転職トップ > 転職成功ノウハウ > Dr.門野の転活悩み相談 > 24歳で退職勧告。SEとして新天地を目指すが書類落ちが続く
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(株)リクルート 門野友彦 1985年リクルート入社。企業内教育研修などの営業、企業向け組織人事コンサルティングを担当した後、リクナビNEXTの前身であるリクナビキャリアや、スカウトシステムの開発、運営に携わる。現在は、新たな人材マッチングサービスの企画・検討に注力。転職活動カウンセリング経験も豊富。 |
2009年11月25日

![]() 武本典行さん |
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専門学校卒業後、システム開発会社に就職して3年半。PG、SEとして3つの金融系システム開発に携わる。しかし突然の退職勧告に遭い、12月末で退職予定。一日も早く次を見つけるべく応募し続けているが、なかなか書類が通りにくい。 | |
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ゲーム開発系の専門学校を卒業後、システム開発会社で3年半、金融機関のシステム開発にかかわってきました。でも先日、いきなり退職勧告を受けまして…。12月末で退職なので、慌てて転職活動をしているのですが、なかなか決まらないんです。
24歳で退職勧告?それはなぜですか?業績が悪いの?
うーん、そこまで悪いとは思っていなかったんですけどね…。最後に関わっていたプロジェクトが、クライアントの業績不振で尻すぼみになったのですが、そこにいたエンジニアが総じて退職勧告を受けているようなんです。仕事には真面目に取り組んできたつもりなので納得は行かないのですが、もっといい企業に移るいい機会だと前向きに捉えて活動しています。

なるほど。今までに何社ぐらいに応募しましたか?
30社ぐらいに応募して、書類通過は4社ほどですね。でも一次面接の段階でいずれも落ちてしまいました。ネットワークエンジニアやサポートエンジニアなどに応募しているのですが、手掛けてきたのが汎用機中心で、オープン系の実績がないから落ちているのかなと。エンジニア歴もまだ3年半だし…。
とはいえ、まだ武本さんは24歳。十分ポテンシャルがあり、いろいろな道が考えられますよ。…そもそも、どんな仕事をしたいのかな?
ええと、クライアントに直接「ありがとう」と言われる仕事がしたいです。
そういう機会、今までにありました?
はい。先日まで関わっていたカード会社のプロジェクトでは、ユーザーレビュー担当として直接先方に内容を説明するなど、やり取りが頻繁にありました。その場で感謝の言葉をもらう機会があり、ああ、こういうのって嬉しいなと。
責任ある仕事をやってきたのですね。(職務経歴を見ながら)…ふむふむ、その前に関わってらっしゃったプロジェクトは、大手都銀のシステム開発なんですね。なんか想像するだけで大変そう。
ええ、大変でした(笑)。二次請けの立場でシステムのテスト中心に関わっていたのですが、担当者に何度もダメ出しされて…。その都度、根気よく直し続けて、OKをもらうまでやり抜きました。苦労の分、達成感はありましたね。
ほう。武本さんは若いから、そういう具体的な経験をもっと応募書類に盛り込んだほうがいいですね。タフな環境で忍耐力を養いつつ、責任感を持ってやり抜いた実績がある。その経験を活かしてクライアントに「ありがとう」と言われる仕事をしていきたい。――こう書かれていると、すごくイイ人に見えない?(笑)人事としては、一度会ってみて損はないかなと思うでしょう。
自己PRとして書くのですか?
そうです。今の職務経歴書は、携わったプロジェクトが整理されていてきれいではありますが、案件、規模などが書かれているだけで、読んでいても「へえ、そう」と思うだけ。具体的に何を開発して、どんな役割を担っていたか、そしてそこで何を得たのかが人事としては知りたい。自己PRにある「経験は浅いながら、わからないところは本を読んで勉強するなどして開発に臨んできた」などの記述も、経験の浅い若手という印象で終わってしまうのでもったいないですよ。応募書類の組み立てを考え直してみましょう。そうすれば書類通過率が上がり、面接のチャンスが増えるはずですよ。
そうだ。武本さんはゲーム系の専門学校を卒業されたんですよね?どんなことを学んでいたのですか?
コンピュータグラフィックをミッチリ学びました。Cをベースに簡単なシューティングゲームを作ったりしましたね。
Cの経験があるじゃないですか。それも書類に盛り込みましょう。専門学校時代と合わせれば、武本さんは5年半以上もこの世界に関わってきたことになります。先ほど申し上げた「忍耐力、何事もやり抜く責任感」とともに、職務経歴書の最初に自己PRとしてまとめましょう。
最初に自己PRを入れるのですか?

ええ、そうです。システム開発の世界に5年半、関わってきたこと。始めの2年は専門学校でCを使ってグラフィック中心に技術を習得し、後半3年半は技術者として金融系の大規模システム開発に関わってきたこと。タフなプロジェクトだったが責任感を持ってやり抜いたこと。この経験を活かして、今後もクライアントに「ありがとう」と言われる仕事をしていきたいこと――これを数行程度で冒頭にまとめ、武本さんのサマリーを人事の頭にインプットしておきましょう。若いけれど経験が豊富だし、責任を持って仕事をしてきたのだなあ…とわからせておけば、後に続く職務経歴の見え方も変わりますよ。
確かに。さっそく書き直してみます。もう一つ相談ですが、退職理由はどのように書けばいいのでしょうか。現状、書類では退職勧告を受けて辞めると、正直に書いているのですが…。
それでいいと思います。ごまかしようがないことですものね。
とはいえ面接で、必ず聞かれるじゃないですか。そのときにどう答えればいいか、わからなくて。自分に否はないと堂々としているべきかどうか、とか。
退職勧告を受けたのが武本さん一人だけじゃないということは、必ず伝えるべきですね。加えて、事実を真摯に受け止める姿勢は示しましょう。「プロジェクトに関わった人人が軒並み退職勧告に遭いました。私にも落ち度があったかもしれませんが、正直理由がわかりません。ただ、これも会社の方針だと受け止め、心機一転頑張りたいと思っております」などと伝えれば、マイナス印象にはならないと思いますよ。
なるほど、頑張ってみます!
武本さんは若いし、いろいろな道が考えられます。金融系の業務経験を活かすこともできるし、専門学校時代の知識を活かしてグラフィックやWeb系、携帯サイトの開発などもありえるでしょう。もちろんストレートに汎用機系もありますよね。いろいろな軸で、クライアントと直接やり取りできて「ありがとう」と言われる場面がありそうな企業にどんどん応募してみてください。武本さんの可能性を評価してくれる企業に、巡り合えるはずですよ。


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- 伊藤理子
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