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「私のキャリアはつぶしがきかない」の大誤解
自分自身のキャリアを考えたときに、「専門的すぎる仕事をしてきた」「汎用性が低い業務にしか携わってきていない」などと不安になることがあるかもしれない。しかし、「つぶしのきかない仕事」は存在しない。ビジネスパーソンとして経験を積んでいる以上、自分で気づいていないだけで、たくさんのアピール素材を持っているはずなのだ。今回はそんな「つぶしがきかない病」を払拭するための思考法を紹介しよう。
2012年2月8日

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株式会社キャリエーラ |
キャリアコンサルタント・藤井氏に聞く
「つぶしがきかない」と感じてしまう原因は?
私のところに転職相談に来る方々の中にも、「自分の経験・スキルはつぶしがきかないのでは」と、ご自身の仕事をネガティブに捉えてしまっている人が多くいらっしゃいます。しかし、誰でも必ずアピールできるところを持っています。そもそも「つぶしがきかない」と感じてしまうことには、2つの原因があるのではないでしょうか。
【1】「スキル」「知識」を気にしすぎている
確かに、テクニカルスキルや専門知識がないというだけで不安になってしまう人が多いかもしれません。しかし、採用担当者が知りたいのはそれだけではありません。「どんな人なのか」「どんな仕事の進め方ができるのか」といったヒューマンスキルもとても大事なんです。確かに人は、足りない部分が気になるものですが、そこだけに目を向けず、自分自身の中にはもっとたくさんのアピールできる素材があることを知っておきましょう。
【2】「自分が経験したことがない仕事」に関して知っている情報が少ない
あなたは自分の興味のある仕事について、どれくらい具体的な業務を知っていますか?一日の仕事の流れなどはイメージできるでしょうか?仕事内容がぼんやりとしたままで、「そこで発揮できる強みは何か」と考えたところで、見つかるわけがないのです。まずは企業のホームページをよく読んだり、人に聞いたりして調べてみる。そうすれば、「こんな場合に、自分のここが強みとして活かせるかもしれない」とイメージしやすくなるのです。どんな小さなことでもいいので、希望する仕事や業界と今の自分自身との接点を一つでも多く見つけることが大事です。共通項が多いほど、安心できる材料も増えて、ネガティブには考えなくなります。
「つぶしがきかないのでは?」と不安に思うことがあったら、「ネガティブ要素をポジティブワードに変換する」のが有効かもしれませんね。強引にでもいいので、ポジティブに言い換えてみる。それを自身の性格や経験、スキル、仕事の進め方、企業側のニーズなどと照らし合わせて、説得力を持たせられるようにうまくつなげていけば十分なアピール材料になりますよ。
「ネガティブ」な考え方を、「ポジティブ」な考え方に変換してみよう!
【case1】「クライアントが特殊で…」と悩むMR職の場合
<これまでの経験>
●調剤薬局のスタッフからMR職に転職して5年目
●担当は東京都内の大学病院、開業医
●医師に、海外メーカー製造の新薬を提案
●30件のクライアントを担当。医師の紹介で新規営業を行うことはある
<ネガティブな考え方>
「クライアントは都内大学病院の医師。商談での会話は、いつも新薬など医学知識についての話…。あまりにも特殊すぎて、他業界のクライアントと会話できるイメージがわかない。そうした人脈が医療業界以外で有利になるとも思えないし…」
<ポジティブな考え方>
「医師のような高い専門知識をもつクライアントを相手にしているので、基礎知識はもちろん、最新の医学知識も積極的に吸収しようと勉強してきた。専門家でも知らないような情報を届けられたときは、大きなやりがいを感じる。自分以上に知識豊富な人と商談を進めるときの緊張感や、そのために準備したり学んだりするスタンスは他業界でも応用できる場面がありそうな気がする。また基本的には営業エリアの移動がないので、担当しているクライアントとも長く関係性を築いてきた。特定のクライアントに対して、長期事業戦略をふまえてじっくり腰を据えて提案できる環境なら、活躍できるイメージが湧くな」
<ポイント>
「クライアントが特殊=汎用性がない」とひと言で片づけてはいけない。まずクライアントの特性を紐解いてみて、その専門性を分解していくことで、ほかの仕事でも通用するような汎用性を見つけ出すことは意外に難しくない。「法人」相手なのか「個人」相手なのか。「新規」営業か「既存」営業か。「専門知識がある」相手なのか、そうでない相手なのか。色々な切り口で考えていくと汎用性のあるスキル・知識が見えてくるはずだ。
【case2】「仕事内容が特殊で…」と悩む派遣コーディネーターの場合
