今なら未経験者にもチャンスあり!

20代が今、海外勤務経験を積んだほうがいい「本当の理由」

国内経済が低迷する中、海外に活路を求める企業が増えているが、近年は中小企業にもそのすそ野が広がっている。そんな中、海外での勤務経験があるビジネスパーソンが、転職市場において高く評価されているという。どんな企業が、どんな活躍を期待して、海外勤務経験者を求めているのだろうか?また、今後の見通しは?グローバル人材の採用動向に詳しい3人の専門家に話を聞いた。

2013年1月16日

<ADVISER>

株式会社ジェイエイシーリクルートメント フェロー 黒澤敏浩氏

株式会社ジェイエイシーリクルートメント フェロー
黒澤敏浩氏

コンサルタント、自社の人事、広報、事業企画などを経て、現職。グローバルホワイトカラー中途採用マーケット分析が専門。グローバル採用に関するセミナーや論文多数。

株式会社リクルートキャリア ハイキャリア・グローバルサービス部 河本かなめ氏

株式会社リクルートキャリア ハイキャリア・グローバルサービス部 
河本かなめ氏

2005年4月入社。以来、一貫して企業の採用コンサルティングを担当。現在は、事業戦略のコアとなるハイキャリア・グローバル人材の採用コンサルティング領域を担当する。

株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所研究員 中村天江氏

株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所研究員
中村天江氏

2009年4月より現職。労働移動や労働市場における需給調整機能に関する研究が専門。現在、海外事業プロフェッショナルの採用に関する研究プロジェクトを手掛けている。

海外駐在員の採用ニーズが急増中、直近2年の求人増加率は56%にも

「海外赴任を経験したビジネスパーソンは、転職市場で人気を集めている」と、専門家は口を揃える。背景にある理由は、海外進出企業の数が、ここにきて加速度的に増加していることが挙げられる。
「ジェイエイシーリクルートメントにおける海外駐在員の上場企業からの求人数推移をみると、2009〜2012年の4年間の求人数は、その前の4年間に比べ、約15%の伸びとなりました。さらに、2009〜2012年の4年間を前後で分けて見ると、09〜10年に比べて、11〜12年の求人数は56%の伸びとなっており、直近2年で日本企業のグローバル化がさらに加速していることがわかります。このため、海外で即戦力となり得る海外赴任経験者を採用したいという動きが急速に高まっているのです」(黒澤氏)

どんな企業群が、海外赴任経験者の採用に動いているのだろうか?
「超大手といわれる企業群は、社内でグローバル人材を育成し、海外要員として登用するシステムができ上がっていますが、それ以外の多くの企業では、海外への本格展開に当たってグローバル人材の不足に気づき、外部から経験者を調達しようとしています。特に、ベンチャーや中堅企業など、今まで海外事業経験がない企業群が、積極的に採用に動いています。また、大手メーカーの二次請け、三次請けの製造業からのニーズも増えていますね。発注元の現地生産比率がさらに増したことで、『現地に行かないと事業が成り立たない』という状況に陥っているのが背景にあり、海外拠点の立ち上げを担う人材を求めています」(中村氏)
大手メーカーや商社の採用ニーズも、根強くありますね。例えばメーカーなら、アジアを生産拠点と見て早くから進出しましたが、アジア各国の経済成長に伴い、消費マーケットとして注目するようになりました。そのため、生産から販売へと体制をシフトするべく、海外営業経験のある若手を積極的に採用しています」(河本氏)
「ここにきて目立っているのは、消費財・サービス業の海外進出。流通や外食、SNSやゲームなどを含みます。当社に直近4年間で上場企業から新たに寄せられてきた海外駐在員の求人を見ると、約半数が消費財・サービス業。なお、2005〜2008年は約37%でした。従来のメーカー中心から、サービス業にまで、採用のすそ野が広がっています」(黒澤氏)

海外赴任経験者への採用ニーズは、今後も右肩上がりに増える見通しだ。先で紹介したジェイエイシーリクルートメントの求人データでもわかるように、日本企業の海外進出はここにきて加速している。中小企業の進出はこれから本格化する見込みで、「海外進出の動きはまだ緒に就いたばかり」と見る向きもある。
ただ一方で、海外赴任経験者の数は、転職市場においてまだそれほど多くはない。外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、2011年の海外長期滞在者数のうち「民間企業関係者・本人」は24万721人と、前年比3.9%増にすぎない(海外長期滞在者数から、報道関係者や自由業、または本人同居家族数などを除いた数)。5年前の2007年と比べても3.8%増という状況だ。「赴任経験者を採用したくてもできない」企業は、どうしているのだろうか?

