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世界トップクラス!堂々たる中小企業の機械設計力
新興国の追い上げなどがあり、日本の技術力低下が危惧されている。しかし、日本にはまだまだ“世界シェアトップ級”の企業が多くあり、それは中堅・中小企業においても顕著だ。ただ、「ニッチ」に特化しているので知名度は少ないかもしれない。今回は機械系エンジニアに向けて、これらの「隠れた名店」を紹介しよう。
2011年10月26日

「世界を制した中小企業」が日本を支えている
/帝京大学 経済学部 黒崎誠教授
「グローバルニッチトップ」に見る中小企業の4タイプ
帝京大学
経済学部 地域経済学科
黒崎誠教授
日本には世界シェアの高い中小企業が実に多い。特殊用途の製品などニッチな分野に特化しているため、一般的な知名度は低いものの、知る人ぞ知るグローバル企業である。時事通信社で経済記者として長年活躍し、「世界を制した中小企業(講談社現代新書)」の著書も持つ帝京大学経済学部の黒崎誠教授は、こうした企業を4タイプに分ける。
ひとつは「超先端型」だ。国や民間の研究機関の研究者が設立したり、大学と技術提携した産学連携型で、いわゆるオンリーワン企業が多いという。
「例えば、高精度特殊ミラーで医療革命を起こした岡本硝子。昔は歯科医が頭に小さなミラーをつけていましたが、最近はあまり見かけませんよね。これは同社が『影を作らない反射鏡』を、東京工業大学との提携で開発したからです。熱を抑えられるので患部に影響がないと、外科手術でも使われています。光学用単結晶材料メーカーのオキサイドや、世界で初めて有機ELディスプレイの量産製造装置を開発したトッキも同じタイプでしょう」
2つ目は「ノウハウ集積型」。既存の技術を積み重ねて、ノウハウを磨いていった企業だ。黒崎氏は例として、冷凍船用の冷凍庫で世界トップ級のシェアを持つ前川製作所を挙げる。例えば、港に船が入って荷物をトラックに移すとき、冷凍庫のドアを開けると庫内周囲の温度が上がる。それを防ぐための冷却機能をつけると、奥まで意味なく冷やしてしまう。
「同社には『全体を均等に冷やす』という高い技術があり、世界からは『マイコン』と呼ばれています。一方、創業約90年の粉砕機メーカー、奈良機械は『粉一筋』です。同社がミクロン単位の粉にできる機械を開発したことで、UVカット効果を持つファンデーションが生まれました」
3つ目は「匠の技型」。ただ、職人の個人的な技能に頼るのではなく、数値化などで汎用性を持たせている。例としては、超高精度に計測できる歯車測定機を開発する大阪精密機械、高圧油圧ポンプを開発するタカコ、高反射用特殊金めっき技術で著名な三ツ矢が挙がった。
「4つ目は技術転用型です。大型船舶用プロペラで高い世界シェアを持つナカシマプロペラの人工骨、ショットガンやライフルの製造過程で磨いたミロクの深穴加工技術などです。技術転用以外の3タイプは日本独特で、海外で似たケースを見かけません」
「自分がいないと会社が動かない」エンジニアになる?
「超円高」が数カ月も続き、産業の空洞化も懸念されるが、黒崎氏は「日本の中小企業はまだまだ元気」と言う。
「2000年代初めにも空洞化があり、東大阪のニッチトップ企業の3割は廃業したと聞きます。では、今回も同じことが起こるかと言えばそれは違う。前回の時には特に中国での失敗が多く、その教訓があるからです」
進出先で技術を盗用された、技術を教えてもすぐに辞めていくなどから、日本に戻る中小企業も多かったという。こうした事情を知っているため、生産ラインは中国やベトナムに置いても、「コア技術は日本で」と語る経営者が多いというのだ。
黒崎氏はニッチトップの中小企業で腕を磨くことをエンジニアに勧める。大手企業でも専門分野に分かれるが、特殊な領域に特化し、社員数も多くないこうした企業で高い技術を身につけると、「その人がいないと会社が動かない」ほどのポジションになるからだ。そんな醍醐味に加えて条件面も悪くないようだ。
「世界シェアの高い企業ほど上場を考えるものですし、ストックオプションなども予定しているはず。また、『匠給』のような手当を出して、取締役と同等の給与を支給する企業もあります。優秀な技術者を確保するためです。明確な定年制を取らない点も魅力でしょう」
以下に「グローバルニッチ企業」を6社載せた。必ずしもエンジニアを募集しているわけではないが、知っていた企業はいくつあるだろうか?
