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26歳の時、女性に特化した
マーケティング会社「トレンダーズ」を起業。
「女性起業塾」など、オリジナリティあふれる女性支援を行い、マスコミから注目される。
2012年には東証マザーズに上場し、
最年少上場女性社長となった。
苦しい時代もあったと言うが、彼女は、どんな
こだわりを持って、乗り越えてきたのだろうか。

自分が頑張ればいい、では、できることは限られる
以前から上場はひとつの目標にしていました。でも、順風満帆に上場できたわけではありません。実はトレンダーズは、いろんなけがをしながら、少しずつ強くなり、そして成長をしていった会社なんです。
2000年の起業から今年で13年経ちましたが、いちばんつらかったのは、会社のスタッフが大量に辞めてしまったときですね。起業して6年目のことです。上場を目標にしてずっと頑張ってきて、資金調達まではうまくいったのですが、組織の作り方に失敗して、いつの間にか、みんなが幸せに働けない場所になってしまっていたんです。その結果、決算でも赤字が出てしまった。
それまでは、目標に向かって本能で突き進んできたのですが、そのことがあって、これからどうやって進んでいったらいいのか、未来が見えなくなってしまったんです。
自分の未熟さで、夢を持って入社してきた人たちの期待にこたえられなかった。そのことが本当につらくて。今でも、そのときの胸の痛みは消えなくて、夢を断念させてしまった贖罪を背負って経営を続けています。
自分に何が足りなかったのかと言うと、まあ、簡単に言うと未熟だったんですが、チームワークについて本質を理解できてなかった。それまでは頑張れば自分の力だけでなんとかできると考えていたんです。
昔から何をやっても比較的器用なほうで、大学生の時も数学が得意な女子という特性を活かして、家庭教師で会社員の月給並みの収入を得ていたし、新卒で入ったリクルートで営業をしていた時も、企業を訪問し名刺を集める「名刺獲得キャンペーン」で、一週間に550枚の名刺を得て関東ナンバーワンになって表彰されたこともありました。
その後、転職した楽天でも新規事業担当だったので、チームで仕事をするというよりも、自分の能力をどうやってうまく出し切るかということだけを考えれば、成果が上げられた。
起業してもその延長だったんです。自分だけが努力すれば何とかなると。それが、会社の規模がどんどん大きくなっていって、チームで経営をするということはどういうことなのか、スタッフ一人ひとりがそれぞれの力を活かして働ける組織というのは、どういうものなのか、という課題を突きつけられたんです。
一流の会社にするためには、孤軍奮闘していてもだめ。一緒に働く仲間の協力が必要なんです。大きなけがをして、このことにやっと気づくことができた。一人の力で100人を引っ張っていくより、100人みんなで一歩進む方が、大きな力が出る。そうやって、大きな事業は動いていくんだと。
それからは、組織の作り方をゼロから学び直すとともに、フルコミットできる経営メンバーを集めました。今までは自分がいて、それについてきてくれる人、という人の集め方だったんですけれど、そうではなく、自分と同じパワーや能力を持っていて、財務や営業など違う分野で活躍している人を一人一人仲間にしたんです。そしてその人たちと一緒に経営チームを結成しました。
社員の男女比率も変えました。それまではほとんどの社員が女性だったのですが、男性を3割以上に増やし、男女それぞれの魅力を最大限発揮できるような組織を作りました。こうやって、ひとつひとつ学びながら、人を活かしきる強い組織にするために、さまざまなことを変えていったんです。



