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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2010年2月24日
広瀬達朗さん |
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外食産業で調理全般を経験した後にネットの世界へ。モバイルサイト運営会社などを経てWeb制作会社に入社。ディレクターとして活躍するが激務続きで過労で入院したのを機に昨年6月に退職。Web制作会社中心に応募するが、面接の段階で落ち続けている。 | |
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モバイルサイト運営会社で約2年間、ファッションサイトの運営全般に携わった後、Web制作会社に転職。Webディレクターとして、顧客企業のモバイルサイト立ち上げ、運用、メルマガ配信など制作全般に携わり、人手が足りないときはデザインも手掛けました。しかし、スケジュール的に無茶な案件が多かったんです。納期ギリギリの時は徹夜続きで、とうとう過労で入院するはめになり、退職しました。
それは大変でしたね。それが昨年の6月なんですね。
はい。それ以来8カ月間、1社からも内定をもらえないでいるんです。
どんなところに応募していて、書類通過率はどれぐらいなのですか?
経験が活かせるWeb制作会社やECサイト運営会社のディレクター職がメインです。書類は7割がた通るのですが、ほとんど一次面接敗退ですね。
7割!それはすごい。広瀬さんの経験やスキルは評価されているということですね。でも面接で落ちていると…。何が原因だと思われますか?
それが、自分ではわからないんですよ。聞かれたことにはちゃんと答えているつもりなんですが、会話が盛り上がらなくて、10分程度で終わってしまうことが多いんです。
面接ではどんな質問をされることが多い?
志望動機と、前職の退職理由が多いですね。あと入社後にやりたいこと、とか。
なるほど。その質問には何と答えているのですか?
志望動機は、応募企業ごとに変えてはいますが、ベースとしては「今までの経験を活かしてさらにステップアップし、プロデューサーを目指したい」ということを話しています。退職理由は、「過酷な勤務体系により過労で倒れ、体が持たないと思ったから」と伝えています。入社後については、ホームページのある企業に関しては面接前にじっくり見て今後の展開イメージについて自分の考えを伝えつつ、「今まではディレクターで顧客と直接やり取りできなかったから、プロデューサーになって顧客と直接やり取りしたい」と話しています。
前職では、現場でデザインなども手掛けていたんですよね。Webデザイナーなどの職人系ではなく、プロデューサーになりたいのはなぜ?
前職では、基本の仕事はディレクターだったし、なんとなくデザイナーには向いていないと思うんですよね。転職でもう1ステップ上がりたいから、次はプロデューサーかなあと。
うーん、それじゃ思いが伝わらないなあ。志望動機の「経験を活かしてステップアップ」というのも、他力本願な印象で、「これがやりたいから」という強い思いが感じられない。そこが面接が突破できない原因だと思いますよ。
そ、そうなんですか!?
企業が面接で見ているのは、大きく分けて「この仕事ができそうか」「この仕事に就きたいと本気で思っているか」「当社の社風に合い、当社で成長していけそうか」の3つです。1つ目は、応募書類の段階である程度確認済み。2つ目と3つ目が面接の場で判断できなかったから、落ちているのだと思いますよ。
どうすればいいんでしょう…?
「プロデューサーになって顧客と直接やり取りしたい」理由は?
前職では、間に自社のプロデューサーを挟んでいたので直接顧客とやり取りできず、現場で苦労したんですよ。現場で発生した問題や確認したい事項を顧客に聞きたくても、顧客との窓口はプロデューサー。何かと非効率でした。顧客の要望もダイレクトに伝わってこないので、「ポイントがずれている」と指摘されることもたびたび。顧客と直でやり取りできる立場になってちゃんとプロジェクトを回せば、納期も短くて済むし、クオリティーだってもっと上げられる、と思って。
プロデューサーを目指す理由、そこに明確にあるじゃないですか。プロデューサーになってスケジュール管理を徹底し、顧客ニーズを把握して課題や要求をしっかり形にしたい。そして1つ1つの案件のクオリティーを上げ、売り上げアップに貢献したい…と伝えれば、「プロデューサー経験はなくとも、当社で価値を生み出してくれそうだ」と思ってもらえますよ。
なるほど…。想いはあったのですが言語化できていませんでした…。
「広瀬さんはプロデューサー経験がないですが、任せても大丈夫ですか?」と言われたら…ちゃんと返せます?(笑)
ハイ大丈夫です、というしかないですよね(苦笑)。
ただ「大丈夫」というだけでなく、その「根拠」も併せて伝えるといいですね。広瀬さんの場合、タフな環境の中で頑張ってきたという下積み経験、こうすればクオリティーを上げることができるのに…という現状についての問題意識、顧客の要望をくみ取り形にしようとする思いの強さが、「根拠」になると思います。
確かに。要望を形にするのは得意です。タイトな納期でしたが、締め切りを破ったことは1回もないですし、責任感も強いと思います。
いいですね、それも伝えましょう。プロデューサー経験はなくとも、顧客の厳しい要求にディレクターとしてできる限りこたえてきたという自信があるんですよね?今の話を聞いて、ぐんと頼りがいが増しましたよ(笑)。
それはよかった!
あとは退職理由も見直しましょう。「忙しくて体が持たないから」というマイナスの退職理由の裏には、「顧客と直でやり取りができなかったから、作業効率が悪く、必要以上に時間がかかってしまった」という理由があるんですよね?そこを伝えないと。
なるほど〜!
キツかったからと言うだけでは、もし同じような事態に陥ったら簡単に辞めるのかも…と取られてしまいますよ。ディレクターとして感じていたジレンマを解消するために退職を選んだ、御社でプロデューサーになり企画の上流工程から携わりたいと説明すれば、退職理由が自己アピールになりますよ。
わかりました!面接での答え方、全面的に見直してみます。
もやもやしていた思いに1本筋が通りました。不採用が続いて弱気になり、もう面接で余計なことを言うのは止めようと思っていたのですが、今日、思いが言語化できたので、これからは自信を持って話せそうです。(広瀬さん)
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