営業、事務、ITエンジニア、機械・電気技術者…

【職種別】20代で磨いておくべきスキルはこれだ!

世界同時株安、円高、空洞化など、さきゆき不透明な昨今において、「雇用不安」を感じている人も多いのではないだろうか。特にビジネス経験が少ない20代にとって、非常に不安要素が多い時代となった。劇的な変化を遂げている時代において、10年後、20年後にもビジネスパーソンとして活躍し続けるために、今どんなスキルを身につけておけばいいのだろうか。今回は、営業職、事務系スペシャリストに加えて、製造業やIT業界で働くエンジニアについて、業界事情に詳しい識者にアドバイスを求めた。特にどんな職種に就くとしても重要になると言われている「英語力」「ITスキル・知識」「財務力」について各職種でどのレベルのスキルが必要となるのか、また各職種で独自で身につけておくべきスキルを聞いた。

2011年10月12日

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営業・事務に通じた「MBAスペシャリスト」<br>
斎藤広達氏

営業・事務に通じた「MBAスペシャリスト」
斎藤広達氏

慶應義塾大学卒業後、エッソ石油(現エクソンモービルマーケティング)に入社。MBA取得後、ボストン・コンサルティング・グループ、シティバンク、ローランド・ベルガーを経て、2005年5月、シカゴコンサルティング(株)を設立して代表取締役に。著書に『ビジネス力養成講座』(飛鳥新社)、『ビジネスプロフェッショナルの教科書』(日経BP社)などがある。

製造業のエンジニアの指南役<br>
菊地正典氏

製造業のエンジニアの指南役
菊地正典氏

東京大学工学部卒業後、NECに入社。以来、一貫して半導体デバイス・プロセス開発に従事。同社半導体事業グループ主席技師長、日本半導体製造装置協会専務理事を経て、現在、(株)半導体エネルギー研究所顧問もつとめる。著書は『半導体のすべて』、『電子回路』、『プロ技術者になる エンジニアの勉強法』(日本実業出版社)ほか多数。

日本のIT業界を俯瞰するSEの指導者<br>
馬場史郎氏

日本のIT業界を俯瞰するSEの指導者
馬場史郎氏

1965年から日本IBMにてSE、SEマネージャーとして活動。その後SE企画、統括SE部長を歴任。1993年に萬有製薬に入社、情報システム部で活動。メーカー、ユーザーを通じ、一貫してSEにこだわり、SE育成に取り組む。『日経コンピュータ』誌上で8年間、SEマネージャーやSEに向けたコラムを連載。著書に『信頼されるSEの条件』、『新版SEを極める50の鉄則入門編』(日経BP社)などがある。

斎藤氏に聞く!
営業職に求められるレベルは?

●営業職に求められる「英語力」とは?

今後、国内のみだけでビジネスを完結する企業が減少することが予想されるため、どんな業界の営業職にとっても、英語は必要不可欠なスキルです。

ただ、単に流ちょうに英語を話すことができればいいというわけではありません。
例えば、アンカリング効果を利用して相手の記憶に残る会話ができるとか、有効なひと押しをしてスムーズにクロージングができるとか、商談上の交渉ができるくらいの英語力がなければ意味がありません。TOEICのスコアが750点以上でも、顧客相手にそうした会話ができない人は評価されないでしょう。逆に、会話に多少ぎこちない面があっても、的確に言いたいことが伝えられる人は信頼されます。
英語の会話の中で、「相手の言いたいことを理解する」ことと「的確な回答をする」ということを意識し、語学力を磨いていけばよいでしょう。

●営業職に求められる「財務力」とは?

若手の営業職は、モチベーションを維持してさまざまな経験を蓄積することが目標とされますが、30歳を超えるころには、場数を踏んだというだけでは評価されません。実際に商品を受注するためには、相手の企業の財務諸表を読み、販売戦略を立てていく力が必要です。財務状況が安定していない会社から受注することは容易ではありません。

つまり、財務諸表から取引先企業の収益性、安全性、生産性、成長性などを読み取り、財務状況のよい企業に積極的にアプローチしていけば、成約率は高まるはずです。これは現在でも、10年後でも変わりません。営業職であれば必ず財務諸表の見方を学ぶべきしょう。上場企業なら財務データは細かく公開されていますので、インターネットなどで閲覧して読む癖をつけましょう。

●営業職に求められる「ITスキル・知識」とは?

WEBサービスの普及で営業の役割が変化する中、今後少ない人員体制で営業活動を進める企業が増えてくると予想されるので、最小限のパワーで最大限の効果を出していくことが求められます。よって今まで以上に一人ひとりの営業担当者の「業務効率」が重要となります。

例えば、営業職にとって「顧客とのやりとり」は重要。取引先から問い合わせを受けたときは、できるだけ早く対応をすることが基本です。その際、営業先から帰社して作業するのでは効率的ではありません。スマートフォンやタブレット型PCを駆使し、移動中や空いた時間を使えば何時間も早く処理できます。
特にクラウドサービスの知識を持ち、業務内で活用していけば、今まで以上にスムーズに業務を進めていくことができます。

斎藤氏に聞く!
人事・経理・法務など事務系スペシャリストに求められるレベルは?

