採用担当者100人に質問！今どき未経験者採用の実態

まず直近1年間（2009年春〜2010年春ごろ）に未経験者採用の実績について質問した結果が、表にあるとおり（複数回答）。
「未経験者を採用しなかった」という25％を除くと全体の75％が、未経験者を採用している。
さらに詳しく見ていくとひと言で「未経験者」といっても、主に3つのタイプに分かれる。

・職種経験はあるが業界経験はない「業界未経験者」
・業界経験はあるが職種経験はない「職種未経験者」
・職種経験も業界経験もない「全くの未経験者」

この3つのタイプ別採用実績を見ていくと、「業界未経験者」が過半数を超えて最も多い結果になった。主な採用理由として考えられるのは、職種で培ったスキルを重視しているということ。また次に多い「職種未経験者」については、業界の慣習を熟知し、人脈を活かせることを重視している傾向にある。

次に質問したのは、「昨今の不況は、未経験者採用に影響があったのか？」という点。
通常、不況になった場合に採用市場で起こるのが“厳選採用の増加”だ。不況による業績悪化に伴い採用を抑制したり、また採用する場合も以前より専門スキルや経験を重視する傾向が強くなるため、未経験者にとっては不利に働くケースが多い。
しかし今回調査した結果、変化した：変化なしの割合が約4：6で、予想に反して不況の影響がなかったと答えた割合の方が高かった。
そこで変化した＆変化なし、それぞれの代表的な理由について紹介しよう。

（変化した主な理由）
・未経験者の採用人数を従来の半分に減らし、新規採用も70％程度に削減（自動車制御装置製造企業）
・製造業から流れてくる人材が増えた（警備業）
・当社からの積極的採用の働きかけを控えるようになり、応募者が出た場合のみ面談・試験等の対応をするように（ソフトウェア開発企業）

（変化しなかった主な理由）
・ジェネリック企業にとっては厚生労働省の後押しもあり、追い風が吹いているから（医薬品製造業）
・ショールーム担当の女性の離職率が高いので、常に採用の必要がある（ショールーム設計・運営代行業）
・不況の影響はあるが比較的軽微で、技術継承のために採用を継続したい（印刷業）

このように両者の理由を見ると医療業界などを中心に、今回の調査に限ってはそれほど不況の影響を受けている企業が多くなかった。その上、もともと離職率が高かったり募集しても応募者が少なかったりするため、未経験採用を継続していく必要がある企業が多いようだ。