海底トンネルや砂漠の石油プラントで使われる「錆びないボルト」
/次の「タケコート」を完成させた、株式会社竹中製作所
カーボンナノチューブを用いた「ナノテクト」を完成
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超高圧の海底トンネル、砂漠地帯の石油プラント、長期間野ざらしになる橋梁や発電施設などで多用されているボルトやナットが、表面に防錆・防食処理を施した「タケコート」だ。海底トンネルであれば「海中で50年間錆びない」という。 |
自社で一貫して行う品質保証ができる機械系技術者
「クライアントの高度な要求に万全に対応すべく、品質保証に大きな力を注いでいます。鋼材の受入検査から始まり、加工段階での各種機械試験機では硬さ試験、衝撃試験、引張試験などの入念なチェック。そして、完成後の磁粉探傷試験や超音波探傷試験などに至るまで、自社で一貫して品質を管理しています。 |
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白内障やレーシックなどの手術後の眼球も測定できる「屈折測定装置」
/「眼」に特化した高性能機器を開発する、株式会社ニデック
新しい測定方式を採用し、容易かつ高精度な眼球測定を可能に
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眼球の検査機器や手術機器、眼鏡機器や薄膜コーティング技術を開発し、人工視覚システムの研究にも取り組むのがニデック。製品のひとつ、「屈折測定装置」(オートレフラクトメーター)を世界シェア、国内シェアともに約40%(売上高ベース:2008年実績)と見ている。 |
機械系技術者に求めるのは、幅広い分野からなる「加工の設計力」
「機械設計職には技量を求めます。その理由は一製品を1〜2名程度のチームで設計するため、機械加工、鋳物、板金、樹脂成型、表面処理などの多岐に渡る『加工の設計力』を必要とするからです。さらに言えばコスト、組立性、保守性、品質向上に着眼できる人材です。 |
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デジタルレントゲンや内視鏡にも強い研究開発型メーカー
/「ワイヤレス口腔内カメラ」の株式会社アールエフ
医師の声にこたえた「使いやすさと低価格」
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各種歯科・医科用カメラやデジタルレントゲン、工業用内視鏡、カプセル内視鏡などを開発するアールエフ。歯科医師が使うワイヤレス口腔内カメラで世界シェア約80%(販売個数:2006年度実績)、国内ではデジタルレントゲンのシェアが50%を大きく超える(販売個数:2009年度実績)という。技術力は当然だが、これほどのシェアを獲得できた大きな理由は「使いやすさと低価格の両立」にある。 |
機械だけでなく、電気やソフトにも挑戦できる姿勢を重視
「機械設計、機構設計、筐体設計という枠で仕事をせず、たとえ全部の設計ができないにしても、全体を見て考えられることを重視しています。機械設計の仕事だけでよい製品は生まれませんので、電気やソフトも理解しようとする姿勢が重要。当社では部署間の壁をなくした『ごちゃまぜ体制』を取っており、製品開発でもトータルでよい製品を作ろう、作りたいという人を大事にしています。 |
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シンプルであるが故に奥が深い「波動歯車装置」
/「ロボット用減速装置」の株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
独創的な製品だからこそ、他社を寄せつけない高いハードル
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金属の弾性力学を応用し、わずか3点の基本部品から構成される波動歯車装置―ハーモニックドライブ(R)。正確な減速と大きなトルクを生むことから精密な減速機として利用されるが、ハーモニック・ドライブ・システムズは「ロボット用の減速装置として世界シェア40%程度と認識」(販売個数:2008年度実績)という。 |
「偶然」をモノにする「感性」と「執念」を求めたい
「ハーモニックドライブ(R)は大変シンプルな構成ですが、シンプルであるが故に未知の領域も多く、依然、大いに進化の余地があると考えています。 |
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電気式でない「精密機械式センサー」を開発して舞台は世界へ
/「精密位置決めスイッチ」の株式会社メトロール
開発した「精密機械式センサー」でシェアが急拡大
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CNC工作機械、半導体製造装置、自動車製造ラインなどの産業機械のセンサーは電気式が主流だが、メトロールはミクロン単位の正確な位置制御が可能な、「精密機械式センサー」の開発に成功した。同社によれば、この技術を用いた独創的な「精密位置決めスイッチ」で、世界で約70%、国内で約80%(販売個数:2010年実績)というシェアを築き、販売先は64カ国に及ぶという。 |
設計、プロデュース、販売まで、幅広い機械系技術者の仕事
「開発、製造、販売のメンバーがアイディアを持ち寄って打ち合わせし、最終的に皆の意見を取りまとめ、新製品・改良製品を形にしていくのが設計部門の仕事です。弊社の設計スタイルは『席で黙々と研究開発型』ではなく、国内外の展示会や顧客の所へ出張し情報収集。ひとりが一ジャンルの製品開発を任され、製品化や販売のプロセスまで関与していく、外に開かれた製品開発型です。 |
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自動車用エンジンブロックの製造に欠かせない製品で突出
/「金型用中子抜きシリンダ」でシェアを伸ばす、株式会社南武
日系の自動車メーカーがこぞって使う油圧式シリンダ
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国内ほぼすべての自動車メーカーに導入されているという「金型用中子抜きシリンダ」を開発する南武。主に自動車のエンジンブロックを金型で一体成型するときに、ピストンなどを入れる空洞部分を作るために使われる。正確な数値は把握していないものの、海外での日系企業のシェア、国内シェアともに高いと同社は見ている。 |
タイや中国で事業拡大、機械系エンジニアには先見性を
「短納期かつ難しい仕様を完成させるためには、既存技術だけでは不十分です。機械系の技術者にも、新しい技術や知識を吸収して、先見性を持つことが求められます。 |
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- EDIT&WRITING
- 高橋マサシ