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深海無人探査機、地雷除去機の開発ストーリー
2011年初回の特集は、日本の制御技術を取り上げる。その対象は4000mという海中・海底で自律的に作業を行う深海探査機と、建設機械を応用してゼロから作り上げた対人地雷除去機だ。技術立国の牙城が、特にアジア諸国の猛追で崩されつつある今、ここには世界に誇れるニッポンの技術がある。
2011年1月5日

深海を自律的に探査する「MR-X1」が始動/海洋研究開発機構
昨年夏の海域実験に成功した、知られざる「小さな巨人」
独立行政法人海洋研究開発機構
海洋工学センター
先端技術研究プログラム
巡航探査機技術研究グループ
技術研究主任
石橋正二郎氏(35歳)
作業型自律探査機「MR-X1」
提供:海洋研究開発機構(JAMSTEC)
無人探査機には母船とケーブルでつないで遠隔操作するROV型と、プログラムに従って自力で航行するAUV型とに大別されるが、MR-X1は後者である。自律探査のためには内部動力、CPU、慣性航法装置(INS)が必要で、MR-X1は小型軽量の深海用リチウムイオン電池、自動で不具合を補償する分散制御CPUシステム、国内最小かつ最軽量の高性能なINSを搭載。加えて、3次元ステレオ視で深海の生物や鉱物の採寸・面積を計測する、高機能画像システムも装備されている。
回転運動で画期的なINSの向上システムを開発
深海巡航探査機「うらしま」
MR-X1
石橋氏の最初の配属先はうらしまの開発チーム。主に取り組んだのがINSのシステム的な向上だった。GPS(電波)の届かない深海で自律航行するには、位置や速度を演算により正確に知る必要がある。そのための装置がINSであり、潜水艦や航空機にも搭載されている。
MR-X1のINS、「国内最小、最軽量、高性能」を「世界」に
MR-X1の慣性航法装置(INS)
昨年夏の海域試験時のコントロールルーム
操作コンソール(ソフトウェア)は石橋氏の自作
うらしまは2年ほど前から運用段階に入り、石橋氏は新たな探査機を担当することとなった。それがMR-X1である。彼のような技術研究職は新技術の研究・開発が仕事であり、運用段階になると別の部署が担当を引き継ぐ。MR-X1は研究開発した最新技術を実海域で試す、「テストベッド」でもある。
市場拡大の火種になり、「できていないこと」を実現したい
海中で3次元計測をするステレオ視カメラ
MR-X1
日本の探査機の技術はアジアでトップ、世界の中でもハイレベルにあるという。ただ、中国や韓国が猛追しており、さらにその部品のほとんどが海外製品であると石橋氏は語る。日本の技術は優秀でも、海中探査機を含めた海中機器の市場は小さいため、価格競争力が弱いのだ。仮にこうした海外メーカーが部品の供給を止めたら、探査機の開発は難しくなってしまう。だからこその市場を拡大させてく必要がある。
世界8カ国で75台が稼働する「地雷除去機」/山梨日立建機
油圧ショベルカーを改良した「ロータリーカッター型」
山梨日立建機株式会社
代表取締役
雨宮 清氏(63歳)
ロータリーカッター型(右)と
プッシュ式フレールハンマー型
1994年、山梨日立建機株式会社の雨宮清社長はカンボジアを訪れた。海外に自社の販路を広げるためだ。建設機械の販売と修理を主業務とする同社は、「技術を伴う販売」で海外展開を進めていた。ただ売るだけでなく、技術供与やアフターサービスを徹底させるという戦略でトンガ、フィジー、ニュージーランド、東南アジアへとビジネスは広がっていた。
機械制御のカギはモーター、エンジン、ポンプのバランス
アフガニスタンでの対爆、耐久性、安全性試験
カンボジアでの対爆、耐久性、安全性試験
雨宮氏は、1999年に地雷除去機をカンボジアへ運んで耐爆実験を行う。また、経済産業省や防衛省の協力で、自衛隊の演習場などで同様の試験を重ね、その後は再びカンボジアやアフガニスタンで耐爆性や安全性の実験を繰り返した。5年間はテストの繰り返しだったという。
2007年から実用化された「プッシュ式フレールハンマー型」
プッシュ式フレールハンマー型
チェーンとハンマーの部分
受け継いできた「日本の技術」が地雷除去機を開発
後部に取りつけられたリッパー(鋤)
カンボジアでの地雷除去および農地復興
山梨県に生まれた雨宮氏は15歳で上京、建設機械の整備会社で技術者として働いた後、山梨に戻って23歳で起業した。技術は「手で覚えた」と語る雨宮氏は、独学で勉強し、相当数の技術資格を取得している。
同社の地雷除去機は現在、カンボジア、アフガニスタン、ニカラグア、アンゴラ、コロンビアなど世界8カ国で、75台が稼働している。また、すべての納入国では現地のオペレーターを含む関係者を国内に招き、操作などのトレーニングを実施している。納入時にも、同社の指導員なしで確実に使用できるように、徹底した教育を行っているという。
日本が受け継いできた制御技術の数々。
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