転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 市役所で人事を経験。一般企業に転職を目指すが、書類で落ちる
(株)リクルートキャリア 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2013年3月27日
田渕正登さん |
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自動車部品メーカーで営業を1年間経験した後、関東近郊の市役所に入庁し、人事給与担当を約3年間務める。2012年秋に退庁し、一般企業で再就職先を探しているが、書類通過率が低く、悩んでいる。 | |
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大学卒業後、自動車部品メーカーに営業として入社しましたが、1年で退職。その後、実家近くの市役所に入庁し、人事給与担当として3年間勤めました。しかし、そちらも昨年10月に退職し、現在は休職中です。最も経験の長い人事職に的を絞って転職活動をしていますが、100社以上に応募しているのに面接に進んだのは10社程度と、書類通過率が低いことが悩みです。
田渕さんご自身は、書類が通過しない理由はどこにあると思いますか?
公務員出身だというのが、大きな理由だと思います。公務員は、一般企業とはビジネスのスピード感や、個人の仕事の進め方が全く異なります。この差が、「うちの会社には合わない」とネガティブに捉えられているのではないかと。…ただ、応募前から覚悟はしていましたが、ここまで書類が通らないとは思わず、落ち込んでいます。
そもそも、市役所を辞めてしまったのはなぜ?
実は、1社目の自動車部品メーカーも、その次の市役所も、上司のパワハラが原因で退職したんです。1社目は、体育会系の社風で、上司が言うことは絶対でした。営業成績が振るわないとみんなの前で罵倒されたり、接待の場や社内の宴会の場で飲めないお酒を無理に飲まされたり…。市役所では心機一転頑張ろうと思ったのですが、上司が私を何かと目の敵にして、陰口を言われたり連絡事項を伝えてもらえなかったりしました。今度こそ、1社に腰を据えてじっくり働きたいのですが、こんな退職理由はネガティブに捉えられそうで…。
それは辛い経験をされましたね。そして、今は人事を中心に応募しているのですね。人事の仕事のどのような点に魅力を感じているのですか?
いや…営業経験は1年しかないし、最も長い経験が人事なので。人事の仕事は決して嫌いではないし、人の教育や育成に関わる仕事にやりがいは感じているのですが、「絶対にこの仕事がやりたい!」というほどでもないんですよね。かといってほかの仕事はピンと来なくて。自分の将来が、全く見えずにいます…。
なるほど。まずは、田渕さんの「志向の方向性」を探ることが重要ですね。
まずは田渕さんの志向を紐解いて行きましょう。やりたいことが浮かばないのであれば、「やりたくないこと」から洗い出しましょうか。
うーん…まずは、IT業界はあまり興味がないので避けたいですね。小売業界も、勤務時間がまちまちでしかも長いという印象があるので、できれば避けたいです。また、体育会系な職場は最初の会社でこりごりなので、絶対に嫌ですね。上司の顔色をうかがいながら働いたり、上司の命令で長々と残業を強いられる環境ではなく、自分のペースで仕事ができる環境のほうが、力を発揮できると思います。
残業が多い環境は避けたいということ?
残業が嫌というわけではありません。市役所時代は、あまりに仕事が暇で、もっと仕事が欲しい!と思い続けていたほどです。でも、節操のないサービス残業は不毛だと感じます。私だったら、仕事の内容やフローなどを徹底的に見直して、効率を上げ、皆が早く帰れる努力をしますね。実際、市役所時代に暇を持て余したのは、雑務の効率化を率先して進めたから…という背景もあります。これにより、もっと新しいミッションが回ってくることを期待したのですが、上司の妨害もあり、努力が空回りしてしまいました…。
効率化については得意であり、実績もあるのですね。ならば業界、職種という切り口ではなく、「忙しい会社」こそが田渕さんが向いていて、かつ力を発揮できる環境なのではないかな?例えば、設立して間もないベンチャー企業など、まだ体制が整っておらず、離職率も高いという会社です。「一般企業から公務員に転身しましたが、業務に無駄が多く、率先して効率化を進めていたら一気に暇を持て余すようになってしまい、危機感を覚えて退庁しました。できるだけ忙しい環境に身を投じて、業務改善に力を尽くしたいと思い、御社を志望しました」と、退職理由から志望動機に一本の軸が通ります。「忙しい環境で、自分が得意な効率化を推し進めたい」と言われれば、多くの企業は興味を惹かれるはずです。
なるほど…言われてみれば話の筋が通っていますね。少し視界が開けてきました。…ちょっと話は脱線しますが…今お世話になっている人材紹介会社の1社には、今お話ししたような希望や、自分の強みを一生懸命伝えているのですが、希望外の求人を敢えて持ってきたりするんですよね。すべての人材紹介会社がそうだとは思いませんが、とても非効率に感じてしまいます。私が人材コーディネーターだったら、もっと一人ひとりの求職者に寄り添い、できる限り希望に添うべく努力したいと思うのですが。
今の話、非常に興味深いですね。応募先企業の中に、いっそ「人材紹介会社」も加えてはいかがでしょう?求職者が抱える悩みは実にさまざま。田渕さんが図らずも経験した「パワハラ」だって、同じ経験をした求職者に親身になれるというメリットに変わります。また、専門性を持った比較的小規模な会社が多く、どこも少人数でたくさんの業務を回しているので、効率化の部分で貢献できる場面も多いはずですよ。
確かに…!視野が広がりました。候補の一つとして考えてみます。
なかなか転職先が決まらず自暴自棄になり、何をしたいのか見失っていました。Dr.門野と話し合う中で、やりたい方向がおぼろげながらわかってきた気がします。また物事の一面だけ見て断定しがちで、視野も狭かったと感じています。もっと視野を広げ、活動をし直したいです。(田渕さん)
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- 伊藤理子
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- 平山諭