「ユーザーが無意識に求めているもの」をどう探る?どうつくる?

月間2000万人が利用!クックパッドの舞台裏に迫る

数多あるWebサービスの中で、トップクラスのユーザー数を誇る「クックパッド」。今回クックパッドの開発リーダーのお話から、日々実践している企画開発スタイルを通して、多くのユーザーの支持を得るための企画ノウハウや理念などについて探ってみた。

2012年9月5日

<ADVISER>

五十嵐 啓人氏<br>
クックパッド株式会社<br>
サービスデザイン部 部長

五十嵐 啓人氏
クックパッド株式会社
サービスデザイン部 部長

2010年にクックパッドに入社。現在は「レシピを探す」ユーザーの体験に責任を持ち、主にクックパッドのユーザー数拡大のためのサービス・デザイン設計やアプリ開発計画を担当。

人としての根源的なニーズ・欲求を解決することが、企画の原点

―サービスの目標設定や役割について教えてください。

五十嵐:社内での役割分担が比較的はっきりしていますね。クックパッドでは「レシピを載せる人」「レシピを探す人」「食材を売る人」など、カバーすべきユーザー別に担当部門を設置して、それぞれのユーザーに対してできることを考えて行動していきます。
しかしすべてのサービスに共通する目的はひとつ。それは「毎日利用してくれるユーザー数を増やす」ということ。毎日の料理を楽しくするためのサービスを生み出すことで、その目標に向かっていきます。

―「クックパッド」は2000万人以上(月間UU数、2012年7月時点。PC、モバイル合計)という多くの一般ユーザーから支持を得ていますが、どのような視点からサービスを生み出されているのでしょうか?

五十嵐:人としての根源的なニーズや欲求を探し出し、それを解決するためのサービスを生み出すことが重要です。クックパッドの場合、「毎日の料理を楽しくしたい」という根源的な欲求に対して、数多くのレシピを集めたり、レシピを公開する楽しさを提供することで解決していこうとしているわけです。

また、実際に試行錯誤しながらサービスを提供し続けることで、根源的なニーズが見えてくることもあります。クックパッドの場合、変わったメニューやプロが作るメニューよりも普通のレシピやメニューを求める傾向が強いことを、サービスを通じて再認識しました。利用する本人だけでなく、お子さんやお年寄りまで安心して食べられるものが求められているんです。だからこそ、一般の人に食べてもらえるレシピにこだわり続けることで支持を得ていると思います。

「いかに失敗できる環境をつくれるか?」が、企画を成功させるカギ

―成功する企画を生み出すために日々、実践していることについて教えてください。

五十嵐:良い企画を生み出すために、「失敗を通して次に活かすこと」を重視しています。ですが、問題もあります。それは、ユーザー数が増えてサービスの規模が大きくなればなるほど「失敗のリスク」も大きくなるということ。既存のユーザーにご満足いただきながら新規のユーザーにもお使いいただくためには、新しいサービスや既存設計を大幅に変えなければならないこともあります。それを両立させることは非常に難易度の高いテーマ。だからこそ、失敗を通して学ぶことが重要になってきます。

そこで当社は「いかに失敗できる環境をつくれるか?」という視点から、例えば本番環境でプロトタイプをどんどんつくっても、コードや既存インフラを安全な状態に保てるようにするなど、技術面でも体制面でもこれまで多くの投資をしてきました。その技術的な結集がOSSライブラリとして公開した「Chanko」(https://github.com/cookpad/chanko)です。

―実際に失敗を通して学んだことはありますか?

五十嵐:今年の春、アプリにウェブビューを導入したのですが、プロダクトの改善スピードを向上させるかわりに、アプリの動作自体はある程度遅くなることは想定して、備えていました。ただ盲点だったのが、「ユーザーの閲覧履歴」。レシピのブックマーク保存もあるため、閲覧履歴については移行を見送りました。ところが、閲覧履歴をブックマーク代わりに利用している人もおり、リリース後「大切なデータが消えた!」とフィードバックをいただいたのは想定外でした。
でもそれは大きなチャンスでもあるんです。ユーザー側の多くは、閲覧履歴に大きな価値を見出してくれていることに気づけたわけですから。

ユーザーをどこまで深く愛せるか。それが多くのユーザーを巻き込むサービスになる

―「クックパッド」の今後の目標や、開発チーム内での課題について教えてください。

五十嵐:毎日の料理を楽しくすること、さらに料理をする人自体を増やしていきたいというのが当面の目標です。その目標自体は非常にハードですが、やり方を工夫すればいずれ成功すると確信しているので、個人的には楽観視していますね。

あと私自身がチームリーダーとして掲げているテーマは、「メンバーに対して自分が生み出したプロダクトに自信を持ってもらう」こと。サービスの変更によっては、ユーザーから開発者の心に突き刺さるフィードバックもあります。しかし、マネジメントの意思決定で行ったわけですので、そこはきっちりフォローする必要があります。掲げていたゴールに向けてやったことが決して無駄ではないことを、得られる数字などを分析して伝え、自信を持ってもらうように気をつけています。

―多くのユーザーから支持されるサービスを生み出すためのキーワードは何でしょうか?

五十嵐:問題を抱えているユーザーに共感して、どれだけ奉仕できるか?が重要だと考えています。クックパッドであれば、利用する主婦の方がどんな悩みや課題を抱えているのか、四六時中思い続けられるか、ということです。いわばユーザーに対する「愛」に近いものだと思いますし、それこそがいい企画・いいサービスの原点になるはずです。

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