「どの企業も、できることなら自社が進出しようとしている国への赴任経験がある人を採用したいのが本音。現地マーケットを理解しているうえ、現地適応力も備わっているからです。しかし、進出国の経験を求めると、さらに採用難易度が上がります。そのため、欧米、東アジア、東南アジアと、エリアごとにわけて、『同エリア内の赴任経験がある人』と経験国の範囲を広げて採用したり、赴任経験がなくても、海外出張経験がある若手や英語力が高く海外赴任意欲が高い若手を、ポテンシャル採用するケースが増えつつありますね。本社で一定期間業務経験を積んだ後、海外に送り出すという方法を取る企業が多いようです」(河本さん)

「国内しか知らないリスク」はさらに高まる。若手のうちに海外に関わる経験を

「海外赴任経験者が、転職市場において人気の状態が続くことはわかったが、海外赴任は自分の意向ではできないし、そもそも海外に関連する仕事に就くチャンスがない」という人もいるだろう。
今後のキャリアを考えた場合、このような状況下にあるビジネスパーソンはどうするべきなのだろうか?そもそも、海外経験は積むべきものなのだろうか?この質問に対して、3人とも口を揃えて「国内しか知らないリスクは以前とは比べ物にならないぐらい大きくなった」「できるだけ若いうちに海外に赴任して、現地企業や現地ビジネスパーソン相手に提案・交渉するといった経験を積んでほしい」と力説した。

「若手ビジネスパーソンであれば、できるだけ早い段階で、仕事で海外と関わる経験をしておくことをお勧めします。日本企業における海外事業の比率は、今後どんどん高まる見通しです。すなわちこれは、『国内でのビジネス経験しかない人は、活躍できる余地が狭まってしまう』ことを意味します。少子高齢化などで、国内経済自体がシュリンクしていることも考えると、国内経験だけというのはリスクがある。社内で海外赴任のチャンスがあれば、積極的に手を挙げてほしいですし、よりチャンスのある職場に移ってもいい。中堅層になってから海外人材になるのは難しい。早めの行動をお勧めしたいですね」(中村氏)

「国内だけしか知らないリスクは、以前はほとんどゼロでしたが、これからは簡単には無視できないレベルにまで大きくなってくると思います。企業の海外シフトが加速するということは、『海外事業を理解していないことには、日本本社のマネジメントもできない時代が、早晩やって来る』ということ。10年、20年と勤めても、海外経験がないことで昇進が遅れる、昇進できないだけでなく、仕事がなくなるというケースも出てくるはず。社内に赴任のチャンスがないならば、転職も視野に入れましょう。赴任経験者が転職市場に少ない今ならば、経験がなくてもポテンシャルが評価されるケースがあります。最近では地方の中堅メーカーが、海外志向があってTOEIC600点以上の20代を、将来の海外人材候補としてポテンシャル採用するケースが目立っています。この動きに乗るのも一つの選択肢です」(黒澤氏)

今は、海外赴任経験がポジティブに捉えられていますが、私は4〜5年内には、『海外赴任経験や長期の海外出張経験がある人は珍しくない』という時代が来ると予想しています。すなわち、海外ビジネス経験が一切ない人、TOEICを受けていない人は、それだけで転職市場でネガティブに捉えられる恐れがあるということ。自ら積極的に、海外に関する事業に名乗りを上げたり異動願いを出すなどして、海外志向があることを社内でアピールしてほしいし、海外赴任経験者がそれほど多くない今のうちに、ポテンシャル採用してくれる企業への転職を検討してほしいですね」(河本さん)

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伊藤理子
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設楽政浩

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