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「これから伸びる!次世代有望企業」の見つけ方
10年前に業績が好調だった会社が軒並み落ち込んでいる。同じように、今、業績のいい会社が、10年後も好調だとは限らない。では、今後伸びる企業とは一体どこなのだろうか。国際経済、株式経済、流通業界の専門家3人に大胆予想してもらった。
2010年4月7日

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【国際経済の達人】 慶應義塾大学経済学部卒業後、銀行系シンクタンクに入社。日本経済研究センター、シンガポールの東南アジア研究所、生保系シンクタンク主任エコノミストを経て、05年にBRICs経済研究所を設立し、現在は同研究所代表を務める。専門は日米経済、アジア経済、BRICs経済、地下経済など多岐に渡る。同志社大学大学院の非常勤講師のほか、世界各国での講演や、テレビ、ラジオ、雑誌などのコメンテーターとしても活躍。近著に「中国経済の正体」。 |
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【株式の達人】 「常に個人投資家のサイドに立つ」をモットーに活躍する、実践派の経済評論家、マネーエコノミスト。経済や株式をわかりやすく紹介することには定評があり、主に全国各地での講演会活動に力を入れる。その他、ラジオNIKKEI「ファイナンシャル・サテライト」「視界良好!杉村商店」などのラジオ番組のレギュラー出演でも人気を博す。『株の仕組み』『株巧者の投資法』など著書は100冊に及ぶ。 |
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【流通の達人】 慶應義塾大学卒業後、ジャパンエナジー(現:新日鉱ホールディングス)を経て独立。お金をかけずに売り上げ・利益を高める手法を求めて、日本国内のみならず世界中を飛び回る流通ジャーナリスト兼プライスアナリスト。テレビや雑誌、ラジオなど多方面で活躍する。著書に『超三流主義』『「値切り」のマジック』『おみくじの原価は1円!』『買いの法則、売りの法則』。最新刊は『ボクの教科書はチラシだった』。 |
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「現在」ではなく、「今後」好調になる企業に入ろう!
経済に詳しい人が口を揃えて話すのが、「現在の人気企業ではなく、未来の人気企業に入れ」ということ。企業の業績には波がある。今ピークの企業に入って仕事を覚えても、いざ活躍しようと思ったときには業績が下がってしまっていることが多いというのがその理由だ。それでは、今後、好調な業界とは一体どこなのだろうか。人気の経済系スペシャリストに、「成長する企業の見分け方」を聞いた。3人の意見を参考にして、未来の優良企業を探し出そう。
【国際経済の達人】
門倉氏が次世代有望企業を大胆予想!

「BOP(Bottom of Pyramid)」に着目せよ
2008年9月のリーマンショックをきっかけに、日本を含む先進国ではアメリカに集中させていた投資を分散化させています。そこで浮上してきたのが中国やインド、インドネシア、ベトナムといったアジアや、アルゼンチンなど南米の「新興国」です。
アジアの国々が注目される理由は、なんと言っても「人口」です。13億5000万人という人口を抱える中国は、一人っ子政策の影響で人口増加率が年々鈍化する見込みですが、10年後もまだまだ巨大なマーケットであることに変わりありません。そして、そのほかのアジアの国々は「人口の伸び率」がすごい。
インドの人口は、2028年には中国を抜いて世界一になると言われています。インドネシアも、2050年には現在の1.5倍の3億人に達する見込みです。つまり、「巨大な人口を抱えるアジアの新興国向け」にビジネス展開できる日本企業はこれから伸びるというわけです。
そのなかでも注目されているのが、「BOP(Bottom of Pyramid)」(所得階層別人口ピラミッドの底辺に位置する人々)を対象としたビジネスです。低所得者層を対象としたビジネスで成功するためには、最小限の機能で低価格なものを現地仕様で提供する発想が必要となります。例えば、フマキラーは、マラリアが深刻なインドでモスキート退治用の蚊取り線香をヒットさせてシェアを伸ばしています。シャープも、インドネシアの電気事情に合わせて低電圧の商品を作り続けることで、現地の人たちから強い支持を得ています。
「美白ブーム」に沸く中国やインドで、化粧品会社が熱い!
