あの仕事に就きたいライバルはどれくらい?

2012年版 職種別「求人競争倍率」の実態

転職市場について知る方法としては、厚生労働省が発表している「有効求人倍率」は一つの参考になる。2012年6月の数字は0.82倍で、前月比で0.01ポイント上回った。リクルートワークス研究所でも「大卒求人倍数」を発表しており、今年4月発表の最新データでは前年比0.04ポイント増の1.27倍となっている。こうした「売り手」「買い手」の需給バランスを把握しておくことで、気になっている仕事の需要がわかるはずだ。そこで、今回は「リクナビNEXT」と「リクルートエージェント」の求人数・求職者のデータを元に、現在の転職市場に関する分析を行った。最新の転職市場について知る一つの手がかりにしてみてほしい。

2012年8月22日

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リクルートワークス研究所 徳永英子氏

リクルートワークス研究所
徳永英子氏

リクルート入社後、人材採用関連事業の商品プロデュース部署を経験。中途採用・新卒採用における、企業・学生の採用・就職活動動向に関する調査・マーケティングを担当する。2001 年 4 月より現職。

職種別の「求人競争倍率」を独自に算出

今、どんな職種の求人数が多いのだろうか?

今回の数値は、「リクナビNEXT」「リクルートエージェント」に掲載されている公開求人数・非公開求人数を元に算出した。※ともに2012年8月1日時点のデータを使用。
まずは、職種ごとの求人数をまとめた上記の図について。
最も求人数が多かった「技術職(ソフトウェア、ネットワーク)」を100と置き、そのほかの職種について相対的な求人数がわかるように数値化した。求人数が多いのは、「技術職(ソフトウェア、ネットワーク)」「営業職」の順だった。また技術職にはばらつきがあり「技術職(電気、電子、機械、自動車)は求人数が多いが、「技術職(メディカル、化学、食品、医療)」や「技術職(建築、土木)」は少ないことがわかる。また「専門職(コンサルタント、金融、不動産、流通)」「クリエイティブ関連職」など縁故での採用も存在する職種は、求人数も少なくなっているようだ。

自分の今の職種、気になる職種の「競争倍率」は?

続いて、「リクナビNEXT」「リクルートエージェント」に掲載されている公開求人数・非公開求人数と会員登録数を元に、ある職種の求人1件に対して、同じ職種の求職者が何人存在するのかを職種ごとに数値化した。この数値が少ないほど競争率が低く、逆に高ければ高いほど競争率が高い傾向があるといえる。
求人数が最も多かった「技術職(ソフトウェア、ネットワーク)」については、1求人あたりの求職者数は最も少なくなった。現状、企業からの採用の需要に対して人材が不足しており、IT業界の活発な動きに伴い、今後もしばらく同様の状況が続くことが予想される。求職者にとっては、ライバルが少ない状況であるともいえそうだ。
一方で数値が高いのが「クリエイティブ関連職」「販売、サービス関連職」「専門職(コンサルタント、金融、不動産、流通)」。特に「クリエイティブ関連職」は競争が激しいように見えるが、この職種は常に雇用されているわけではなく、プロジェクト毎に発注を受けるといったケースも多いため、単純に競争率が高いとは言えないかもしれない。
なお、最も多い「その他職種」については、「公務員・団体職員」「教師」「農林水産関連」「技能工」などさまざまな職種が含まれるため、競争率が高いとは一概には言えないが、全体的に求人数が少ないということと、「公務員・団体職員」「製造業の技能職」経験者が存在するということがこの数値を押し上げているといえそうだ。

求人増をもたらすキーワード――スマートフォン、次世代エネルギー、グローバル化

こうした求人数や登録者数といった求人市場の動きは、常に変動している。リクルートワークス研究所の徳永英子氏はこう語る。
「市場の動きについて細かく情報収集しておくことが大切です。その際、われわれの生活に影響を与えそうなキーワードに注目するのがいいですね。例えば今なら『スマートフォン』や『タブレットPC』でしょう。特にスマートフォン関連で、技術職や開発職などを中心に求人が増えているのがいい例です。その他、エコの意識への高まりとともに『次世代エネルギー』に注目が集まり、求人ニーズが増えています。また、『グローバル化』がいっそう加速し、市場が世界中に広がったことで仕事内容だけでなく求められる人材像についても多様化が進んでいます」(徳永氏)

しかし、こうしたキーワードはある特定の業種や職種だけに関連するわけではない。
「すべての業種のあらゆる職種に結びついて、横展開しながら求人を生み出します。例えばバックオフィス系の仕事でも、2015年3月の強制適用は延期になりましたが、IFRS(国際会計基準)が導入されれば海外子会社との連結決算業務も増え、国際的な知識を持つ経理のニーズが高まります。海外企業との取引が増えれば法務関連の契約業務も増えるでしょうし、海外人材の採用ニーズも高まります。また、市場が広がることで現地のニーズをリサーチするマーケティング手法も変わり、企画の立て方も変わっていくでしょう。こうした新しい仕事を生み出す可能性の高いキーワードを意識しておくことが、市場価値の高い仕事に就くためのヒントになるはずです」(徳永氏)

市場を知ることが、自分自身の成長にもつながる

あなたが気になっている仕事の「求人数」や「競争倍率」はどうだっただろうか?市場を知るということは、そうした数字にきちんと目を向け、需要が高いものについて理解しておくことでもある。その積み重ねが、10年後の勝ち組企業を見つける手がかりとなり、あなたがビジネスパーソンとして成長するための礎になるはずだ。徳永氏が言うように積極的に情報収集し、われわれの生活や仕事に影響を与えそうなキーワードを探してみよう。そこに必ず、最新の市場を知るためのヒントがあるはずだ。

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