勤務先によって“悩みの中身”はどう変わるのか?

一部上場、ネット関連、外資…3000人の「キャリアの不安」

「今の会社、今の仕事のままでいいのか?」「今のスキルレベルで生き残っていけるのか?」など、自身の仕事やキャリアに関して、何らかの不安を抱いている人は多いようだ。では、勤務先の業態や規模によって、その「不安の中身」は異なるものだろうか?今回は、東証一部上場企業勤務、外資系企業勤務、そしてネット系企業勤務のビジネスパーソンそれぞれ1000人にアンケート。彼らがどんな不安を抱えているのか、探ってみた。

2012年10月10日

アンケート調査概要

調査方法:インターネット上で実施(株式会社クロス・マーケティング)
実施期間:2012年10月2日(火)〜2012年10月4日(木)
調査対象:以下3分類の方にアンケート
(1)東証一部上場企業に勤める25〜39歳の正社員
(2)ネット系企業に勤める25〜39歳の正社員
(3)外資系企業に勤める25〜39歳の正社員
調査人数:各1000人、計3000人

「仕事やキャリアに不安がある」人が過半数。特にネット系企業は75.4%と高い

「現在、仕事やキャリアに関して何らかの不安を抱いているか」との問いには、どのグループも過半数以上が「不安を抱いている」と回答した。しかし、一部上場企業勤務者の中で「不安を抱いている」人は60.4%と、3グループの中では最も低い。一方、最も高かったネット系企業勤務者では「不安を抱いている」人は75.4%に上り、15%もの開きが出た。外資系勤務者でも69.5%に上った。
では、その不安の中身を比較してみたい。いずれのグループでも、「今の職種のままでいいのか、キャリアチェンジすべきかわからず、不安」がトップとなったが、2位以降ではバラつきが出た。以下、それぞれの分類について、生声を見ていこう。

上場企業勤務者は「自分のスキルレベル」に不安を感じる人が多い

一部上場企業勤務者では、「今の自分のスキルレベルで、昇進、昇格していけるのかどうか不安」(27.0%)「今後どんなキャリアステップを歩めばいいのかがわからず、不安」(24.2%)など、自分自身のスキルやキャリアに対する不安が相対的に高かった。
会社の指示のまま異動し、業務を経験してきたが、体験業務がまさしく『広く浅く』で、自分は外の世界(社外)では通用しないと思える」(金融・保険系/財務、会計、経理/39歳)など、大規模企業ならではのジョブローテーションによるスキルの浅さに悩む声や、「ずっと決まった業務だけこなしておりキャリアアップできている気がしない。万一今の会社を退社して求職の必要が発生した場合、アピールできる技能に自信がない」(金融・保険系/財務、会計、経理/31歳)「同じことの繰り返しでスキルアップしているという実感が得られない」(その他業界/営業、代理店営業、渉外、MR/33歳)など、担当範囲が区切られているために業務がルーティン化していることに不安を覚える声が多く見られた。

また、日本市場のみならずグローバル展開を積極化している企業群だけに、「今の会社のグローバル展開に、自分がついていけるのか」と不安を覚える声も上位に挙がった。「年々グローバル化が進み、仕事の難易度も上がっているので、ついていけるのか心配」(電気・電子・機械系メーカー/技能工/29歳)、「メーカーの工場に勤務しているが、昨今の円高を背景にさらなる海外進出、それに伴う勤務地変更や業務変更が予想されるが、なかなかキャリアプランが描けない」(電気・電子・機械系メーカー/品質管理、製品評価、品質保証、生産管理/37歳)、「今後、海外展開が加速するが、今の自分の英語力で大丈夫なのか」(素材・医薬品系メーカー/研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理/28歳)など、仕事内容の変化や語学力に不安を感じるとの意見も多かった。

個別には、大手企業ならではの意見も目立った。「会社の規模が大きく契約社員や業務の外注化が進んでいる。会社本体に残れるかどうか…」(その他業界/運輸、配送、倉庫関連職/33歳)と効率化を進める会社の方針に不安を覚える声や、「組織が完全な逆ピラミッド型になっており、この年齢にして、自分より下がいない。上の人たちは誰もスキルアップしようとしないため、今の仕事では成長が望めない」(電気・電子・機械系メーカー/一般事務/36歳)、「バブル世代が上に詰まっていてなかなか昇進できない」(電気・電子・機械系メーカー/研究、特許、テクニカルマーケティング/33歳)など、旧態依然とした組織に対する不安、不満も声も散見された。

なお、勤務先企業の経営状態や方向性などに対する不安の声は、ほかの2グループに比べると少なかった。しかし、国内市場の縮小に対する先行き不安や、業績が不安定な中でなかなか次の一手を打たない経営陣に対する不満の声が聞かれた。業績が悪化しているにも関わらず何の対策も打とうとしない経営陣。この先会社が存続できるのか不安になる」(電気・電子・機械系メーカー/生産技術、プロセス開発/39歳)「縮小する国内市場で、現在の勤務先企業が果たして生き残っていけるのか?」(電気・電子・機械系メーカー/経営企画、事業統括、新規事業開発/39歳)など、メーカー系の人の声が目立った。

