転職トップ > 転職成功ノウハウ > 転職パーフェクトガイド > 求人の探し方・選び方 > 期待値とのギャップに要注意!「新・転職の落とし穴」傾向と対策
「新・転職の落とし穴」傾向と対策
長引く不況下にあって、時代は大きな転換期を迎えている。企業も大胆な制度改革を余儀なくされており、転職者も戸惑うことが多いはずだ。入社後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔せずにすむように、落とし穴を事前に探るための対策方法を、人材コンサルタントに聞いた。
2010年08月04日

<ADVISER>
![]() |
株式会社キャリエーラ 代表取締役 |
4つのタイプ別にそれぞれチェック!
人間関係についての新・落とし穴
【Case1】
社内リストラ族から冷たい目で見られる
インターネット会社Web企画から
老舗印刷所電子書籍部に転職した30歳男性
「転職先は老舗印刷所。最近流行りの電子書籍部が新設され、請われて転職したのですが、営業人員のほとんどが、社内では異動と見せかけた子会社への出向。つまり「社内リストラ族」の巣窟…。ネットの知識もなく、やることなすことにつまらない口出しをされるし、無理難題ばかり言われ、会話もうまく進みません。この状態では、いなり空中分解しそうで不安です…」
【こうならないためには…】
新設部署への熱意、組織的な位置づけを確認しよう
今後はどの業界もこれまで以上に組織改変が進み、部署の統合や新設が増えるでしょう。あなたは、部署が新設された背景について確認不足でしたね。転職先が新設部署の場合は、「将来的に新ビジネスをどう展開するつもりなのか」「上層部は新規事業について熱意はどれほどあるのか」そして、「その部署が社長の直下にひもづいている組織なのか」を、面接で必ず確認しましょう。また、新設部署は部内の密な連携が不可欠ですから、どんな人と一緒に働くかはとても重要。「事前にメンバーの方と会わせていただけますか?」とお願いしてみましょう。もし断られた場合は、落とし穴があるかもしれないと疑っていいですね。
【Case2】
業績不振で営業成績が伸びず、新入りを潰そうとする人がいる
投資用不動産の営業から
住宅販売会社の営業に転職した27歳男性
「転職先の住宅販売会社は、この不景気で業績が前年比ダウン。営業のほとんどが目標に届かず、つらい状況が続いています。私は前職時代の知り合いづてで何とか受注を伸ばしているのですが、先輩たちはそれが気に食わないようで…。『新入りなのに生意気だ』と言わんばかりで、わざと面倒くさい仕事を振られたり、つまらない嫌がらせをされます。やっかみなのはわかりますが、ちょっとひどすぎませんか?」
【こうならないためには…】
社員の様子や社内の雰囲気を隅々まで観察しよう
正直なところ、入るまで気付きにくい落とし穴ですね。事前には確認しづらいことだけに、あなた自身の嗅覚で注意深く察知する必要があるでしょう。例えば、面接で訪問した際にすれ違う社員の様子をうかがい、あいさつする余裕があるのか、歩く姿勢や社員同士の会話に覇気が感じられるかなどは注目したいですね。「○○さんが考える、御社のいいところはどういう点ですか?」などと、面接官個人に会社についての感想を聞いてみるのもいいでしょう。社内に負のオーラが蔓延している場合、かならずどこかに歪みが生じているものです。
職場環境についての新・落とし穴
【Case3】
社内全体を包み込むネガティブシンキング
自動車部品メーカー営業から
中古車販売会社のチーフに転職した31歳男性
「この不況で大打撃を受けた自動車業界ですが、それでも好きな車に携わりたいとカーディーラーに転職しました。しかし、社内の雰囲気がとにかく暗いんです。確かに明るい話題は少ないですが、だからこそ前を向き、力を合わせようと部下たちを鼓舞していますが、どうも空回り感が否めません。『頑張っても無駄』的なネガティブな空気に、僕もやられてしまいそう…」
【こうならないためには…】
事前に一緒に働くメンバーと会わせてもらおう
入社後に一緒に働くメンバーと会わせてもらい、直接話を聞くことができれば、部署の雰囲気を事前に知ることができたはずです。また、チーフクラスとしての採用ですから、「今回の採用の目的は?」と確認しておきたいところ。「社内の活性化が急務」「若手の底上げ」など、あなたに期待される役割を知ることで現状の問題点がわかります。
【Case4】
誰も仕事を教えてくれない!