●事務系スペシャリストに求められる「英語力」とは?

今後、日本だけにとどまらずビジネスを展開していく企業はますます増加します。そんな中、企業は海外での採用活動を本格化したり、新たに現地法人を設立したり、と事務系スペシャリストに求められる役割は大きいです。「英語力」とはいっても、人事なら会話スキル、経理や法務なら文書作成スキルと業務内容によっても身につけるべきスキルは違いますので、自分の業務に関するスキルから学び始めましょう。

事務系スペシャリストの仕事は、正確さが重要。
例えば経理ですが、書類作成が多いため、専門的な文章を読んで書く能力が問われます。「財務諸表」といったおなじみの言葉も、「financial statement」として英語で覚え直さなくてはなりません。自分の専門領域の用語を中心としたビジネス英語は、しっかりと身につけておくべきでしょう。
また、事務系スペシャリストは各部署の社員と密にコミュニケーションをとり、社内調整をするのも重要な仕事ですから、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング、と総合的な英語力が求められるのです。

●事務系スペシャリストに求められる「財務力」とは?

事務系スペシャリストに求められるのは、「企業全体」「経営」の視点。これは10年後も大きく変わることはないと思います。

例えば人事。「経営」の視点に立てば、一人採用するのにコストはいくらかかっているのか、という意識を持つことは大事ですし、そういった視点を持ったスタッフは貴重です。
また、ひとりで決算を組めるような能力のある経理スタッフは、貴重な人材として評価されるでしょうし、資金管理のみならず市場や銀行から資金調達する業務を動かせる財務スタッフは、引く手あまたでしょう。
そのような人材になるためには、日頃の業務を自社の経営全体から再検討するような巨視的な発想が必要です。常に自分の業務を「経営」と結びつけた上で考えることが大事ですが、こうした理論は、基礎的が重要ですので、一冊のテキストを集中して読むといった勉強法が有効でしょう。

●事務系スペシャリスに求められる「ITスキル・知識」とは?

事務系スペシャリストであればBI(Business Intelligence)の知識を持っているとよいと思います。

経営数字の分析をしたり、採用者の傾向分析をしたりと活用の幅もさまざまです。また今後ERPパッケージなどでの業務効率化もますます進んでいきますので、導入経験があれば評価されることにつながるはずです。
パソコンスキルに関して言えば、事務系スペシャリストの業務上、ワード、エクセル、パワーポイントは今や、使いこなせて当たり前のスキルとなっていますが、加えてアクセスも使いこなせると、重宝されるケースが多いでしょう。

菊地氏に聞く!
EMCエンジニアに求められるレベルは?

●EMCエンジニアに求められる「英語力」とは?

製造工場を海外においた企業の場合が増えてきているので、現地での人の取りまとめをする役割が求められるケースは今後ますます増えてくるでしょう。仕様書や業務連絡などのメールを英語で書くときは正確さが求められますが、現地のエンジニアと対面して話すときは、必ずしも流ちょうに英語を話す必要はありません。少々下手な英語でも彼らは耳を傾け、理解しようと努力してくれるでしょう。それには、エンジニアとしてのバックグラウンドをきちんと持っているということが大前提であることは言うまでもありません。

 
バックグラウンドという意味では、開発や設計など上流工程から、製造や生産などの下流工程までの幅広い知識を持つことはエンジニアにとって重要です。
ここ数年、製造業にはビジネスモデルの変化が起こっています。例えば、半導体業界において日本の多くのメーカーは設計から生産まで自社が一貫して行うIDM (Integrated Device Manufacturer)モデルの中で製品を製造することで強みを発揮してきました。
ところが近年、設計だけ、あるいは生産だけを行う専門企業(ファウンダリ)が登場してきました。ファウンダリを活用したCOTモデル(customer owned tooling)に世の中がシフトしていくに従って、そうした幅広い知識を持つことが難しくなっています。
下流工程をリアルに知るためには、海外に移った生産拠点を訪ね、現地のエンジニアと交流することも必要になるはずです。そうした場面でも英語を活用する機会があるでしょう。

●EMCエンジニアに求められる「財務力」とは?

ひとつの技術が製品化されるには、その製品の機能や性能が優れているというだけでなく、安く生産できるということが重要なファクターです。つまり、コスト構造を理解できないエンジニアは、優れた機能や性能を生み出しても、製品化を実現させることはできないのです。

経理や原価計算や各国の賃金水準や税制についても一定のレベルの知識を持つことは、高い競争力や付加価値のある商品を生み出すことにつながります。必要であれば財務の専門家に助言をあおぐなどして、コストに対する考えを持つことがこれからも重要でしょう。

●EMCエンジニアに求められる「ITスキル・知識」とは?

