退職の壁の乗り越え方
 第1回  職場・仕事への責任の壁  第2回  現状への未練の壁
 第3回  自分自身への不安の壁  第4回  家族からの反対の壁
第2回 現状への未練の壁の壁
今の勤務先で得ている待遇にそれなりに良いところもあると自覚している場合、「このまま残る選択肢もあるかもしれない」と転職をためらっている人も多いようだ。そんな迷いを断ち切った先輩たちに、決断のポイントを聞いてみた。
ソフトウエアプログラマー M・Iさん(26歳)
ぬるま湯状態の仕事環境が心地よく…。
PROFILE 大学卒業後、コンピュータ会社のヘルプデスクを2年間経験。その後、リース会社に転職し、一般事務になるも、1年後、現在の会社であるソフトウエア会社に再転職。プログラマーとして勤務中。
M・Iさんの退職曲線
転職を考えたきっかけは?

 あまりに古い体質の会社だったんですよ。何でもかんでも稟議書、稟議書だし、評価は年功序列。それこそ入社直後から「これは違う」と感じていたんですが、ちょっとずつ蓄積していった不満が、退職2カ月前に爆発しました。それでもすぐに転職にまで踏み切れなかったのは、ぬるま湯状態の仕事環境がそれなりに心地よかったから。給料は少なくても、残業はほとんどないしアフター5は充実。仕事も、言われたことを言われた通りにこなせばいいだけでしたからね。あえて新しい環境に飛び込まなくても……と、動けなかったんです。

壁を乗り越えるために何をした?
 日々思い悩む中で、改めて、今後のキャリアプランを考えてみたんですよ。5年後、10年後もバリバリ働いている……。そんな自分でいるためには、どこでも通用するようなスキルを身につける必要があります。にもかかわらず当時の私の仕事は、何のスキルも身につかない。これはぬるま湯に浸かっている場合じゃないと、目が覚めましたね。
 新卒でコンピュータの会社に勤務したこともあり、転職活動時の希望職種はプログラマー。この仕事なら、手に職をつけるという意味でもピッタリですから。まだ転職を決断するには至ってなかったんですが、何となく広告をチェックすると意外に「未経験歓迎」の求人も多いんですよ。これも決断するのに背中を押してくれましたね。正に「案ずるより生むが易し」、もっと早く動くべきだったと思うくらいです。
“現状が楽”の壁の乗り越え方
5年後、10年後にありたい自分を思い描き、今の仕事のままでいた自分と照らし合わせる。
転職活動しないまでも、情報は収集し、描くキャリアプランと実現可能性を確かめる。
人材派遣会社のコーディネーター M・Sさん(27歳)
高額の給与を考えると、どうしても迷いが…。
PROFILE 短大を卒業して5年間、金融機関の事務スタッフとして勤務する。その後、9カ月の海外留学などを経て、現在は人材派遣会社のコーディネーターとして勤務中。
M・Sさんの退職曲線
転職を考えたきっかけは?
 前の職場では5年間、事務一筋でしたが、これ以上のステップアップが期待できない職場だったんです。仕事は変らないのに、後輩の教育など責任は増える一方。そのことに4年目くらいから不満を感じるようになり、転職を意識し始めました。ただ、お給料はよかったんです。学生時代の友人と話をしても、額を言うのがはばかられるくらいでしたから。この待遇を失ってもいいのかという迷い、が最大のネックでした。  そうして1年間迷った末、ちょうど5年目に入った時に退職を決断。複数の先輩が同時に退職し、代わりに異動してきた年上の人たちを指導していてストレスが限界に達したんです。
壁を乗り越えるために何をした?
 先輩たちが退職してからしばらく、それこそ毎日のように自分が仕事に何を求めているのかを考え直してみました。そもそも当時の仕事は短大の推薦枠があったから選んだようなもので、やりたい仕事とは程遠いもの。本当は人と接する仕事がやりたかったことを思い出したんです。色々悩んだ結果、「やりたいことをやる」のと「お給料」、どっちが大事かといえば絶対に前者だということに気づき決断に至りました。転職して今よりお給料が下がるとしても、やりたいことをやれるんだったら納得できるじゃないですか。在職中、当面は困らないだけの貯蓄を作っていたのも大きかったんですけどね。
”収入ダウン”の壁の乗り越え方
自分にとって、より大事なのはお金? やりがい? 仕事に求めるものに優先順位をつける。
当面は困らないだけの貯蓄を作っておいた。
「壁」乗り越え前事例
銀行の総合職 K・Uさん(29歳)
収入も手当も厚待遇。その価値を考えると…。
PROFILE 大学卒業後、都市銀行に入社。1年半、本店での融資業務を経験した後は、支社での 総合職として勤務する。現在、入社5年目。
K・Uさんの退職曲線
転職を考えたのはなぜ?
 会社の官僚体質にウンザリしたんです。確かに仕事のできる人が多いんですけど、例えば下からの意見が取り入れられることなんて、まるでないんですよ。そんな状態が長く続くと、仕事へのモチベーションも向上心も失われてきます。結局、1年前に体調を崩したことがきっかけで、転職を意識するようになりました。
壁を乗り越えられないのはなぜ?
 都市銀ならではの恵まれた待遇が手放せないことが大きいですね。収入もほかも業界では考えられないほどもらってますし、住宅手当は今の家賃の6割を支給されています。社内預金なんて金利が1%なんですよ。一度は情報収集もしてみたんですが、今の待遇を考えると、あえて環境を変えようという気分ではなくなってしまって。まあ、春の異動が近づいてきて、またちょっと転職を意識するようになっているのも確かですが。
「現状への未練の壁」を乗り越えるには
仕事環境や待遇の良さは、一度手に入れると簡単に手放すのは難しい。しかし、そんな“壁”を乗り越えた人に取材したところ、ポイントとなったのは、現状を振り返ると同時に
 (1)将来のキャリアプランを描くこと
 (2)仕事に求めるものを整理し直すこと
そうやって、そのままの環境に甘んじることが、自分にとってプラスになるかマイナスになるかを考えて決断していた。具体的な方法は、以下を参考にして欲しい。

 また、迷っている段階でも、「情報収集する」「貯金をする」など、転職に備えて行動していた点も見逃せない。そうすることで、決断してからは再び迷うことなく転職活動し、成功を手に入れている。
【キャリアプランの立て方】
(1)現状の不満や不安を整理する
(2)自分がやりたいこととできることを明確にする
  自分史(出来事とその時の気持ちの年表)、興味がある仕事や理由を書き出す。例えば、仕事(仕事内容、職場環境など)、日常生活(家族関係、趣味など)などから、自分のありたい姿を描く。
(3)自分を取り巻く環境を整理する
 

例えば、希望職種や会社、業界の需給予測、給与の相場、必要な能力・スキルといった情報を収集してみる。ほかにも、「必要な年収」「職場で求められている能力」「家族の意向」などを把握していく。

(4)行動目標を立てる
  (1)〜(3)をもとに、自分のありたい姿を整理して、それを実現するためには何をするべきかを考える。その際、そこに至るまでの課題やかけられる時間やお金もあわせて考える。

詳しいやり方はこちら → 転職活動 基本の「き」のQ&A

【仕事に求めるものの整理法】
(1)「やりがい」「給与」「安定」など、仕事に求める条件を挙げる。
(2)条件に優先順位をつけ、その中で最も重要な項目が現状で満たされているかどうかチェックする。


 第1回  職場・仕事への責任の壁  第2回  現状への未練の壁
 第3回  自分自身への不安の壁  第4回  家族からの反対の壁




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