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自分に合った仕事を発見するための「仕事探しのヒント」
いざ転職をと思っても、「自分にはどんな仕事が合っているかわからない」と、一歩前に踏み出せずにいるビジネスパーソンがとても多い。今回は、さまざまな分野で活躍する“マッチングのプロ”に、「自分に合った仕事」を見つけるために実践すべきことについてうかがった。具体的に何をすればいいのか、どんな自己分析が必要なのか、どんな発想で仕事探しをすればいいのか…。すぐに取り入れられる「仕事探しのヒント」を紹介する。
2011年6月8日

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「読書のすすめ」店長 |
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SBIモーゲージ株式会社 |
人と企業のマッチングのプロ
森本千賀子氏に聞く
森本氏は、これまでに1万人を超える求職者と関わり、約2000人を超える求職者と企業とをマッチングさせてきた。そんなマッチングのプロが指南する、「自分に合った」仕事を見つける方法とは?
【STEP1】
過去の「判断基準」を振り返ってみよう
これまでの自分を振り返り、進学や就職など、大きな転機で「なぜ自分はそれを選んだのか」を分析してみましょう。そこには、楽しかったことや大事にしたいものなど、自分なりの“判断基準”が必ずあったはずです。それをキーワード化して書き出してみると、その中に、自分自身が大事にしてきた「価値観」が明確になるはずです。自分が大事にしてきたものは、評価なのか、成長速度なのか、報酬なのか、それ以外にもいろいろあるでしょう。まずは自分の価値観を客観的に認識すること。自分が理想とする「価値観のポートフォリオ」を組んでみるといいかもしれません。そして今の仕事とそのポートフォリオとがずれていないか確認する。今の仕事が合っていないと感じることは、そこにギャップがある可能性が大きいと思います。
【STEP2】
身近な人から、未経験の仕事の情報を手に入れよう
「自分に合う仕事がわからない」というのは、ゴールが決められずに迷っている状態だといえます。なぜ迷うのかといえば、実は「世の中にどんな仕事があるか」を知らないからでしょう。世の中には、本当に多くの仕事があるにもかかわらず、わずかな情報だけで選ぼうとするため、「選択肢がない」と悩んでしまうんです。そうならないためにも、情報収集は大事。例えば「リクナビNEXT」のような転職サイトを隅々まで見るなどして、情報収集するのもいいですが、身近な人に「どんな仕事をしているのか」積極的に話を聞いてみてもいいかもしれません。家族や友人、飲み会で会った人など、仕事内容を深く聞いてみる。身近なところにこそ、世の中を知るチャンスがたくさんあるんです。そうやって、いろいろな仕事について興味を持つことができれば、視野が広がって、思わぬ選択肢が増えたりするものです。
【STEP3】
憧れの人を分析し、自分が今「やらなくてはいけないこと」を理解しよう
あなたが理想とする人はどんな人なのか、描いてみてください。「こんな生き方に憧れる」「あの人みたいになりたい」といった、できるだけ具体的なイメージを持つことが大事です。身近にいなければ、映画やドラマ、小説の中の主人公でも構いません。自分の生き方を考えるうえで、目標にできる将来像を、より具体的に、強く持ってください。
将来像が定まったら、近づくためにどうするかを考えていきましょう。その際に大事なのが、「Can(できること)」「Will(やりたいこと)」「Must(やらなくてはいけないこと)」という3つの視点です。最初の2つを軸にして仕事を探してしまう人が多いですが、それでは、実は理想の自分には近づけません。将来を見据えたうえで、「今やらなくてはいけないこと」も意識することで、将来につながるキャリア選択になるでしょう。それが結果的に「自分に合う」という感覚につながるはずです。つまり、この3つの視点を均等に、バランスよく持つように意識しながら、仕事探しをすることが、結果として将来的に高い価値を発揮できる人材になることにつながります。
「本のソムリエ」
清水克衛氏に聞く
コンビニエンスストアの店長だった清水氏が、1994年に開業したのが、“本をすすめる本屋”「読書のすすめ」。さまざまな悩みを抱えた人たちが、“本のソムリエ”こと清水店長に本を選んでもらうためにお店を訪れる。就職活動がうまくいかない若い人たちにアドバイスすることも多い清水氏が考える、「自分に合った仕事」の探し方とは?
