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異職種から「経営企画職」に選ばれる人の条件
企業経営の根幹を担う「経営企画職」。経営と事業との接続を担う責任ある立場だけに、「いつかはこの仕事に就きたい」と考える、意欲ある若手ビジネスパーソンは少なくありません。しかし、実際にこの仕事に就ける人はほんの一握りです。では、人事異動や中途採用で、20代のうちに経営企画職に抜擢されるのは、どんな経験・スキルを持った人なのでしょうか?専門家の意見をもとに「経営企画に求められる条件」を探りました。
2011年12月14日

専門家3人の見解は?
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株式会社 経営者JP |
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株式会社キャリアデザインセンター |
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株式会社コープラス |
そもそも「経営企画職」のニーズは増えている?
海外展開、新規事業立ち上げなど新たな収益源を確保するため、
そして迅速な経営判断のために、経営企画職のニーズ自体は高まりつつある
「採用人数自体は多くないものの、企業において経営企画職のニーズは高まりつつある」というのは、人材紹介会社キャリアデザインセンターの酒井氏。「日本市場全体が縮小傾向にある中、どの企業も、海外への進出や新規事業の立ち上げなど、新しい収益源を確保する方法を模索しています。そのため、社内異動や中途採用で、アイディアを出し、自ら実行できる能力のある若手を抜擢する傾向にあります。中でも、ネット系をはじめとする新興ベンチャーや、上場して間もない成長期にある企業において、経営企画を拡充する動きが目立ちますね」
ヘッドハンターであり、企業経営に詳しい井上氏は「昨今、経営企画部門の機能を、本社ではなく各事業ライン側に移管して事業部全体の経営企画・事業開発を行う体制を取る企業が増えているため、全社の経営企画部よりも、『事業部ごとの経営企画職』のニーズが増えている」と話す。「市場環境が目まぐるしく変化する中で、経営判断にスピードが求められるようになったため。より現場に近い場所に経営企画的な機能を置くことで、市場の変化や顧客ニーズに合わせて臨機応変な対応ができるようになります」
人材紹介会社コープラスの新井氏は、「経営企画は多くの人数を要しない部門。目に見えて増えることはないが減ることもない状態。社内異動での競争率も、中途採用の際の倍率も非常に高い」という。ただ、「個別に見れば、急成長が続くソーシャルメディア関連会社など、『成長期のうちに次の一手を打ちたい』企業では、事業部ごとに経営企画を拡充する動きがありますね。担当する事業部の拡大のための策を練り、ハンドリングできる人を、社内外から抜擢する傾向があります」
異職種から経営企画に抜擢されるのは、どんな人?
経営戦略コンサルタント、数字に詳しい経理財務職は抜擢されやすい傾向
ストレートに経験を活かせるのは、コンサルティングファーム出身者。「特に経営戦略コンサルタントの仕事は、『企業の経営企画部門のブレーン』とも言えるので、即戦力として評価されるケースが多いようです」(酒井氏)、「コンサルタントから事業会社の経営企画への転職事例は、当社でも増えていますね。ただ、担当してきたプロジェクト内容が、採否を大きく左右します。企業の経営企画部門を相手に中長期計画を組んできた人は企業からも求められるケースが多いですが、人事制度の見直し、システムコンサルティング、営業フローの改善など経営全体と見通すのではなく、業務の一部の改善提案が中心だった人は経営企画としてすぐに活躍することは難しいでしょう」(新井氏)。
コンサルに次いで多いのは、経理財務職。「中期経営計画を立てた後、それぞれ数字に落とし込むことが大切。BS、PL、CFなど会社の数字を見続けてきた経験がフルに活かせるでしょう」(新井氏)、「経営計画を組むうえでは、経営数字に強く、データ分析ができることが重要だし、管理会計知識も求められます。決算経験しかない場合は厳しいですが、管理会計知識を持っている経理財務職は高く評価されます」(酒井氏)
酒井氏の担当案件では、事業のマーケティング担当者が抜擢されるケースも見受けられるという。「データを分析してマーケティング戦略を立て、実行するという業務フローが、経営企画職のフローと類似していることから、社内異動、中途採用いずれにおいても抜擢の可能性が高い職種ですね」
営業職は、新規事業立ち上げ経験があれば評価材料に
一方で、「営業職から経営企画への抜擢は、かなりハードルが高い」と酒井氏、新井氏は口を揃える。
