Google ほか、日本市場での勢力拡大に本格着手

営業職採用を拡大する、グローバルIT企業の「戦略」

グローバルに事業展開している外資系IT企業が、日本での営業職採用に本腰を入れている。エンジニア採用に注力しているイメージが強かった各企業が、今、営業職採用に動く理由はどこにあるのだろうか?その背景を探るとともに、実際に採用を強化しているGoogle に話を聞いた。

2012年5月30日

【識者の見方】日本企業の世界進出が増え、各企業が世界標準の技術やサービスを積極的に取り入れようとしているため、グローバルIT企業への需要が増加

株式会社リクルートエージェント 大月英照氏

株式会社リクルートエージェント/エージェントサービス統括部 テクニカルアドバイザー
大月英照氏

IT業界全般に詳しい大月氏は、現在グローバルIT企業が営業職採用に乗り出している現状を「日本でさらなる商機を見出し始めたからではないか」と分析する。
「日本の電子デバイスの技術は、性能面や通信費などの仕組みが特殊であり、今までは外資が参入しづらかったのですが、スマートフォンを始めグローバルスタンダードな電子機器が急速に普及して来たことで、日本でも十分事業が成り立つメドが立ったことが大きいですね。また、日本企業のグローバル化の加速も背景。『インフラ周りのことは日本企業に任せたい』という保守的な考えが減ったこと、グローバル展開に合わせて、世界標準の技術やサービスに合わせるほうがメリットが大きいと考える企業が増えたことで、特に法人向けサービスのニーズが増えています。それらのニーズを取り込むために、営業職採用に動き出しているのです」
グローバルIT企業にとって、購買力の高い日本マーケットは魅力的だ。日本企業の意識の変化をチャンスと捉えて日本でのビジネス展開を加速させ、アジアでの事業展開に弾みをつけたいと考える企業が多く、クラウドソーシング系企業やITコンサル企業、EC系企業、ゲーム関連企業など10社程度が営業職採用に動き始めているようだ。では、どんな経験、スキルを持った人が求められているのだろうか?
法人営業の経験があり、課題解決力と目的達成能力が高い人が評価される傾向にありますね。日本企業のように具体的な役割や目標を与えられるケースが少ないため、『自社のサービスをもっと拡販するにはどうすればいいか?』を自分で考え、自分で目標を設定して達成へと動く『自走力』が求められるためです。一方で、ネットに関する知識や英語力は、そこまで高水準のものは求められません。営業経験年数の長さや出身業界も不問とする企業が多いです」

【企業の戦略】採用拡大中のGoogle にインタビュー

Googleでは現在、営業職の採用を積極的に行っている。今回は、オンライン広告プログラムのAdWords営業部門、および企業向けソリューションを提供するエンタープライズ部門の2部門へのインタビューを実施。それぞれどのような戦略のもと、どんな人材を求めているのだろうか?

■AdWords 営業部門

第一広告営業本部 Local & Classified 統括部長 藤本あゆみ氏

第一広告営業本部 Local & Classified 統括部長
藤本あゆみ氏

●なぜ営業職採用を積極化している?
オンライン広告、そしてAdWords がビジネス拡大に有効だと考えるクライアント数の増加によるものです。
Google ではここ数年、クライアント数が増加する以上に、クライアントの期待値も上がっていると強く感じます。ときには「ほかの企業に先んじてできる最先端の広告」など、漠然とした要望をいただくことも。Google ならば一緒にイノベーションを起こしてくれるのではないか?という期待先行で相談を受けるケースが増えています。
その中で効果的な提案を行うためには、クライアントからの漠然とした「期待」を、ヒアリングによって少しずつひも解いていき、現状の課題と目指すゴールを確認してから、具体的な提案に落とし込むことが重要です。また、お客様が何かアクションをとる際に最初に相談されるビジネスパートナーになることが必要だと思っています。 より多くのお客様とじっくり向き合い、お客様のビジネス拡大に貢献しながら自分たちも成長できるよう、営業部門の拡大を図っているのです。

●求める人材像、必要なスキルとは?
クライアントの業界が多岐にわたるため、各業界の動向に精通している人を求めています。AdWords 第一広告営業部門は業界ごとにチームがわかれていますが、流通小売、自動車、旅行、金融などの主要産業から、法律事務所や個人事業まで、あらゆる業界を見ているので、どの業界知識であっても歓迎です。
また、営業経験は必須ですが、単にモノを売ってきた人ではなく、クライアントの課題をつかみ、ビジネス全体を見据えたうえで目標までの戦略をストーリー立てて考えてきた経験を評価します。リーダー経験があると、なおいいですね。
一方で、インターネット広告の知識は、入社段階ではそこまで高度なものは求めていません。入社後に勉強して十分に身につけられるからです。実際、中途入社者ではウェブ広告業界・インターネット業界に関わらず、さまざまな業界出身者が互いの知見を共有しながら活躍しています。英語力に関してもよく質問をいただきますが、こちらも同様です。メールや文書、ミーティングなどで英語を使う機会は多いため、英語に苦手意識があると辛いかもしれませんが、学ぶ意欲があれば入社時点では不問としているケースも多々あります。

■エンタープライズ部門

エンタープライズ部門 マネージャー 大須賀利一氏

エンタープライズ部門 マネージャー
大須賀利一氏

●なぜ営業職採用を積極化している?
ビジネスのトレンドの変化に伴い、Google のソリューションに対する企業のニーズが高まっているからです。
エンタープライズ部門では、コンシューマー向けに提供されていたGoogle のサービスを企業向けにカスタマイズし、提供しています。例をあげると、企業の各種申請書を一括検索して取り出せるエンタープライズサーチや、場所や時間、言語に関係なく社員同士がコミュニケーションできる「Google Apps for Business」に代表されるクラウドサービスがあります。いずれも、もともとはコンシューマーに支持され、ブラッシュアップし続けてきたものなので、ユーザー視点が反映されており利便性が高いのが特徴です。
ニーズ拡大の背景としては、グローバル展開を目論む企業が増えていること、そして、競争に勝つためにスピードを重視する企業が増えていることが挙げられます。Google のサービスは50近い言語に対応可能なので、企業のグローバル展開の際に威力を発揮します。また、例えば時差を使って一つの検討課題を国から国へと動かし、24時間ビジネスを稼働させることで、1拠点で検討するよりも効率的かつスピーディーに、新しいビジネスを進められる点も評価されています。

●求める人材像、必要なスキルとは?
求めているのは「バリューセールスができる人材」。すなわち、Google のサービスを導入することで、クライアントにとっての具体的なメリットを定量的に示しながら営業活動ができる人のこと。前職でこのような営業経験を積んできた人は、高く評価します。
加えて、チームプレイヤーであり、リーダーシップを兼ね備えていることも求められますね。
エンタープライズ部門では、個人プレイではなく、場合によっては自分の利益を優先させず部門全体のために貢献することが求められますし、全体像を見据えたうえで決断ができるリーダーシップも必要になります。そのような環境で価値を発揮できる人にチームリーダーになってもらい、われわれがまだフォローできていない企業にどんどんアプローチしてほしいと願っています。
他国のチームとベストプラクティスの共有なども積極的に行いながら、Google のエンタープライズ部門ならではのソリューション営業を確立させていきたいと考えます。そのため、入社後は英語力が必要になる場面もありますが、入社時には特に英語力の基準は設けていません。

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伊藤理子
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平山 諭/畑山亮太

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