人材業界の営業から
Webマーケティング会社の営業に転職した27歳女性
「転職先では、私の入社直前に思い切った派遣切りを行い、部署は私を含めて3人。これまでの3分の1の人数で同じ量を回すため、とにかく激務で…。先輩たちには全く余裕が見られず、仕事を教われる雰囲気は皆無。『話しかけるな』とにらまれます。しかも、経費削減により簡単な導入研修しか受けられず、いまだにわからないことだらけ。とりあえず、見よう見まねで仕事をこなしていますが…」
【こうならないためには…】
「誰に仕事を教われるか」を面接で確認しよう
人員削減が急務の企業では、ありがちの落とし穴です。もし人員削減した事実が先にわかっている場合、面接段階で「仕事の相談は、誰にできますか?」と確認しておきたいところ。「営業同行は誰がしてくれるのですか?」でもよいでしょう。また、「配属となる部署のメンバーは何人ですか?」と、メンバー構成も合わせて聞いてしまってもよいでしょう。教育担当とは限りませんが、年の近い先輩や、ベテランの上司といった「あなたを取り巻く環境」が入社前にイメージできるはずです。
仕事・キャリアについての新・落とし穴
【Case5】
いくらなんでも即戦力として期待し過ぎ
中堅広告会社の営業から
大手代理店子会社に営業として転職した31歳男性
「前の会社が傾きかけていたため、焦る気持ちから書類や面接で大風呂敷を広げすぎてしまいました。面接で上司に『次世代リーダーの誕生だ!』と言われるくらい気に入られてしまい…。さらに、ちょっと知識があるといったばかりに、いきなり新規プロジェクトを担当することに。正直、そんなに知識はないんです。デカいことを言わなければよかったと後悔しています」
【こうならないためには…】
無理して「できる」と言わないこと。向上心で勝負しよう
入社することが目的ではありません。あなたの失敗は、入社後のことを考えておかなかったことでしょう。大量採用ができないこのご時世では、一人の中途入社者の担うべき役割が大きくなるのは当然です。だからといって、すべてできる必要はないのです。できることと、できないことをはっきり認識できている人のほうが企業も信頼しますし、その中でどう努力できるかが大事なのです。それは即戦力でも未経験でも同じ。あなたの場合は、任された以上、もうチャンスだと思ってなりふり構わず努力することですね。
【Case6】
業界の変革期で、これまでの知識が通じない
大手CD店の主任から
音楽制作会社のマーケティング職に転職した32歳男性
「これまで音楽業界一筋。実地で学んだ消費者の購買パターンを、マーケティングの仕事に活かそうと転職したものの、陳列手法や販促キャンペーンなどといった、これまで携わってきたマーケティング手法が通用しなさそうです。求められるのは、ネットに関する知識ばかり。音楽配信についての知識不足は認めますが、変革期にともなったマーケティングシステムの再構築なんて専門外ですよ…」
【こうならないためには…】
現在活躍している社員のプロフィールを確認してみよう
現在のように変化が激しい時代では、どんな仕事に挑戦するにしても、これからの世の中の動きを知らないというのは致命的です。あなたのようなズレが生じないためには、面接時に「どのような経験の人が活躍していますか」と聞いてみるのがいいでしょう。一方で、あなた自身が「キャリアチェンジをしている」という意識を持つことも大切です。前の仕事のやり方に引きずられすぎるのはよくありません。理想の転職は、「前職のやり方をそのまま活かす」ことよりも、「活かしつつ、新しいチャレンジができる」環境を探すことですよ。
お金についての新・落とし穴
【Case7】
予算が少なすぎて、スタッフに仕事を発注できない
ネット広告の営業から
ポータルサイトのディレクターに転職した33歳女性
「メディアを作る仕事に憧れ、念願のディレクターに転職成功。サイトの規模が縮小したことは聞いていましたが、制作予算がこれほどまでにカットされているとは…。こんな予算ではWeb画面のデザイン発注すらできるとは思えません。面接では何かを書いたり手を動かしたりすることが好きだとアピールしましたが、ひょっとして自分ですべて作れということですか…?」
【こうならないためには…】
携わる仕事の社内での位置づけを確認しよう
経費削減が至上命題の会社ではよくある話ですね。予算の分配で、会社が事業としてどのくらい力を入れるかがわかります。「入社後に携わるサイトの社内での位置づけや、今後の展望を教えてほしい」などと、事業の将来的な方向性を聞いてみましょう。そうすれば、どの程度の予算で、どの程度の質のものを、どのような手段(社内か、外注か)で作るのかを確認しやすくなります。確かにお金のことは聞きにくいでしょうが、仕事の進め方や評価に直結する問題。自分の身を守るためにも、きちんと確認しましょう。
【Case8】
予算についての検討をもっとすべきでは…
人材派遣会社の広報から
Webマーケティング会社の広報に転職した30歳女性
「前の会社は経費削減を徹底していて、どんな企画を進めるのにも、低予算の中で工夫せざるを得ませんでした。ところが転職先では使える予算がケタ違い!「こんなにいいの?」と心配になるくらいの額を任されます。裁量が広いことは嬉しいですが、その分の責任は負わされるわけで…。予算が多いなんてぜいたくな悩みですが、もう少し、検討すべきでは?」
【こうならないためには…】
予算を任されるプロジェクトの規模と納期を確認しよう
予算は会社や業界によって差異が大きく、ましてやこの不況下ではなおさらです。広報やマーケ、研究職などによくある話ですね。「携わる部署が将来的に何を期待されているのか」「これまでどれほどの実績を上げてきたのか」を質問することで、入社後の仕事の規模を察しておくといいでしょう。「どんなプロジェクトを、どんな人たちと実現させるのですか?」「仕事の期間と、それに付随する予算はどのくらいですか?」などと話を広げるチャンスにもなります。
すべては自分自身の身を守るため。
面接時には遠慮せず、上手に質問しよう
入社後に「こんなはずでは」と感じる場合のほとんどが、「面接の場で、配属先の人から直接仕事の進め方が聞けていない」ことが原因だと藤井氏は語る。キャリアアップを実現する貴重なチャンスだけに、一人でも多くの人と会って話せるよう、遠慮せずに人事担当者に相談してみよう。変化が激しい時代だけに、やはり生で聞ける情報が有効。転職に納得がいけば、入社後のやる気もアップし、ビジネスパーソンとしての成長につながるはずだ。
自分の強み・仕事のスタイルと求める環境を客観視できる
リクナビNEXTスカウトでレジュメを書いてみよう
何か新しいことに挑戦したいと思ったら、まずは「リクナビNEXTスカウト」にレジュメを登録しよう。レジュメを作成することで、自分の強みがわかり、ぴったり合った会社を探すのにも役立つはずだ。どういったスタイルで働きたいのかも見えてくるだろう。また、未知の企業からオファーが舞い込むこともある。自分の可能性を広めるためにも、レジュメ登録は非常に有効な手段なのだ。
- EDIT
- 高嶋ちほ子
- WRITING
- 志村 江
- ILLUST
- もりいくすお