転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 以前勤めていたアニメ業界に戻りたい。しかし面接で落ちてしまう
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2011年3月2日
三屋華代さん |
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新卒でアニメ制作会社に入社し進行担当となるが、自分の手で作り上げる立場になりたいと1年足らずで退職。しかし転職先が決まらず、生活のため行政法人の一般事務に就く。仕事のかたわら映像編集系の募集に応募するが、書類は通っても一次面接で落ちてしまう。 | |
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アニメや映画が大好きだったので、新卒でアニメ制作会社に入社しました。その世界では有名で規模も大きい制作会社で、仕事そのものは楽しかったのですが、とにかく激務で薄給でした。加えて、仕事を覚える中で「自分の手でアニメ作品を作り上げる編集職に就きたい」という思いが強まったのですが、その会社は制作プロデュースの専門集団。そのまま勤めて、プロデューサーの道を極めるという方法もあったのでしょうが、周りのレベルがあまりに高すぎて、私にはとてもなれないと思ったんです。早く方向転換したほうがいいと思い、1年足らずで退職してしまいました。
なるほど。でも次に就職されたのは、行政法人ですね?
はい…。辞めてから転職活動を始めたのですが、すぐには決まらず、生活のため場つなぎ的に入社したんです。前職では会社の寮に入っていたので、家賃などの生活費負担が一気に増えてしまって、無職のままでは活動できませんでした。今の職場では一般事務を担当していて、比較的早い時間に帰れるので、求人を探しては応募し続けています。でも、書類は通るのですが、一次面接でほぼ全滅です…。
どんなところに応募しているの?アニメ系?
いえ、まずはスキルを身につけたほうがいいと思ったので、募集が比較的多くて、未経験でも受け入れてくれる、テレビ番組の編集職に応募しています。まずは映像編集を覚え、ある程度のスキルをつけてから、アニメの道に行けたらいいなと思っています。
でも面接で落ちてしまうと。
そうなんです。「なぜこの仕事に就きたいの?」と聞かれても、うまく説明できなくて…。「映像が好きだから」と答えると、「それは大前提でしょ」と言われてしまうし、「編集の仕事を覚えていつかアニメの制作に就きたい」と言うと、「じゃあなんで前の会社を辞めたの?」と聞かれてしまう。そうなると、もう何を答えればいいのかわからなくなってしまって…。
こう言ったら申し訳ないですが、三屋さんはアニメ制作の世界に1年もいなかったのですから、スキルも実績もないに等しい。にもかかわらず書類に通っているのは、一度辞めた世界に戻ってこようとしている三屋さんに、可能性を感じているからです。だから、面接では何より「この仕事にかける思い、やる気」を見たい。なのに、「なぜこの仕事なのか」という答えに詰まってしまっているようでは…採用はできませんよね。
うーん、おっしゃる通りなのですが…(うつむく)。
考えすぎると言葉に詰まってしまうようですから、作らず、素直な気持ちを聞かせてください。編集になって、何がしたいと思う?
子どものころからいろいろな映像を見て、大きな影響を受けてきたので…そんな映像作品を作ってみたいです。
どんな映像を見ていたのですか?
アニメが中心ですね。実写よりも、ロボットものとか、非日常で独特の世界観のあるものが好きで。自分が物語の世界観から考えて、監督と連携を取って作品を作り上げ、広めたいという思いがあります。
なるほど。三屋さんは、まずはアニメの世界に戻りたいんじゃない?今お話しされていた時、とても目が輝いていたし、言葉もしっかりしていましたよ。
確かにアニメは大好きです。でも、好きと言っても一度辞めたわけですし、言い訳がつかないですよね。…前の会社を辞めてから、なんだかすべてに自信がなくなってしまって…。面接で「何で辞めたの」と言われるたびに、自分でも何で1年足らずで辞めてしまったのだろうと後悔するんです。だから面接でもオドオドしてしまって、「1年足らずで辞めた理由、ほかにあるんじゃない?大きなミスをしたとか?」など、要らぬ誤解を受けてしまうこともあるんです。
過ぎたことを後悔しても、しかたありませんよ。それに、三屋さんはちゃんと自分で決断して、前の会社を辞めたんじゃないですか。前職でアニメの制作進行を覚える中で、作る側に回りたいと思ったんですよね?編集部門がなかったから、転職して修行したいと思った。すぐには転職先が決まらず、一時的に事務職に就いているが、編集として働きたいという気持ちに変わりはないから、働きつつ転職活動をしているんですよね?一応、筋は通っているじゃないですか。
はい、確かにその通りです。
ただ、話をうかがっていると、アニメを作りたいという気持ちは伝わって来たのですが、「映像編集をやりたい」という明確な理由が見えてきませんね。
「アニメの編集」に就けたら、もちろん最高なのですが、募集は少ないし、そもそも経験がないから無理です。
ならば、まずはアニメの世界に戻ることを優先しては?編集部門も持っているアニメ制作会社に、とにかく一度飛び込むんです。いきなり編集が無理なら、それこそ前職の制作進行とか、事務周りでもいいかもしれません。その中で、自分がやれること、スキルアップにつながることを探していくのが近道では?
なるほど。確かにそうかもしれません。
ただ…前職は、激務で薄給とおっしゃっていましたよね?確かに、クリエイティブの世界はそういうところがあります。好きじゃないと、とうてい務まらない。ましてや次は、前職よりもどうしても小規模になるでしょうから、生活は厳しくなるかもしれませんよ。
前職を辞め、現在は9時〜5時の会社で一定水準の給与をもらい、安定した生活を送っています。しかし、アニメの世界を離れてみて、モノを生み出す喜びがどれだけ大きかったのか、気付かされました。制作進行という補佐的な立場ですが、自分がかかわったアニメ作品がテレビに流れた時の感動…!寝る暇もないほどしんどい現場だったとしても「また次も頑張ろう」と思える、あの気持ちをもう一度味わいたい!と思ったんです。
三屋さん、それって立派な志望動機じゃないですか。いったん別の企業を経験したからこそ、気付いた思いでもありますよね。話し方も堂々としていたし、さっきまで下を向いてオドオドしていた人とは思えない(笑)。そういう心からの思いと、覚悟のほどを面接で伝えましょう。
こんなストレートに、伝えても大丈夫なんですか?
三屋さんの場合は、「こんなこと話しちゃだめかも…もっときれいに言わなくては」と考えすぎてオドオドすると逆効果。本心、本音を話したほうが筋が通るし、想いも伝わりますよ。あらゆるアニメ関連の募集にどんどん応募して、面接の場数を踏むといいでしょう。三屋さんの気持ちは、きっと伝わりますよ。
スキル不足と1年足らずの退職に後ろめたさを感じて、うまく思いを伝えられずにいました。口下手だから、話し方にも自信も持てなくて…。でも、自分の気持ちに正直に、本心を伝えたいと思います。次はとにかく全力でぶつかってみます。(三屋さん)
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- 伊藤理子
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