転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 中小企業の役員経験者。成長企業への転職を目指すが書類落ちが続く
(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年4月7日
大谷正博さん |
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食品メーカーなど数社を経て、3年前にコンサルティング会社に入社。総務人事、経理など管理部門全般を任され、1年後には取締役に昇格するが、経営陣の方向性と合わず転職を決意。就業しながら転職活動を始めたものの、なかなか書類が通らず悩んでいる。 | |
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40人ほどの規模のコンサルティング会社で、管理部門の役員をしています。しかし、経営トップに成長意欲と組織改革意欲がなく、もっとアグレッシブな組織で活躍したいと思い転職活動を始めました。しかし、すでに30社以上に応募しているのに、そのほとんどが書類選考でNG…。何が悪いのかわからず、悩んでいます。
では、応募書類を拝見しましょう。…ふむふむ、とてもわかりやすい内容ですよ。初めに入っている職務要約もポイントをつかんでいるし、過去の経歴も一目でわかります。今はどんなルートを使って、どんなポジションに応募しているのですか?
主に転職エージェントを使っています。業種には特にこだわりがなく、経理部長や管理部長、人事部長などの職種に応募しています。組織としてまだ完成し切れていない若い会社で働きたいので、企業規模は100人以下のところが第一希望ですが、最近は規模にこだわらず希望のポジションがあれば応募しています。
経理部長、管理部長などとなると、欠員募集がメインのポジションですね。決して多くはない求人ですから、できるだけ多くの転職手段を活用しましょう。転職サイトもご覧になったほうがいいですし、転職エージェントもできるだけ多く登録してルートを増やしたほうがいいですね。大手のエージェントだけでなく、中小のエージェントで特定領域の求人案件に特化し、管理職や役員クラスの求人を抱えているところは数多くあります。
なるほど。視野を広げてみます。
あとは…最善を尽くすために、応募書類も少し見直しましょうか。今のままでもいいと思うのですが、些細なところで書類通過率を下げている可能性があります。ちょっとした言葉づかいに、気を配ってみましょう。
言葉遣い、悪いところありましたか??
いえいえ、悪くはありませんよ。でも少しだけ言葉が「強い」のです。主に、この自己PRの部分。経営陣として働く覚悟についてや、部下に対するマネジメントスタイルについて書かれていますね。大谷さんの個性や思いが伝わりますが、書き方が少し「尖っている」印象を受けます。たとえば、「不平等に部下を指導育成する」とかね。その後の説明で、均一的なマネジメントではなく、個々のタイプや個性を活かしたマネジメントスタイルを指しているのだとわかりますが、「個性が強い人なのかな…」と敬遠する企業もあるかもしれません。
ベンチャー企業の社長が見ることを意識して書いたのですが…強すぎましたかね。
ベンチャー向けなら、このままでいいと思いますよ。個性やポリシーが強く伝わりますし、大谷さんのように自分の意志を強く持った人に全体を率いてほしいと思う人は多いはずです。でも、応募している企業はベンチャーだけではないですし、ポジションは部長クラスが多いのですよね?そうなると、「この人、うちの役員の下でやっていくには個性が強すぎるのでは」と思われる恐れがあります。なので、ベンチャー以外向けにもう1パターン、自己PRを考えてはどうですか?
少しトーンを落とせばいいでしょうか?
それに加えて、「こういう経験があるから、御社にこう貢献できる」というように構成を少し変えたバージョンを作ってみては?現状ですと、経営陣としての覚悟やポリシーを伝えるにとどまっていますが、「これらの経験をベースに次はこう活躍したい」までを伝えると、より幅広い企業に「当社での活躍イメージ」を抱いてもらえると思いますよ。
そうですね。そのパターンも作ってみます。
…そもそも、今の会社をお辞めになりたいと思った理由を、今一度具体的に教えていただけますか?
入社するまでわからなかったのですが、組織が硬直化していて、経営陣もなれ合いの状況でした。新しいことはもちろん、ちょっとした変革も良しとしないんです。このままいても、自分自身の成長がない。もっとアグレッシブな組織で力を発揮したいと思ったんです。
なるほど。お気持ちはわかりました。でも、面接では少し内容を変えて伝えたほうがいいですね。採用側としては、「そういう組織の中でやるべきことはやったのか?」と疑問に思うはず。「最善の努力はしたもののムリだった」という部分も一緒に伝えましょう。…どうですか?この3年間で、どんな働きかけをしましたか?
入社してから、ムダの多かった組織の集約に注力しつつ、さまざまな事業提案をしてきましたが、どれも受け入れられませんでした。経営陣の一角として危機感を持ち、手を変え品を変え経営トップに提案し続けたものの、どうしても叶わなかったんです。
なるほど、いいと思います。30代のうちに、成長企業でいちマネージャーとして再スタートを切りたいという覚悟とともに伝えると、より効果的でしょう。
わかりました。自己PRとともに改めて考え直してみます。
大谷さんはコミュニケーション力が高く、一つひとつの発言にも力があります。面接のチャンスが増えれば、内定は近いと思いますよ。ほんのひと工夫で、書類の印象はグンと変わるはず。企業に合わせて使い分けてみてくださいね。
書類を読み返してみると、確かにベンチャー以外のことをあまり考えていなかったかも…。さっそくもう1パターンを作ってみます。転職エージェントももっとたくさんのところに目を向けて、少しでもチャンスを増やしたいと思います。(大谷さん)
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