これまで中国は、安い人件費を強みとしてメーカーなど輸出企業のアジア拠点として重大な役割を担ってきました。今後は購買層をターゲットにした「内需」を狙ったビジネスが中心になります。
中国では、上海、北京の新裕福層の購買力に着目し、百貨店、スーパーやコンビニエンスストアなどといった流通業が進出を始めていますし、日産自動車は中国の内陸部に着目し、車を持っていない層に安く高性能な商品を提供していています。
また、中国やインドなどでは、女性の社会進出が進むにつれて美白ブームが起こり、資生堂が売り上げを伸ばしています。
「世界規模のイベント開催国」で、ゼネコンや商社が伸びる!
今後予定される、五輪やワールドカップといった世界規模のイベントの開催国は要注目です。これまでは先進国で開かれるのが一般的でしたが、2008年の北京五輪を皮切りに新興国で続々と開催されます。今年5月の上海万博、6月の南アフリカのサッカー・ワールドカップのほか、南米では2014年にブラジルでサッカー・ワールドカップ、2016年にはリオデジャネイロで五輪が開催。ロシアでも2014年にソチで冬季五輪が開催されます。まさにBRICsやVISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチンの総称で、門倉氏が2006年に命名)の国々です。現状ではインフラが整っていない国ばかりですが、イベント開催に合わせて、電力や輸送手段などが整備されるため、技術力の高い日本企業は現地で活躍できるはずです。大手ゼネコンはもちろんのこと、鉄道会社は空港や競技場間をつなぐレールを敷くノウハウを提供できるでしょう。企業同士の受注の架け橋となる商社も大きな役割を担うことでしょう。
地球にやさしい「CDM事業」(クリーン開発メカニズム)に注目!
世界的な温暖化によって水不足が懸念される中、海水を飲み水にする技術が注目されています。特に砂漠化が進む中東が力を入れていますが、そこでも日本企業が圧倒的な技術で競争力を持っているんです。水を浄化するためのフィルターを提供する旭化成、東レといった繊維化学のメーカーや、プラント方面では三菱重工がいち早く進出して実績を伸ばしています。
また、鳩山首相が国連で「温室効果ガスを2020年までに25%削減する」と公約したことから、日本が力を入れている「CDM事業」にも注目です。国内だけではその数字を達成することがほぼ不可能なため、新興国の温室効果ガス削減を援助し、削減分を買い取るという手段です。エンジニアリング会社の日揮などが、この事業を進めています。
【株式の達人】
杉村氏が次世代有望企業を大胆予想!
「破壊的イノベーション」を生み出す企業に乗れ!
市場の秩序を乱し、業界構造を劇的に変化させてしまう波を「破壊的イノベーション」といいます。性能は低くとも、低価格・小型・簡単などの理由で、従来品より使いやすいという評価をさせる製品で、高性能を求める従来の顧客には不評だが、ライトユーザーなど新しい層の顧客で市場を形成するができます。簡単な例えだと、デジカメの普及により、カメラのフィルム市場が急激に縮小したことをイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。転職先選びの際は、うっかり破壊されるほうに転職しないよう気をつけてほしいところですが(笑)、伸びる産業を見極める際には、持っておきたい有効な視点の一つです。
国策による「医療再生」「子育て支援」は宝の山!?
鳩山連立政権の公約の一つである「医療再生」は、アメリカや中国の国民皆保険制度といった政策同様、もはや世界的な流れです。特にドクターヘリなどの救急医療や地域医療の充実のために、国策として財源が確保される確率が高いので、「安定事業」といえるかもしれません。ひいては、そうした病院向けの医療機器を扱うシップヘルスケアホールディングスや、医療関連サービスのエムスリー、介護・医療分野専門に人材登録を行うエス・エム・エスといった企業は伸びる可能性が大きい。
同じく、子育て支援の一環で支給予定の「子ども手当」に関連する消費の拡大にも期待が持てます。昨年の定額給付金では、回転寿しのくらコーポレーションや、イタリアンレストランのサイゼリヤなどの安価なファミリー向け外食産業、オリエンタルランドなどのエンタテインメント産業が恩恵を受けたというデータがありますが、子ども手当は毎月の支給ですから、パチンコなどほかのエンタテインメント業界も本来の意図とは異なりますが、利益を得る可能性があるかもしれません。まあ、本命は学習塾でしょうが…。
「ブルー・ゴールド」と「黒いダイヤ」が熱い!