IT環境の発達で、新しい技術に関する情報を検索することが容易になり、得られる情報は膨大に増えました。スマートフォンや持ち運びの容易なタブレット型のPCなどを使いこなすエンジニアが多いのは、当然のことでしょう。

ただし大事なのは、情報をいかに集めるかというスキルではなく、膨大な情報から価値のあるものを見つけ出すことです。これは、そう簡単なことではありません。経験の浅いエンジニアは、先輩や上司と盛んに交流して情報の価値を見分けるコツを教わるべきです。また、日頃から「この技術はなぜこういう構造になっているのだろう?」という疑問を持ち、自分の力で調べる癖をつけておくといいでしょう。デジタル機器は、そのとき優秀な助手になってくれるはずです。

馬場氏に聞く!
ITエンジニアに求められるレベルは?

●ITエンジニアに求められる「英語力」とは?

IT業界では、日々新しい技術が次々と生まれています。海外で生まれた新しい術についてのマニュアルや論文は最初は英文ですから、それらを理解することができる程度の文書読解能力は必要です。

したがって、自分がどんな分野の仕事をしたいのかを見極め、その分野で起こっている出来事につねにアンテナを張って情報収集をしておき、最先端の技術を自分の力で理解することが非常に重要です。
また、オフショア開発の際にブリッジSEとして活躍される方も増えると思います。少しの言葉のニュアンスの違いで、意図しなかった方向になりかねないので、開発方針や意図を「正しく」開発者に伝えるには、単なる英語力にとどまらず、対人関係の処理能力やリーダーシップを含めたコミュニケーション能力が必要です。
若手SEがキャリアアップするために必要なのは、できるだけ多くの経験を積むということですので、実践の中で学ぶ機会があれば一番良いでしょう。

●ITエンジニアに求められる「財務力」とは?

SEにとって、財務・会計に関する知識を必要とする仕事と、そうでない仕事があります。アプリケーションエンジニアやテクニカルエンジニアなど、システム開発に携わるエンジニアは深いIT知識を身につけるのが先決で、財務・会計の知識は二の次でしょう。

その一方、将来的にはプロジェクトリーダーになりたいと願っている人にとって、事業に関わる数字を読むスキルは必要不可欠です。
また、コンサルタントとしてITを企業に提案する立場を目指す人なら、相手企業の財務にも通じる目を養わなければなりません。アナリストとして独立したいという人は、会社経営の知識も求められます。重要なのは、自分が将来、どのような仕事を目指すのかをできるだけ具体的にイメージすることです。

●ITエンジニアに求められる「ITスキル・知識」とは?

ソフトウェア開発技術者試験、シスコ技術者認定、テクニカルエンジニア(ネットワーク)、MCP、ORACLE MASTERなど数々のIT資格がありますが、そのような資格を取得しているからといって、企業は「得意分野を持ったSE」とは判断してくれません。資格は、その人の「知識」レベルの保証にはなりますが、技術の確かさを証明する「経験」とは異なるものだからです。

ただ、自分が将来的に進みたい分野の資格を取得することは決して無駄なことではありません。身につけた「知識」をアピールして、やりたい分野の実務に携わるチャンスを得ることができれば、それは確かな「経験」となって貴重な財産になるはずです。
ITに関する基礎知識・スキルはもちろんのこと、自分自身の「得意分野」「専門領域」を意識して磨き、なおかつビジネスの常識やSEとして仕事を遂行する責任感など人間的側面の能力を培っていくことが10年後、20年後にも生き残るべき必須スキルです。

時代を先読みする高いアンテナを張るべし

先行き不透明な時代を生きるにあたって、職種によってさまざまなスキルの磨き方の違いがあることがよくわかった。10年後、20年後にも活躍することのできるビジネスパーソンの共通点は、時代を先読みするアンテナを持ち、「今後、何をすべきか?」ということに敏感になるということだろう。そこで磨いたスキルは、不透明な時代の中で仕事をするうえで、ますます大事なものになっていくに違いない。

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思わぬ企業からのオファーを待とう!

10年後、20年後も活躍し続けるビジネスパーソンになるためには、今後のキャリアパスを意識した上で、今磨く必要のあるスキルを見極めることが大切だ。「リクナビNEXTカウト」にレジュメを登録することが、自分の今後のキャリアパスをあらためて考えるきっかけになるかもしれない。企業からオファーが届けば、客観的に見た時に自分が現在どんなスキルを評価されているのかもわかる。リクナビNEXTスカウトに登録してみよう!

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EDIT
高嶋ちほ子
WRITING
内藤孝宏

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