<これまでの経験>
●建設業界専門の人材派遣会社勤務
●入社5年目。営業職から派遣コーディネーターに転身して3年目
●派遣登録者の情報を把握し、発生したニーズにマッチする人材を紹介する
●「明日から働ける人がほしい」といった、急なニーズへの対応のスピード感が求められる
<ネガティブな考え方>
「派遣登録者のキャリア相談にのりながら、適切な派遣先を探す仕事をしてきたが、この経験って人材業界以外で活かせるの?具体的なスキルを習得できたように思えなくて…。職場ではとにかく多くの登録者と会って話すことを評価されるケースが多く、なかなか一人一人と向き合う時間が取れなかったし、目の前にある業務をこなすことに必死だったな…。派遣業界は法律がかなり特殊だからその知識はついたけど、他業界で活かせる知識じゃないし…。どうすればいいの?」
<ポジティブな考え方>
「これまでに多く人に会ってヒアリングに徹してきた。一日10人も見知らぬ人に会って深く話せる仕事はそう多くはないだろうな。個人のニーズを聞き出し、適材適所に紹介していくというスキルは上司からも評価されていたし、もしかしたら活かせる業界があるかも。自分自身がマネジメントをするうえでも役立つかもしれないし、人事職など通用する仕事はありそうな気がする。また変化の多い派遣業界の法律を学ぶために、継続的に専門書を読む努力を続けてきた姿勢は評価してもらえないだろうか。学ぶことは苦ではないし、今、知識ゼロの業界でもスピーディーにキャッチアップできる気がする」
<ポイント>
実は多くの人は「自分の仕事内容が特殊だから…」と思っているが、決してそんなことはない。例えば自分自身の一日のスケジュールを書き出してみると、強みにすべきポイントが見えてきたりする。「一日に多くの人と会っている」「膨大なデータを意外と短時間で処理できている」「専門知識の勉強に多くの時間を使っている」などの事実から見えてくるものもあるだろう。そこに自分なりに工夫したことをつけ加えれば、自分らしさのアピールにつなげることができるのだ。
また、見落としがちだが、「仕事への取組み姿勢」や「一緒に仕事をする人の評価」といったところに強みになりえる要素はみつかりやすいので、細かく目を向けてみよう。
【case3】「取扱う商材が特殊で…」と悩む印刷会社の営業の場合
<これまでの経験>
●入社6年、一貫して営業職を経験
●主に一般企業を対象とする、販促物や社内報などの印刷物のコンサルティング営業
●新規開拓営業とルート営業は半々ずつ
●顧客の経費削減・ウェブ化によって、受注件数、額ともに減少傾向
●いかに安く、クオリティーが高いものを納品できるかが勝負
<ネガティブな考え方>
「印刷会社ってかなり特殊ですよね?印刷手法とか、紙の種類とか、インクの種類とか…自分の持っている知識はかなりマニアックな気がする。しかも最近は社内報をメール化したり、社内用SNSで代替していたりするし、インターネット広告なんかもあるので、チラシを出したいという企業も減っているような…。自分の持っている力は同業界でしか活かせないし、今後活躍の場がなくなってしまうのではと不安で仕方ないや…」
<ポジティブな考え方>
「企業の紙広告が減ってきてはいるが、そうした制約の多い中でそれなりに営業実績を残してきたんじゃないかな。時代の流れを意識して、電子書籍化にした時にうまく写真の色がでるような印刷手法のご提案をしたりもした。もともと企業のニーズがなかったところに対しても、新たなニーズを創り出すような提案を心がけてきた。この経験はほかの業界でも活かせるかもしれない」
<ポイント>
自分自身が厳しいと感じる状況の中で、実績を残しているのは事実。置かれている環境に対して「条件が悪い」などというのではなく「制約が多い中で」などのポジティブワードに変換して考えてみよう。制約がある中で、自分自身がどのような仕事をして成果を出してきたのかをひも解いていくと、ほかの業界でも活かせそうなスキル・知識が見えてくるはずだ。
「採用担当者は、よほどのことがない限り『業界がどこだから』という理由だけで転職者の合否を判断しません。『この人に仕事を任せられそうだ』と感じてもらえるようなアピールの仕方を心がけましょう」(藤井氏)
まずは興味のある仕事を深く知ろう
藤井氏がいうように、自分の仕事以外に関して知っている情報が少ないために、共通点が見つからず「活かせるスキルがないのでは」と思ってしまう人がとても多い。どうしてもやりたいと思える仕事なら、必死に共通点を探すはず。まずは自分のやりたいことを明確にし、それから自分のスキルや知識を棚卸ししてみても、決して遅くはないのだ。
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- EDIT
- 高嶋ちほ子
- WRITING
- 志村 江
- EDIT&WRITING
- もりいくすお