部下がついてくる組織にするには、
強いリーダーシップが必要だ。
そのためには「覚悟」、
そして「相手を知ること」。
この2つが不可欠だという

ちょっとした変化を見逃さない。そうすれば、相手を知ることができる
こうして人の力を活かす組織をつくることはできましたが、みんなについてきてもらわなくてはなりません。そのために必要なのは、まずは「覚悟」だと思います。リーダーとして覚悟を決めること。そして、その覚悟をコミットとして社員に伝えること。 私が提示したのは、「女性の生き方を変える。時代にない物を創り出す」という理念です。会社が目指す社会的コミットのほかに、「絶対上場する」という自分のコミットも示しました。コミットをはっきり伝えていけば一致団結しやすくなると感じています。
もうひとつ重要なのは、「相手を知る」こと。あの人は、こういうときにこんな風に思うんだ、こういうときに力が出るんだ、と、相手のことをその人以上に知る。私はこれを全社員に対して行うようにしています。
人間を知るのって難しいことですけど、コツは「ちょっとした変化を見逃さない」ということでしょうか。自分が営業だったら、クライアントが電話を切るタイミングが前よりもちょっと早いなと思ったら、自分の会社から気持ちが離れているんじゃないかと推測するとか。そんなことです。常に全身を“触覚”にして相手に接していれば、だんだんわかってくるものだと思います。
なかなか感じがつかめない場合は、仕事も恋愛と同じだと思えばいいのではないでしょうか。恋人からメールが頻繁にこなくなったら、自分に興味がなくなったんだなとか、思いますよね。それと同じです。恋人に接するような感度で仕事相手とも接していれば、自然とちょっとした変化に気づくと思いますよ。
「相手を知って、コミュニケーションをとること」。トレンダーズの場合は、これが社風になっています。私自身、全社員のことを知るように常に努力をしていますが、でも、全社員のマネジメントをしているわけではありませんから、それぞれの部署のマネージャーに、「他人を知る方法」を共有していきました。その結果、それぞれの能力を最大限に活かせる強い組織になったんです。それが結果につながったというわけです。
経営者の先輩、仲間に助けられたから、大きな山を登ることができた
私を支えてくれたのは、会社のメンバーだけではありません。振り返ってみると、これまでいろんな人に支えられてここまできたんですよ。自分の力だけでは、絶対に大きな山は登れませんから。
起業についてさまざまなことを教えてくれた楽天の三木谷浩史さんや一番最初に出資を申し出てくれたサイバーエージェントの藤田晋さんといった経営者の先輩たち。彼らに憧れて、自分もあんな風に社会に影響を与える仕事をしたいと、後を追いかけ続けることができました。
そして、同じころに上場した経営者の仲間たち。私は彼らが大好きで、ずっと同じ場所にいたいと思うことが、今でも仕事のモチベーションにつながっています。絆が強いというか、悩みを共有したり、お互いに励まし合っていますから。そういう仲間がいると、強いですよね。
一緒に目標を達成した役員や会社のメンバーももちろんそうです。すでに次の新たなる目標でも一致団結しています。私は彼らが大好きで、ずっと熱い思いでともに働いていくために、どんなことでも乗り越えていきたいと思うんです。そういうことも、やはり仕事のモチベーションになっています。
それからもうひとつ、モチベーションになっていることがあります。先日、ある女性起業家の方に、「実は経沢さんの本に影響を受けて、自分もそうなりたくて起業家の道を選んだ」と言われて、すごく嬉しかったんです。日本には上場会社は3700社以上あるのに、女性経営者の数は29名しかいない。そんな状況で、私の生き方をいいなと思ってくれている女性がいるということは、すごく光栄なことだと思うんです。いろいろあっても、自然体でいつも楽しく生きている姿を見て、目標にしてくれる人がいるのだなあと思うと、すごく励まされました。
やっぱり人だと思います。目標だったり、応援してくれる人だったり、仲間だったり、パートナーだったり、関係にはいろんな形があると思うのですが、周りの人と励まし合って支え合って、人は成長していくものなんだとつくづく思います。


経沢香保子著
26歳で起業して、2012年に東証マザーズに上場するまでの軌跡をベースに、自分自身が納得した人生を生きるコツが書かれている。「誰しも、自分の人生は、自分の理想のように創りだすことができる」と経沢氏は言う。「身近な人を大切にすることが第一歩」「重要なのは、正しいか正しくないかではなく、何を学べるか」「自然体に正直にありのままを認めて生きる」「相手に喜んでもらうくせをつける」「本は辞書を引くような感覚で読む」など、生き方、働き方のヒントがたくさん詰まった本だ。
ダイヤモンド社刊。
- EDIT/WRITING
- 高嶋ちほ子
- DESIGN
- マグスター
- PHOTO
- 栗原克己


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