また、「評価制度はあるものの、実際はうまく機能していない」ことに対する不安・不満も散見された。「お客様とのトラブル対応や依頼事項が膨大にあり、時間がかかっている割には個人の成果としては評価されにくい」(素材・医薬品系メーカー/その他職種/37歳)、「現在の業務は社内でも特殊な取引。入社以来ほとんどその種の業務を行っているが、結果が数字に表しづらく、出した結果はすべて営業マンの成果とされてしまう(評価者が業務を理解していない)。結果、なかなか昇進できず、ボーナスにも響いている」(電気・電子・機械系商社/一般事務/33歳)、「いいように使われるだけで、正当な評価がされない」(電気・電子・機械系メーカー/生産技術、プロセス開発/34歳)など、「評価する側の不備」を挙げる声が目立った。

ネット系企業勤務者は「会社の経営状態の悪化」に不安を感じる人が最も多い

次に、仕事やキャリアに不安を覚える人の割合が、最も高かったネット系企業勤務者。「今の会社の経営状態が不透明で、先行きが不安」と答えた人が41.4%と、ほかの2グループよりも際立って高かった。
ネット系業界の歴史は比較的浅く、ベンチャー企業が多いのが特徴。業界を取り巻く環境の変化のスピードも早く、「スピードに対応し切れず、経営が苦しくなる」企業が増えつつあるもよう。そこに所属する社員の不安は非常に大きいようだ。「赤字防止のため、計画もなく人件費削減を実施している現状を見て、会社の存続に不安を感じる」(インターネット関連・27歳)、「業績不振のため勤めていた会社が昨日で閉鎖。同業の他社への転職は決まっているが、この業界の将来を考えると不安がある」(営業、代理店営業、渉外/32歳)、「若い会社のため、定年まで働いた人がいない。給料も少し減ってしまったし、今後この会社で働き続けていたら失業する恐れがあるのではないかと感じ、先が見えなくなっている」(財務、会計、経理/28歳)などの意見が多く見られた。

「今の業種のままでいいのか?」という不安も33.0%と高かった。「業界全体がコストの安い海外オフショア率を上げていて、国内のエンジニアは高レベルの人でないと仕事の案件が取れない。海外に金の周りが流れていて悪循環も生んでいる」(Web・オープン系システム開発/27歳)、「国外に市場が拡大するとともに、仕事も国外に流れている現状がとても危惧される」(パッケージソフト・ミドルウェア開発/26歳)、「iPhoneアプリの開発を担当しているが、iPhone自体がこの先どれほど続くのだろうか。Androidのキャリアを積んでみたところで、Androidもどこまで続くのかわからない。いつまでこの業種でやっていけるのか」(Web・オープン系システム開発/33歳)という、業界の先行きに対する不安を訴える意見もあった。

比較的新しい企業が多いグループであるためか、「小さな会社で年数も浅く、会社としての目標が不明確なため、先行きが不透明」(経営企画、事業統括、新規事業開発/35歳)、「評価制度自体が全くなく、昇給等もない。今の会社に勤め続けることに疑問を持っている」(総務、人事、法務、知財、広報、IR/35歳)、「会社として今後どういった強みを持ち、どういったサービスを展開していくのか不明瞭で、行き当たりばったりでプロジェクトが発生することが多い。そうなると自分は何を準備すればいいのか、何が活かせるのかがわからず、全く方向性を見出せない」(Web・オープン系システム開発/36歳)など、会社の体制不備やあいまいさを不安視する声も多く上がった。また、「管理職のポスト自体が昔からのメンバーで固められていて、ベンチャー企業といえ、体質が問題のように思える」(営業、代理店営業、渉外/36歳)、「社長のワンマン経営のため、社長以外の役員がころころ変わる」(Web・オープン系システム開発/38歳)など、ベンチャー企業ならではの経営陣に対する不安・不満も散見された。

なお、どのグループでもトップだった「今の職種のままでいいのか、キャリアチェンジすべきかわからず、不安」の割合が最も高かったのが、ネット系企業。その不安の中身で最も多かったのは、「勤務時間の長さ」についてだった。徹夜作業や休日出勤が当たり前の職場で体力的に厳しくなって来たが、他業種の経験も資格もないため、転職をためらってしまう」(運用、監視、テクニカルサポート、保持/36歳)「裁量労働制で、深夜まで残業、休み返上で働かなければならない」(企画、マーケティング、宣伝/34歳)、「現在、SEとして働いているが、『休日出勤や長時間残業ができないのは使えない人間』という雰囲気がある」(Web・オープン系システム開発/31歳)、「開発部署に所属しているが、仕事の量が多すぎてうつ病になってしまった。今治療中だが、治ってもまた再発するのではないかと思うと不安。また、会社が私に対してどのように考えているのかが不安になる」(Web・オープン系システム開発/38歳)といった深刻な声が聞かれた。

