芸能マネージャー　Job Gallery【リクナビＮＥＸＴ】

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井上智人さん（仮名）

年齢	34歳
学歴	経済学部
住まい	都内マンション（ひとり暮らし）
趣味	テレビ鑑賞
職歴	SE会社に2年→芸能事務所に5年
座右の銘	鳴かぬなら鳴かせてみせようほととぎす
血液型	A型
星座	さそり座

職場の雰囲気は？	文化系	・	理科系	・	体育会系
あなたのタイプは？	文化系	・	理科系	・	体育会系	【年収】500万円

1回のテレビ出演は、マネージャーの汗の結晶

昨今のお笑いブームに乗り、多くの芸人たちが華々しいデビューを果たしてきた。そんな彼らの、文字通りマネージメントを行うのがマネージャーの仕事。大手芸能プロダクションに勤め、今や週に何本ものレギュラー番組を持つお笑い芸人のマネージャーとして働く井上さんに、その実態を聞いた。

「華やかな業界ではありますが、私たちの仕事は本当に地味ですよ（笑）。具体的には、担当する芸能人をどのようにプロデュースしていくかを社内のブレーンと綿密に作戦を練ったうえで、テレビ局やラジオ局、新聞社、雑誌社など、芸能に関連するマスコミに売り込んでいきます。言ってみれば、芸人を売り込む営業職ですね。確かに、テレビやラジオの収録現場に行けば多くの芸能人や業界の方とお話しする機会はありますが、それは仕事のごく一部。仕事をいくつ取ってくるかがマネージャーの腕の見せどころですからね」

芸人の、デビューするまでの苦労話はよく耳にするが、マネージャーも同様に苦労しているのだ。

「うちの会社の場合、まずは自社主催のライヴに芸人を出演させ、そこでたくさんのお客さんに見てもらうことで一般の認知度を高めていきます。と同時に、芸能関係者の方も招待して、テレビやラジオに使ってもらえるようにお願いしていくんです。もちろん、自分からも局に行って積極的にアピールしますよ。芸人の紙資料や映像資料を詰めた重た～い紙袋を提げて、覚えて、認められるまで何度もね。何年もかけて営業活動をしても芽が出ない芸人もいるわけですから、その苦労たるや推して知るべし、でしょ？」




	仕事柄、本当にたくさんのお笑い番組を見ます。しかし、どんなに面白い番組を見ても「仕事の一環」になってしまうんです

芸人とは一蓮托生。彼らの精神的支柱にならなければいけない

「営業である以上、営業力は絶対に必要です」

と語る井上さん。では、営業力とはどのような能力なのだろうか？

「『押してダメなら引いてみろ』という言葉もありますが、引いていてはお話になりません。われわれの仕事は押しの一手（笑）。無名の新人を売り込む場合などは、いくら顔見知りのプロデューサーでもほとんど相手にしてくれません。資料を持っていっても『そのへんに置いといて』なんて言われることが多い。でも、そこで置いて帰ってくるだけではマネージャー失格です。興味を持ってもらえるように、少しでも話を聞いてもらわなければなりません。『5分、いや3分、いやいや1分だけでも時間をください！』なんて。顔と名前だけでも覚えてもらえるよう、強引なまでのトークを展開して、こっちのフィールドに引きずり込む（笑）」

そうして営業に勤しむかたわら、担当の芸人とのコミュニケーションも随時、図らなければならない。

「芸人に限らず、芸能人というのは得てして、繊細な神経の持ち主が多いんですよ。なかなか売れなかったりすると『なんで売れないんだろう？　このまま売れなかったら地元に帰ろうかな？』なんて悩みを抱えている人もたくさんいます。われわれとしてはそんな風にクサられていても稼ぎになりませんから（笑）、彼らから悩みを聞き出し励ましてあげるなど、精神的な支えになるという役割もあるんです。ですから、厚い信頼関係を築いていくためのコミュニケーションも大事にしていかなければなりません」

芸人に頼られることが一番、嬉しい

メディアに露出させるために地道な営業活動を続けるのがマネージャーの仕事だが、例えばテレビに出演できたとしても、そこがゴールではないという。

「いきなりレギュラーの番組を持てるわけではなく、最初のうちはだいたい『若手芸人のネタ見せ』のような感じで出演するのですが、そこでいかに笑いを取るかが勝負です。そこからはもう、芸人個人の実力ではありますが、その芸人の実力を100％発揮できるような仕事をセッティングしていますし、それだけの準備もしています。だから、僕の立場からしたら、ウケてもらわなければ困る（笑）。そこで番組のプロデューサーに好印象を持ってもらったり高視聴率を取ったりしたら、さらに大きな仕事、レギュラー番組…とつながっていくわけです。そんなサクセスストーリーを作ることができたら、快感この上ないですね」



	情熱を持って仕事に臨むことはもちろん、人間を商品にした営業という意味では人情がなければ務まらない仕事ですね

結果を残せば万々歳。しかし、それ以上にやりがいを感じる瞬間が、井上さんにはあるそう。

「ライヴやテレビ、ラジオに出演した後などに、芸人から『今日どうだった？　違うやり方もあったかな？』などと感想を聞かれたり、意見を求められたりするときが、実は一番、嬉しい瞬間かもしれないですね。というのも、やはり芸人とマネージャーは信頼関係で成り立っている関係ですから。自分が扱っているのは人間なんだと実感すると同時に、彼らに頼られる存在なんだと責任感を感じるんですよね」