連載化! Dr.門野の転活悩み相談 あなたが受からない理由、診断します

転職活動の悩み、何でも相談してください

(株)リクルート 門野友彦

1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。

2012年2月22日

今週の相談者

3年間家庭教師を経験。過去に10年携わったIT営業に戻りたい勝俣さんの場合

勝俣 仁さん
(仮名・41歳)

プロフィール
IT系ソリューション企業7社で営業を経験。2008年に、7社目を契約満了で退職した後、一時的に始めた家庭教師が評判となり、3年間20人以上の中高生を担当する。受験指導がひと段落し2011年秋から転職活動を始めたものの、書類落ちが続いている。
現状
  • ・約10年間、ITソリューション営業に携わってきた。この分野の仕事に戻りたいが、書類選考で落ち続けている。経験は十分活かせると思っているのに、なぜ落とされるのだろう?
  • ・3年間の家庭教師経験は、応募先企業には「ブランク」だと判断されているのだろうか。このまま書類が落ち続けるようならば、塾講師など家庭教師の経験が活かせる職種に目を向けたしたほうがいいのだろうか?
相談者:勝俣さんDr.門野

診断スタート

転職回数の多さ、ブランク、年齢が、ネガティブに捉えられているのか

今までにIT系企業7社で、ソリューション営業に携わってきました。スキルアップを目指した転職がほとんどでしたが、会社の倒産、事業縮小による部署の閉鎖などで転職を余儀なくされたケースもありました。最後の勤務先は契約社員の扱いだったので、任期満了で2008年に退職、すぐに転職活動を始めたのですがなかなか決まらなかったので、生活のために軽い気持ちで家庭教師を始めたんです。すると評判が広まり、気がつけば20人もの中高生の受験指導を受け持つことになり、転職活動どころではなくなってしまって…。ようやくほぼ全員の合格を見届け、家庭教師の仕事もひと段落ついたので、昨年の秋口から転職活動を始めましたが、書類選考を突破できないんです。

今までに何社ぐらいに応募して、何社の面接に臨みましたか?

24社に応募して、面接に進んだのは4社です。ITソリューション営業をメインに、営業関連の求人には業界を問わず応募しています。しかし、希望のITソリューション営業はことごとく書類落ちで、書類選考が通ったところは映像会社のプロデューサーとかインテリア会社の営業など、「なぜこんなところが面接に呼んでくれるのか?」と思うところばかり。なぜ経験がストレートに活かせるのに、ダメなのでしょう?やはり転職回数の多さがネックなんでしょうか?それとも家庭教師の期間がまるまるブランクと捉えられているのでしょうか?

24件中、4件通過というのは、年齢を考えれば決して低い数字ではないですよ。自信を持ってください。希望の求人に通らないということですが、思わぬところから面接に呼ばれているということは、今までの経験が「異業界でも適性がある」と評価されているということ。もっと幅広い求人に応募してみて、企業がどの経験を評価するのか量ってみてはいかがでしょう?中には異業界でもピンとくる求人もあるかもしれません。そもそも、半年間で24社にしか応募していないなんて、少なすぎます。もっと数を増やしてください。

なるほど、わかりました。もっと視野を広げてみます。…でも、ITソリューション営業の仕事が好きなので、できることならばその道に進みたいんです。この分野の書類通過率を上げるには、どうすればいいのでしょう?書類のどこを直せばいいと思いますか?

気になったのは、勝俣さんの「強み」が見えないことです。今までの経験を、できるだけコンパクトにスッキリまとめようとしていますが、長く経験を積んできた人ならではの「一貫した強み」が伝わってこないんです。

でも…転職回数は多いし、家庭教師は全くの異職種だし…。

ご自身がネガティブに捉えていてはダメですよ。どうしても書類作成時に影響し、書類からネガティブさがにじみ出てしまいます。ぜひ転職回数の多さも家庭教師経験も前向きにとらえてアピールしてください。そもそも勝俣さんは、10年間ソリューション営業に携わってきたのですよね?会社は違っても、キャリアは一貫しています。自信を持って、ソリューション営業のプロとして、自身のスキルと強みをアピールするべきです。

なるほど…。

これが原因!

ネガティブ要素にとらわれ過ぎて、肝心の「強み」のアピールがおろそかに。なぜ一度離れたIT業界にまた戻りたいのか、その「思い」と「覚悟」も伝えるべき

まずは、今の勝俣さんの自己PRを見返してみましょう。「約10年にわたってソリューション営業に携わり、さまざまな商品をクライアントに提案してきた。より良いものを作り上げるために、クライアントと密にコミュニケーションを取り、成果を上げてきた」とありますが、長く経験を積んできた人の自己アピールとしては少し弱いし、具体性がないので勝俣さんの個性が見えてきません。だからこそ、「即戦力がほしい」同業に評価されづらいのだと思いますよ。10年間で培った業務レベル、コミュニケーションレベル、仕事へのこだわり。これらが説明されていると、勝俣さんがどんな人で、どれぐらい仕事ができる人か判断しやすくなります。…コミュニケーションという言葉が書類でよく出てきますが、勝俣さんは、顧客とどのようにコミュニケーションを取ってきたのですか?

