転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 書類は高確率で通過するのに、一次面接でほとんど落ちてしまう
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年5月18日
岩谷幹男さん |
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新卒でマンション分譲会社に入社し、営業を1年間、営業サポートを6年半担当する。昨年末で退職し、初めての転職活動に臨んでいるが、書類は高い確率で通過するにもかかわらず一次面接でほとんど落ちてしまう。 | |
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新卒で分譲マンション販売会社に入社し、営業を1年、営業サポートを6年半担当しました。営業サポートでは、100人ほどのテレフォンアポインターのマネジメントを手掛けるかたわら、資料送付リストを作成・分析したり、売り上げ管理、顧客管理データを作成するなどして、営業が活動しやすい環境づくりに努めてきました。昨年いっぱいで退職し、同様の職種を中心に幅広く応募しているのですが、ほとんど一次面接で落ちてしまいます。
どれぐらい面接に進んでいるの?
応募した数は50社ぐらいで、書類通過は35社です。でも、二次面接に進んだのは2社のみで、その2社も内定には届きませんでした。
ほう、書類通過率が非常に高いですね!でも一次面接の通過率は5%か…。こう言っては何ですが、ちょっと「落ちすぎ」ですね。
そうなんですよ!何が一番の原因なんでしょうか?どこをどう直していいのかわからず、困っているんです。
では、前の会社を退職した理由を教えていただけますか?
そうですねー、面接の場では、「営業サポート業務を6年以上経験しましたが、今後のスキルアップを考えたときに、この会社にいては限界があると感じたんです。そのため、新しい環境で新たにスキルアップを目指したいと思い、退職しました」と答えています。これも理由の一つなのですが、一番大きな理由は、経営陣同士でいざこざがあったり、経営不振でリストラがあったりしたことで、会社に嫌気が指したことですね。まあこれは面接では話せませんけれど。
「次の環境でスキルアップしたい」ということですが、岩谷さん自身はどのような将来像を描いているのですか?
ひとつの道を究めるのが大切だと思うので、経験を活かして総務や人事職か、もしくは事務系の裏方業務をオールラウンドにやりたいですね。会社の裏方業務を一手に引き受けたいという思いがあります。
総務、人事、事務系の裏方業務ですか…なぜこれらの仕事をやりたいの?
前職は営業サポートですが、よく総務部とやり取りしていたんです。だから総務の仕事に興味があったんです。人事は、テレフォンアポインターのマネジメントをしていた経験が活かせるかなと。また、営業事務や一般事務系ならば、今までの経験がフルに活かせると思うんです。
いま岩谷さんがおっしゃったことは、「これらの仕事がやりたい理由」ではないですよね。総務も人事も、「少し関わったことがあるから興味がある」と言っているだけ。さっき言っていた「スキルアップしたい」という退職理由と、全く整合性がありませんね。総務や人事の仕事のどこに魅力を感じ、自分が関わることでどんな価値を生み出し、その結果自分がどれだけスキルアップできると思うのか、全く考えていないのでは?
…た…確かに…。
辞めた理由と、希望している理由の整合性が取れていない人は、経験が活かせるとは思えないので、採用したいとも思いません。「どの道をどう究めたいのか」が見えないことが、岩谷さんの一番の課題です。
そうですか…。
岩谷さんは、新卒で入社した会社に8年近く勤め続け、マネジメントも経験して頑張ってこられた。それが書類の中で読み取れたから、面接に呼んでいるのです。でも、肝心の面接の場で、「当社のこの職種に就きたい理由」が伝わらないから、落ちているのだと思いますよ。例えば、もし本当に総務職に就きたいならば、総務の仕事内容を調べ上げ、ご自身の経験と比べて「この経験がこう活かせる」と明確に言えるはず。それが言えない状態では、総務の経験者に勝てるはずありませんよ。
おっしゃる通りです…ではまず、私は何をすればいいでしょう。
岩谷さんは32歳。未経験分野への挑戦は難しいと思います。そのため、まず今までの業務を通してどういうスキルを身につけてきたのかを棚卸ししましょう。自分の強みが何なのか、自分で明らかにすることが第一歩です。それを明らかにできたら、応募書類の中で要点を絞ってきちんとアピールしましょう。アピールポイントが整理できていなければ、面接の場でも整理して話せませんよね?
なるほど…。
ではさっそく棚卸ししてみましょう。応募書類を見ると、岩谷さんは営業担当者の仕事がはかどるように、データやリストを整理するなど「業務改善」に注力されたのではないですか?「売り上げ管理、顧客管理システムを作って営業が動きやすいようにした」「営業アプローチ先のバッティングが続いたことを受けて、検索システムを作った」などとありますよね。業務改善経験は、大きなアピールポイントになります。
そうです、そうです!営業担当者が働きやすいように、いろんなことをしてきました。そう考えたら、いろいろ工夫したなあ…。営業一人ひとりが夏休みを取りやすいように、営業部での休暇管理システムを作ったり、預り証の作成を代行したり…そうかこういうことも全部書くべきだったんだ…!
いやいや、岩谷さん落ち着いてください!そんなことは言っていませんよ(苦笑)。ただやったことだけ羅列しても意味はないし、応募書類が長くなるだけです。「営業がこういうことに困っていたから、こういう手立てを講じた」と整理して説明しないと、「業務改善を手掛けた」とは判断できませんよ。
はっ!…失礼しました。営業からの要望も拾うようにしていましたし、営業本部長にヒアリングして、われわれ営業サポート部門が代行できることはないか探り、迅速に業務改善につなげました。また、1年とはいえ営業を経験したことがあるので、営業の気持ちが少なからずわかるのも強みだと思っています。
いいですね。その強みを軸に、応募書類をまとめ直しましょう。そうすれば、書かれた強みをベースに面接での会話が進むので、今までよりかなり面接での印象が良くなると思いますよ。
なるほど!わかりました。
あとは、面接でのコミュニケーションの取り方にも注意してくださいね。岩谷さんは早口だし、早とちりの傾向もあるようです。相手の質問の初めの言葉を聞いたところで、答えを考え始めてしまううえ、それを相手に伝えなければ気が済まないところがある。まずは相手の話を最後まで聞き、答えるべきことを整理して伝えるよう心がけましょう。一度、自分が話している姿をビデオに録画して、客観的に見てみるといいかもしれませんね。
ああっ、確かに!気をつけます!
強みのとらえ方、まとめ方が全く的外れだったのですね。なぜ今まで気づけなかったのだろうと悔しい思いです。話し方についても、「早口」はよく指摘されていました。相手の話を最後まで聞くように心がけて、面接でのコミュニケーション改善を図ります。(岩谷さん)
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