世界では水不足が深刻で、その貴重さ故に、水のことを「ブルー・ゴールド」と呼ぶほどです。海水の淡水化など、水の再処理技術は世界的にも需要がありますから、高圧ポンプの酉島製作所や逆浸透膜に強い日東電工、東レや東洋紡の技術には注目が集まるでしょう。
また、化石燃料の価格高騰も深刻で、鉄鉱石は前年比90%、「黒いダイヤ」こと石炭は同55%も原料価格が上がっており、世界中で争奪戦が繰り広げられています。こうした化石燃料を使わないような、風力や太陽光で創出したエネルギーを蓄積するための電力網として、欧米では「スマートグリッド」が早くから取り入れられてきました。日本においても導入の流れが進んでいるため、関連ビジネスは要チェックです。
「クラウドコンピューティング」が世界標準になる!
世界的に確実に伸びると言われているのが、「クラウドコンピューティング」です。専門業者が所有する巨大なホストコンピュータから、個人が必要な情報だけを取り出す利用形態のことで、ユーザーは最低限の接続ツールさえ持てばよくなります。このクラウドコンピューティング事業に取り組んでいるメーカーはもとより、普及にあたって個人情報の問題は避けて通れませんから、トレンドマイクロなどのセキュリティ対策会社が飛躍する可能性が高いでしょう。革新的な手法の実現ですから、新しいソフトの開発の仕事も増えるはずです。
また、最近は少しかげりが見えている半導体業界ですが、東芝やサムスンがフラッシュメモリーの増産を決めるなど、製造装置も含めて半導体業界は今後復活する見込みです。
その他の技術革新としては、数年の年月を経て「音声入力システム」の開発が進み、医療現場における電子カルテや、東京都議会の議事録作成システムなど、さまざまな場面で活躍を始めました。今後はもっと広がるはずですから、開発に携わったアドバンストメディアなどは伸びる可能性が大きい。
もうひとつは「LED照明」。環境やコスト面で優れており、今後確実に普及が見込まれ、2015年には550億ドルの市場になると言われています。注目です。
【流通の達人】
金子氏が次世代有望企業を大胆予想!
「固定費をかけず」経営している会社は堅い!
長引く不景気により、企業も体力がなくなっています。できるだけ効率よく利益を生み出すことが求められる時代ですから、大原則としては「固定費をかけていない会社」であることが大事です。固定費を抑えれば損益分岐点が低くなり、確実に利益が生み出しやすくなる。つまり「伸びる」んです。
固定費を考えるうえでわかりやすいのが「本社の場所」です。ここ最近、成長を続けている会社の多くが、地方に本社を置く企業です。例えば、ニトリ(北海道札幌市)、ヤマダ電機(群馬県高崎市)、しまむら(埼玉県さいたま市)などです。売り上げ好調だからといって、東京に本社を移していない。堅実な経営方針だといえるでしょう。
もし東京に本社がある中で、優良企業を選ぶとしたら、江東区にある企業がお勧めです。家賃がそれほど高くなく、しかも都心に近く利便性もある。賢い選択のできる企業だと判断していいと思います。つまり、将来を見据えて「見栄を張っていない」ことが大事なんです。
「可処分所得」が高いマーケットに注目!