ソリューションに対するクライアントの要望は、常にあいまいです。「いいものが欲しい!」という要望はあるけれど、頭の中でぼんやり想像しているだけで、言語化されていないケースがほとんど。それをできるだけ聞き出して、顧客とすり合わせ、具体的にカタチにしていく作業が大切です。私の場合、クライアントと何度も要望をすり合わせ、独学でIllustratorやPhotoshopを覚えて少しずつ要望を形にして、その都度「こんなイメージですか?」と目で確認してもらうようにしました。ときにはけんかをしながらも、とにかくしつこく要望を聞き出し、イメージにより近い商品を作る努力をしました。すり合わせの過程では、クライアントには相当嫌われていたと思いますが(笑)、いざ商品ができあがると「希望通りのものができたよ、ありがとう!」と感謝していただける。それが嬉しくて…。だからこそ、この仕事に戻りたいんです。

いいお話じゃないですか。勝俣さんの強みは、クライアントの漠然とした欲求を引き出し、整理して、形にすることができる点といえますね。

はい。それは自信を持って言えます。ただ要望を形にするだけでなく、先方の予算も踏まえたうえで「最適の形」を考えることにこだわりました。予算が足りなければ、ビジネスモデル自体を見直すべきだとクライアントに提言したり、「この商品ができたら他社にも展開できるから、多少先方予算が足りなくてもペイできます!」と上司を説得したこともあります。

今の話を聞いていると、家庭教師の仕事も似ているという印象を受けました。志望校はあるけれど、学力がまだ伴わない。教え子の得意、不得意をじっくり見極めて、伸ばすところは伸ばし、足りないところは強化して、より志望校合格に近づける。ときには「志望校を変えるべきだ」と提言することもあるわけですよね?そして、教え子が合格したら感謝され、大きな喜びを感じられる。…このまま家庭教師として独立するという道は、考えなかったのですか?

うーん、確かに考え方としては近しいものがあるし、得られるやりがいも大きいと思います。でも、教え子が合格しても、感謝の言葉以外に得られるリターンがないんです。自分の知識を吐き出すばかりで…。営業時代は、クライアントと折衝する中でさまざまなケーススタディを得られましたし、ITの知識も日に日に高まっていると実感できました。もっと現場で、経験を活かしつつも学びたい。まだまだ上を目指せるって思っているんです。

なるほど。非常にわかりやすい志望動機ですよ。おそらくIT系企業の人事の多くは、勝俣さんの書類を見て、「一度はITから離れたのに、また戻ってくる理由がわからないから不安」という印象を持つと思うんです。だからこそ、なかなか転職先が決まらず、ほんの短期間のつもりで家庭教師を始めたところ評判が評判を呼んでなかなか辞められなかったこと、しかし家庭教師の仕事は「持っている知識を伝える」という一方的な行為であると感じ物足りなさを覚えたこと、営業としてクライアントと丁々発止のやり取りをしつつ、クライアントの漠然とした要望を形にして、より良いソリューションを生み出すことこそが自分が得意とする分野であること…を書類でしっかり伝えるべきです。

そうか…そのようにまとめれば私の思いが伝わりそうです。少し道が開けてきました!

ぜひそうしてください。あと、もう1つだけアドバイスを…。勝俣さんは少ししゃべりすぎるきらいがありますね。言われたこと、ありませんか?

はっ!そうですか?!確かに、沈黙が苦手で、シーンとしているとつい自分からしゃべってしまうところはあります。

私が話している途中で会話を差し挟むというシーンも、何度かありました。コミュニケーションのクセだとは思うのですが、ご自身の会話を少しコントロールする努力をしたほうがいいでしょう。今のままでは「人の話を聞けないタイプ」と判断される恐れがあります。ソリューション営業は特に、クライアントの話を聞く力が求められます。勝俣さんは、実際に今まで成果を上げてきているから、仕事におけるコミュニケーションは問題ないのでしょうが、「この人、本当に顧客の課題を聞き出せるのかな?」と思われたらもったいない。難しいトレーニングは必要ありません。まずは相手の話を最後まで聞く。沈黙を恐れない。これだけで、ぐっと印象が変わるはずですよ。

なるほど、気づきませんでした…。これからは会話にも気を配ります。

診断を終えて…

転職回数など、ネガティブな印象をいかに軽減するかばかり考えていましたが、Dr門野と話す中ですべての経験がつながっていると気づけたのが収穫でした。また、話し方についても、自分では気づけないことなので、指摘してもらってよかったです。(勝俣さん)

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター
ILLUST
もりいくすお
PHOTO
TAKE

会員登録がまだの方

会員登録(無料)

会員登録がお済みの方

「今すぐ転職」にも「いつかは転職」にも即・お役立ち!リクナビNEXTの会員限定サービスに今すぐ登録しておこう!

1転職に役立つノウハウ、年収・給与相場、有望業界などの市場動向レポートがメールで届きます

2転職活動をスムーズにする会員限定の便利な機能

・新着求人をメールでお届け

・希望の検索条件を保存

・企業とのやりとりを一元管理など

3匿名レジュメを登録しておくとあなたのスキル・経験を評価した企業からスカウトオファーが届きます

会員登録し、限定サービスを利用する

※このページへのリンクは、原則として自由です。(営利・勧誘目的やフレームつきなどの場合はリンクをお断りすることがあります)