「高い営業実績に加え、営業として何らかの新規事業立ち上げプロジェクトメンバーに加わった経験がほしいところ。新規事業立ち上げは、経営企画に紐づくケースが多いうえ、目的と事業テーマを決め、計画に基づいて実行しつつ軌道修正していくという過程はまさに経営企画の業務フローと同じ。まだ経験していない営業担当者は、積極的に手を挙げて関わる努力をすれば、将来抜擢されるチャンスが高まるでしょう。そして転職活動の際は、応募書類等で必ずアピールすべきです」(酒井氏)
「私が関わった例では、地方銀行で法人営業をしていた20代が、100人規模のベンチャー企業の経営企画候補で採用された例がありました。彼の場合は、融資担当として何十人もの経営者を顧客に持ち、各社の資金繰りまで把握していた経験が、経営数字を立てる際に活かせるだろうと判断、経営企画としてポテンシャル採用されました」(新井氏)
ただ、ヘッドハンターの井上氏は、「営業職から経営企画への転身は、努力次第では可能性がある」という。
「顧客接点の最前線にいる営業は、顧客の生声をつかんでいることが最大の強み。そのリアルな情報をもとに、『この商品をこう改良すれば、この分野の需要が新たに取り込める』『こんなサービスを始めれば、これぐらいのリターンが得られる』といった仮説を立て、社内でどんどん発信するのです。企画書をまとめ、経営企画部署に持ち込んでもいいし、上司に直接アイディアをぶつけてみるのもいい。たとえダメ出しでも、何らかのフィードバックがあったら、そこを改善して再提案…を繰り返す。これぐらいの熱意を持って取り組めば、早晩会社が認めてくれるでしょう。実際、法人営業時代に新規事業提案を繰り返し、財務職を経て、経営企画職リーダーに抜擢されたという例があります」
大手企業は社内調整力、ベンチャー企業は発想力とスピード感を求める
抜擢されやすい職種とその理由をそれぞれ解説したが、「企業規模」によっても抜擢されやすい人のタイプが大きく異なるという。
「大手企業は人材が豊富なので、中途採用ではなく社内抜擢がメイン。そして、経営企画としての素地や業務スキルと同じぐらい、『社内調整力』が求められる」(酒井氏)という。「経営計画を立て数字を組み立てた後は、各事業部の責任者に説明し、納得してもらう必要がありますが、大手企業であればあるほど、事業部の数は多く、規模も大きく、かつ事業責任者は年長者。簡単には首を縦に振らない責任者を相手に、経営計画を一から説明し、納得させることができる地道なコミュニケーション力とネゴシエーション力が重視されます。以前、現場経験が豊富な外資系コンサル経験者を、大手通信会社に紹介したことがあるのですが、『スキル面は素晴らしいが、大手企業の中で各部署と地道にコミュニケーションを取る力はなさそう』という理由で不採用でした」
成長中のベンチャー企業の場合は、打って変って、「新しいことをどんどん生み出す発想力」や、「いくつもの案件を同時に回していく力」が評価されるという。「企業規模がまだ小さいので、経営企画といってもせいぜい2〜3人いれば十分。そのため、1人で何でもこなせる万能さとスピード感が求められます」(新井氏)、「そのため、いくつも案件を抱え、スピード感を持って動く必要があるコンサルティング会社出身者が最もピッタリはまりやすいですね」(酒井氏)。
スキルや経験だけでなく、「会社や事業に対する思いの強さ」も重視される
どの職種でも、どの企業においても、共通して必要とされるのは、「経営戦略の手法や問題解決の手段を洗い出すプロセスなど、経営企画としての基本的なフレームワークを学んでおくこと」と「自社、もしくは応募先企業の事業内容を把握し、『自分が経営者だったらこういう会社にしたい』という熱い思いを持っていること」であると、3人の識者は話す。
「前述したような『自社のビジネスをこうすべき』を考え、プレゼンするためにも、経営戦略のフレームワークを独学ででも学び、経営企画職としての素地を自分で作っておくべき。MBA取得でなくても、専門書を読むなどしてインプットを」(井上氏)、「できれば、日本のビジネススクールなどでMBAを取得し、経営企画職に就きたいという思いを『実証する』といい。実務経験はなくても、経営企画のノウハウが身に就きますし、何より会社に本気度が伝わります」(新井氏)
「スキルはもちろん大切ですが、『この仕事に就いて何をしたいのか』という思いの部分も、ほかの職種よりさらに強く問われます。会社経営の方向性を決める重要な役割であるうえ、次期のボードメンバー候補でもあるので、会社や事業に対する思いがないと務まらないし、大事なかじ取りを任せられません。スキルレベルや経験は申し分ないのに、自社に対する思い入れが全く見えなかった…という理由で不採用になるという例は、実は少なくないのです」(酒井氏)
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- EDIT&WRITING
- 伊藤理子
- PHOTO
- 設楽政浩/渡邊聖爾