地方は給与水準が低いため、いいマーケットではないと思われがちです。しかし、親との同居率が高い地域では、家賃にお金をかけずにすむため、給与水準が低くても「可処分所得が高くなる」という特性があります。さらに自家用自動車が普及していれば、買い物にも意欲的です。その2点から考えると、九州地方、中国地方、北関東という3つの地域は注目です。「地方で一旗揚げる」という意識でこうしたエリアに意欲的に出店している会社は、かなり堅いと見ていいでしょう。
今後もインターネットは発達していきますから、地域格差はますますなくなります。ジャパネットたかたのように、東京進出していなくても堅実な商売が十分に可能になっていくのです。
狙いは「中国人富裕層向けビジネス」
私が注目している企業の一つに、「ゆめタウン」というショッピングセンターを展開するイズミという企業があります。関東や関西には一切進出せず、九州や中国、四国エリアのみで出店しているのですが、実は福岡空港を利用する中国からの観光客で賑わっているんです。中国や韓国からの観光客の多くは福岡空港を経由して日本各地に行くため、九州、特に福岡は貴重なマーケットなんです。
中国は富裕層だけでも1億2000万人といわれています。今後、彼らをうまく取り込むことが、小売流通業が生き伸びるためには不可欠要素となるでしょう。彼らは日本に来て、日本製の電化製品はもとより、日本製スーツや、薬、食品などを買って帰ります。自国のものより、メイドインジャパンは「質がいい、安全だ」という認識があるからです。小売流通業だけでなく、そうしたアジアの富裕層向けの需要をうまく取り込める意欲的な医薬品や衣料品メーカーも伸びる可能性は高いでしょうね。
二匹目どころか「四匹目のドジョウ」がちょうどいい
体力があまりない企業が多い中、「効率よく、確実に利益を出す」ということは、ホームランではなく、確実に内野ゴロを出せるような企業が求められるわけですから、そんな時代に「フロンティアスピリッツ」などは必要ありません。こんな時代に険しい場所をかき分けて新しい道を一から作るのはとても手間と時間がかかり過ぎて命取りになりかねません。それよりは、先達が作った舗装された道を、安全にゆっくりと歩く方がリスクも少なくてすみますし、はっきりいってラクです。つまり、すでにある程度の市場を持つ業界の中で、2番手どころか4番手くらいの位置づけにある会社が強いというわけです。
上位企業から買収されるのではないかと懸念されがちですが、実は4番手までいくと、その心配も少なくなるんです。1番手企業が2番手と合併すれば、巨大組織になりますからメリットがある。2番手と3番手が合併すれば、1番手になれるかもしれないからやはりメリットがあります。でも、1番手や2番手が、4番手を買っても規模が小さすぎてあまりメリットがないんです。つまり、目立たないから無視される存在(笑)。この立ち位置はおいしいですよ。
今後はますます、「いつか儲かる」という計画性のない曖昧なビジネスでは絶対に儲からない時代になります。コストをかけず「開業したその日から利益が生み出せる」くらいのビジネスでないと、時代の流れに付いていけず、どんどん淘汰されていくでしょう。
世界にどう貢献したいか、が会社選びのヒント
世界の経済構造は、リーマンショック以降に大きな転換を見せている。その中における日本の役割もこれからますます変わっていくだろう。日本企業が復活するカギがアジアをはじめとする世界市場にあるからこそ、高い技術力と鋭い先見性を持つ企業を見極め、自分の活躍の場を確保することが今後の課題と言える。ビジネスパーソンとして世界にどのように貢献したいかを考えておくことも、会社選びのヒントになるはずだ。
今後伸びる企業が、積極的に採用に動くことも!
リクナビNEXTスカウトでチャンスを広げておこう
自己実現できそうな成長性の高い会社をイメージできたら、「リクナビNEXTスカウト」にレジュメを登録し、自分の市場価値を確認しよう!職経経歴を登録しオファーを受けるのは、自分の市場価値を知るいいチャンス。転職活動を通じて社外の人と話すことは、やる気と広い視野をもたらしてくれる。思いもよらない企業との出会いで将来の可能性が広がるかもしれないぞ。
- EDIT
- 高嶋ちほ子
- WRITING
- 志村 江
- PHOTO
- 平山 諭
- ILLUST
- もりいくすお