外資系企業勤務者は、外資ならではの体制、風土に不安を覚える人が多数

外資系企業勤務者においては、「今の会社の体制で、昇進、昇格していけるのかどうか不安」が第2位の32.1%、「今の会社の経営状態が不透明で、先行きが不安」が4位の29.8%と高く、ネット系企業と同様、「会社に対する不安」の大きさがうかがえた。ただ、ネット系企業で多く挙がった「業績低迷、経営不安」よりも、外資ならではの体制や風土に関して不安を感じているという声が多かった。

特に外資系企業は実力主義を謳うことが多いため、「仕事の成果」に対する不安が多く挙がった。仕事はやりがいがあるが、目標数値が非常に高く、達成できるかどうか常に不安を抱えている」(素材・医薬品系メーカー/営業、代理店営業、渉外/38歳)、「成果主義の中、成果の自己アピールも重要な仕事だが、毎年どうアピールしたらよいか考えるのが大変」(金融・保険系/営業、代理店営業、渉外/36歳)、「常に専門知識を収集しスキルアップしていかないと取り残される怖さがある」(IT系/Web・オープン系システム開発/36歳)など、常に高い成果を求められることへの不安が多く聞かれた。
また、「上司が外国人」であることに対する不安も見受けられた。「私一人のみが日本人という環境で働いている。自分自身の評価を得るためには、マネージャーが変わるたびに、その人の国の文化や考え方に合わせて動かなけれなければならない。それが非常に苦痛」(IT系/資材、購買、貿易、物流/37歳)、「マネジメントが外国人に替わった後、組織の人員体制が頻繁に変わっている。自分はこだわりを持って仕事を進めたいが、マネジメントは年単位での成果で処遇が決まるため、短期的なことしか求められない。そのため、どんどん業績が下がっており、このような中で自分の仕事をやり続けられるか不安」(その他業種/営業、代理店営業、渉外/38歳)など、外国人上司の意向に合わせなければならないストレスが見受けられた。

その中で、求められる語学力と専門分野の知識・スキルのレベルはどんどん上がっているようだ。会議などあらゆる状況で英語力が必要になっている。自分でもスクールに通って、社内基準のTOEIC800以上は獲得したものの、あくまでもテスト結果であり、実力が期待に伴っていない」(素材・医薬品系メーカー/営業、代理店営業、渉外/38歳)、「総合的な専門性に関して不安がある。英語・IT・金融会計その他ビジネススキルは必要十分以上に備えているが、現在専門としている業務が将来的にも現在と同じくらい引き合いが多いのかどうかが特に不安」(金融・保険系/営業、代理店営業、渉外/32歳)との意見が聞かれた。

外資ならではの「解雇が多い風土」に戦々恐々としている人も少なくないようだ。「業績に関係なく、毎年一定の割合でリストラを行っている。リストラ対象は年齢制限もなく、すべては直属の上司からの『気に入られ度合い』に左右されるため、自分がいつターゲットになってもおかしくない」(情報通信系/営業、代理店営業、渉外38歳)、「現在ファンド会社が実権を握っており、近々身売りが予定されている。生産拠点、製品数、人員削減が繰り返されており、いつ自分に声がかかるかわからない」(素材・医薬品系メーカー/営業、代理店営業、渉外/36歳)、「現在の会社で定年までいるイメージがない。業績悪化の際にリストラされると路頭に迷うのではないかと不安」(IT系/研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理/38歳)など、不安要因に「リストラの恐怖」を挙げる意見は非常に目立った。
また、「昇進がグローバル都合で取り止めになるなど、日本法人としての確固たる地位が築けていない」(IT系/資材、購買、貿易、物流/34歳)、「外資のためいつ撤退するのかがわからないし、会社の方針もトップが変わるたびに変わるので、先行きが不安」(金融・保険系/営業、代理店営業、渉外/38歳)、など、外資に多い、日本オフィスの戦略の不明確さや不安定さを挙げる声もあった。

また、勤務先が外資系企業に買収され、「ある日いきなり外資になった」という声も少なからずあった。「勤務先が外資系になったことで、語学力の要求度が高まっている。グループ会社が世界各国にあるため共通言語を英語と定めているが、かれこれ10年以上も英語に触れていないため、ビジネスについて行けるか不安なのが正直なところ」(その他業種/営業、代理店営業、渉外/37歳)、「買収された当初は、英語力は必要ない、雇用は確保されるなどの説明があったが、最近では語学などのグローバル能力が求められるようになってきた。さらに進むであろう完全能力主義の風潮についていけるか不安」(その他業種/営業、代理店営業、渉外/37歳)などの声があった。

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伊藤理子

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