【STEP1】
他人から勧められたことを必死でやってみる
私がこの仕事をするようになったきっかけは、柔道部時代の先輩からの一本の電話でした。「うちでビルを建てたから、その1階で何か商売をやれ」と言われたんですね。先輩から言われたことにはすべて「はい」と返事するのが決まりでしたから、「はい」と。それで、10年務めた会社を辞めて始めたのが、「読書のすすめ」です。今はこの仕事が本当に面白くてしょうがないのですが、最初のきっかけは、実はそんなものだったりするんです。
自分のことは自分が一番わからないもの。だから、縁があった仕事を断らずに必死で取り組んでみることで、「向いている仕事が見えてくる」ということはあると思います。
【STEP2】
周りの人が仕事を紹介したくなるような行動をする
周りの人に信頼してもらえるようになる「4つの行動」があります。
1.何事にも「はい」と返事する
2.はきものをきちんと揃える
3.席を立ったら椅子を戻す
4.腰骨を立たせる(背筋を伸ばす)
これは昔から言われていることなのですが、とにかくこの4つの行いをきちんと続けていると、素直で謙虚な振る舞いができる人だとかわいがられ、「愛嬌がある」と周りから思われるようになるからです。そうすれば、周りの人が勝手に「こんな仕事をやってみない?」と声をかけてくれたりして、自分の可能性が広がる、というわけです。
【STEP3】
辛くなったら、仕事で他人を喜ばせてみる
人から向いていると言われたからといって、最初から仕事がうまくいくわけではありません。どんなに才能がある人でも、壁の連続です。そんなときに特効薬があります。それは人を喜ばせることです。そもそも「働く」とは、「傍(はた)が楽(らく)になる」が語源です。苦しいことがあったときも、自分がしたことで喜んでくれる人がいたら、乗り越えられます。
私の場合だってそうでした。よく「自分がいいと思う本だけを店に置けるなんて、いいですね」と言われますが、実は違います。「お店にきてくださる方が喜んでくれそうな本」を選んで置いているんです。自分の好きな本だけ置いていたのでは、すぐに店はつぶれてしまいます。本を売るために、段ボールを使ってPOPを書いてみたり、いろいろ試行錯誤をしながら、日々工夫しています。苦労もありますが、そうやって並べた本を読んだ人が涙を流して喜んでくれる姿を見たらやはり嬉しい。仕事もどんどん楽しくなってきます。いくつも壁を乗り越えるうちに、仕事に誇りが持てるようになり、向いている実感が沸くでしょう。どんな仕事でも「自分に向いている仕事」に変えられる可能性がある、という意識を持つことが大事なのです。
3000人を面接した
横山信治氏に聞く
小学生時代は最年少落語家として人気を集め、カード会社に転身後は全国最下位からトップ営業へ。現職ではこれまでに3000人以上の採用面接に立ち合った経験から、「安易な転職はするな」と警鐘を鳴らす横山氏が考える、自分に合った会社の見つけ方とは?
【STEP1】
今の仕事に不満のない状態をつくり出す
仕事選びをする際に、気をつけて欲しいことがあります。それは今の仕事に不満を持っていない状態で仕事を探す、ということです。自分に合った仕事を探すためには、「ワクワクする感覚」がカギになりますが、今の仕事が面白くないと思っている状態では、自分にとってワクワクするものが何かなんてわからないでしょう。向いている仕事を探すために、まずは今の仕事でワクワクする状態になってください。最も簡単な方法は、自分のスキルよりもちょっとレベルが高くて、難易度の高い仕事に取り組むことです。どんな仕事でも、工夫すれば必ず見つかります。例えば何かを封入する仕事をしていたとしましょう。今、1時間に20通を封筒に入れられるとしたら、まずは30通を目指してみる。そして、クリアできたら40通…というふうに少しずつ難易度を上げて、仕事そのものをチャレンジングにしていくわけですね。そうやって、実際にパフォーマンスを上げていれば、必ず上長の目にとまり、周囲からの評価につながるでしょう。そうすることで、今の職場や仕事に不満がなくなるはずです。自分に合った仕事探しはそこからがスタートです。
【STEP2】
「目的」と「目標」を紙に書き出す
「目的」と「目標」の明確な差をご存知でしょうか。「目的」とは、将来のあるべき姿のこと。一方で、「目標」とは目印。「目的」を達成するための具体的な行動のことです。
まずは、「5年後の自分がどうなっていたいのか」を明確にしてみてください。さらに、その内容を紙に書き出してみます。「後輩に信頼される人間になりたい」「ある分野で専門知識を高めたい」といったような、漠然としたものでも構いません。さらに、その目的を達成するためには何をしなくてはいけないかを、思いつくだけ何十個でも紙に書いてください。そうして出てきた「達成するためにしなければならないこと」を仕事選びの基準にするといいでしょう。
【STEP3】
「周りが思っている自分」を認識し、強みを知ろう
会社はあなたの「目標」を実現させるツ−ルです。世の中にあなたの「目標」を実現できる会社は、たくさんあります。それなのに理想の会社が決まらないのは、あなた自身の思い込みだけで会社を決めてしまっている人が多いからでしょう。会社を選ぶ際は、自分に合うかどうかを見極めることが大事。そのためには、「自分の市場価値」と、「本当の自分自身」について客観的に知ることが必要ではないでしょうか。
そのためにも「自分が思っている自分」ではなく、「周りが思っている自分」を知っておきましょう。まずは、あなたの尊敬する上司や、あなたのことをよく知る仲間に、あなたのいいところ・悪いところを挙げてもらいましょう。あなたに任せたい仕事でもいいかもしれません。実はそこに、自分に合った仕事選びのヒントがあるはずです。
まずは「本当の自分」を知ることから
3人に共通しているのは、「自分自身が、自分のことを理解できていない」ケースが多いという意見。つまり、「自分に合った仕事」を見つけるためには、周りの意見を聞いたり、自分を見つめ直すことが大事だということ。もし迷うことがあったら、まずは目の前の仕事に全力で取り組んでみれば、次の一歩につながる「新たな気付き」が見つかるかもしれない。
- EDIT
- 高嶋ちほ子
- WRITING
- 志村 江
- PHOTO
- 樋木雅美
- ILLUST
- Studio CUBE.