- 栗原克己


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