転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 直近2年で3社を経験したせいか、なかなか内定につながらない
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2012年6月20日
井元 徹さん |
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消費者金融会社2社で営業を約13年担当したのち、不動産業界に転身。2社で仲介営業に携わるが、いずれも半年余りで辞め、その後勤めた金融会社も5カ月で退職。失業期間は4カ月になろうとしているが、なかなか内定を得られずにいる。 | |
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学校卒業後、消費者金融会社2社で13年間、営業として働きました。営業成績は良く、部下を率いる立場にもなったのですが、貸金業法の改正で会社の経営が立ち行かなくなり、業界全体の先行きも見えなくなったことから別の業界への転職を決意しました。ちょうどそのころマンションを購入し、「一生に一度の高額な買い物に携わる営業をやってみたい」と不動産業界に転身したのが2年前です。
その後、3社を経験しているのですね。そして今は、3社目もお辞めになっていると。
はい、そうなんです。面接に進んでも、開口一番、「何で2年に3社も勤めたの?」と聞かれます。
何と答えているのですか?
転身後、最初に勤めた不動産会社は、雑務しかやらせてもらえませんでした。ベテラン営業が顧客とやり取りし、下っ端はそのフォローばかりなんです。このままでは受注の機会がなく給与も上がらないし、ずっと第一線で活躍してきたので営業がやりたくて我慢ならなくなり、不動産仲介のベンチャーに完全歩合制の営業として転職しました。そこは未経験者にもどんどん仕事を任せてくれる社風で、早くから実績を上げることができたのですが、激務で睡眠時間が満足に確保できず、半年経ったころに体を壊して入院してしまったんです。退院後は、経験の長い金融業界に戻りましたが、すぐに高い営業成績を上げることができてしまい、営業としての手ごたえが感じられなくて。ワンマン経営の会社だったので、管理職になれるチャンスはなく、もっと成長できる環境でマネジメント層を目指したいと考え、職務経歴的には不利であるのを自覚したうえで半年間で辞めました。…このようなことを、面接では話しています
なるほど。ご自身が面接官だとしたら、こう説明されて、どのような感想を持ちますか?
理由がどうあれ、短すぎると…。次の道をこうと決めたら、すぐ突っ走ってしまうから、うちに来てもすぐに辞めてしまうのでは?と思われるのかな。実際、他人に助言を求めることはなく、ほほ自分で決めて行動してしまうタイプなんです。
確かにそうですね。加えて私は、井元さんが何をしたいのか、全く見えてこないことが気になりますね。次の転職では、何をしたいと思っていますか?
業界は違えど、営業として一貫したスキルを積んできました。営業には自信がありますし、顧客とのコミュニケーション経験も豊富です。これらの経験を活かして、業界は問わず、顧客とじっくり向き合いニーズを探る「コンサルティング営業」がしたいですね。数字はしっかり挙げるので、その成果を正当に給与で評価してほしいとも思います。また、そろそろ管理職も目指したいと思っています。
不動産業界には、もう未練はないの?体を壊した後、あっさり金融業界に戻っているけれど…。
2社を経験して、不動産会社はどこも未経験者にじっくりノウハウを教えてくれる体制がないと感じたんです。もう37歳ですし、あまり回り道はしたくないんです。それに、不動産業界の求人は、基本給が低く、歩合で稼ぐというものが多く、完全歩合制のところも多いんです。でも、2社目で完全歩合制を経験して、「自分が倒れたら収入がゼロになる」怖さを味わって…。不動産営業ならではの給与水準の高さには魅力を感じるのですが…。
うーん、言っている内容が矛盾しているんだよなあ。その矛盾が、面接官にも伝わっているんじゃないかな。
え!?どこが矛盾していますか??
金融業界で長らく営業経験を積んで、営業力には自信があるのですよね?なのに「じっくり教えてくれる体制がないから不動産業界はもう止めたい」と言う。業界は違っても、営業スキルは必ず活かせるものです。ノウハウを教えてくれないならば、自分で学ぶぐらいの気概も必要です。その努力もせずまた別の業界に移ろうとする人に、「営業力がある人」というイメージは到底持てません。また、「完全歩合制はイヤ」「と言いながら、「成果は給与で報いてほしい」とも言う。どれもかみ合っていないんです。
…言われてみれば…。どれもうそではないのですが、矛盾していますね…。
だから「この人は、本当は何がやりたいのか」が見えてこないんです。今までの話だけを聞いていると、イケイケドンドンの一匹狼として、歩合率の高い営業に就くというのが一番向いているように感じますし、企業側とのマッチング度合いも高いと思います。そういう求人に応募したら、すぐに内定が出ると思いますよ。でも、それ以外の営業、すなわち顧客とじっくり向き合うコンサルティング色の強い営業を採用したい企業は、井元さんに対しては「営業に対するスタンスが違う」「マネジメントを任せられそうにない」という評価を下す可能性が極めて高いでしょう。
…私の発言からは想像できなかったかもしれませんが、本当は営業テクニックでモノを売るのではなく、顧客のニーズをじっくりヒアリングして最適のものを提案し、相手に心から納得して買ってほしいという志向が強いです。また、必ずしも一人で営業してきたわけではなく、金融会社時代は部下を育成し、チームをまとめ、チーム全体の売り上げUPに努めてきた経験もあります。
ならば、その部分を思い切り前面に押し出してアピールすべきですよ。なまじ、井元さんは口がうまく、立て板に水の如く話す。思ったことを次々話すのではなく、意識して「自分の気持ちを伝える努力」をしないと、口八丁手八丁の印象ばかり残り、ますます「コンサルティング営業」「マネジメント志向」という印象から遠ざかります。自分の会話をコントロールする練習をしたほうがいいですよ。
確かに、ついしゃべりすぎるきらいがあるかも…。気をつけます。
あと、直近3社について批判的な言葉が多いのも気になりますね。採用しても、また理由をつけて辞めてしまうのでは?という印象を持たれてしまいます。例えばですが、「短期間で辞めてしまったものの、この3社を経験したことはいい勉強になりました。営業経験を活かしつつも、時間をかけて顧客にじっくり向き合えるコンサルティング営業に挑戦したいという目標ができました。だからこそ、それが実現できる御社を志望したんです。御社で腰を据えて働き、次のステップを目指したいと思っています」などと言われたら、筋が通っていますよね?紆余曲折はあったものの、今はやりたいことに向かってまっすぐ進んでいる印象です。もちろん、「せっかく想いを持って不動産業界に転身したのに、安易に飛び出したことを今では後悔しています。再び不動産業界に戻って、仲介だけでなく賃貸や土地開発など幅広い知識をつけ、不動産営業のプロになりたいと思い、御社を志望しました」という言い方もできるはず。
なるほど…。
もう一度、自分が何をしたいのか、今後どういうキャリアを歩みたいのか、じっくり考えてみてください。今の井元さんは「これができるから、志望します」という、自分ができることの話になっていますが、「こんな経験を経て、これがしたいと思ったから、志望します」と今後やりたいことから話すようにしてください。じっくり将来を考えた結果、就きたいと思った仕事であれば、過去がどんなに紆余曲折であっても必ず一本の軸が通りますよ。
わかりました。改めて自分の想いを整理してみます。
自分の考えや発言にここまで矛盾があるとは思っていませんでした。なかなか自分では気づけないだけに、ビシビシ指摘してもらってありがたかったです。おっしゃる通り、やりたいこととできることが整理できていなかったですね。今一度、自分に向き合ってみます。(井元さん)
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